原価と売値の関係について(〜note酒場編〜)
今回note酒場というイベントをやってみたり、自分で実際に飲食店を作ってオーナーになってみたりして、つくづく商品の値付けというものは難しくもおもしろいものだなぁ...と実感しました。
例えば、100円の物を購入して、それがすぐに120円で売れたとしたら、20円もうかるわけですよね?
この時、学生時代の感覚だと20円丸もうけだと思うじゃないですか?そんなわけないんですよね。。。
そこらへんの感覚をちゃんと持たないでイベントとか打つと、結果的にどんぶり勘定で値付けして蓋を開けたら赤字...っていう悲しいパターンになります。ここら辺はちゃんとしないとあかん!
というわけで、ビジネスやるなら基礎中の基礎の原価と売値のお話です。
原価と売価と利益の関係
ではまず基礎のお話。原価と売価と利益の関係を整理しましょう。
まず、仕入値=材料費がありますね。これだけにざっくりと利益を載せて計算すると、100円で仕入れたジュースは120円でよくない?となります。よくないです。
材料費があるなら、その材料を手配するのにかかる人件費があります。手間賃ですね。
小売の場合はたくさんの商品にうすーく伸ばして人件費を載せるので少額でもいけますが、飲食だと席数と回転で売れる量の上限がすぐ来ちゃうので、同じノリで値付けすると死にます。
次に、図の右側。売価-原価で出てくる粗利益(粗利)を分解してみましょう。
一見すると粗利=儲けに見えちゃうんですけど、実際はここから光熱費や賃料や事業融資の返済金などが引かれていきます。仕入れたけど売れなかった商品や、会計ミスで無料で売ってしまった商品、壊してしまった商品などの雑損益もここに入って来ます。
そうしたもろもろを差っ引いて残ったのが、純利益です。これが儲け...じゃないです。
実際はこの儲けからさらに税金を支払って、残ったものが税引後の純利益です。
うわ〜・・・世知辛い。これは100円で仕入れて120円で売ったら儲からなそうですよね。
適正な値段って何だろう?
では、適正な値段っていくらなんでしょうか?これについては、買う側から見た適正な値段と、売る側から見た適正な値段があります。
実際の市場ではこの価格は売り手と書い手と市場の絡まった綱引きで決まっていて、絶対的に適正な値段というものは存在しません。
いや、言い方が悪いですね。適正な値段は存在するけれど、常に揺れ動いている、と言った方が正しいです。
なので、絶対的にこの値付けが正しい!というものは言えません。言った瞬間には変わっている可能性があるから。
そこらへんを技術的にどうこうしようというのがダイナミックプライシングとかだったりするのだけれど、それはまぁまた別の話なので置いておきます。
note酒場の場合を考える
さて、今回はnote酒場というイベントの場合でのドリンクのベストな値付けについて考えてみましょうか。
まず、ボランティア有志で賄っているので人件費が無料です。しかし非営利なので儲けすぎちゃダメです。理想的にはプラスマイナス0に着地したい。
そうなると...どういう値付けがいいでしょう?
note酒場の場合で考えると、入場者はMAX300名でチケットはフード食べ放題¥1,500-です。理論的には300名が全員買ってくれれば45万円ここで入りますが、実際はキャンセルも発生するので20%のドタキャンとして39万円のチケット売上と想定しましょう。
で、そのほかの経費もざっくりと入れると、会場費で33万円、食材費は12万円、備品類(装飾やうちわetc)で5万円、ガソリン代や駐車場代で2万円、当日の食材ロスなどが出た場合を考えて雑損2万円くらいを入れましょうか。
これで経費合計54万円。チケット売上の39万円だと、あと15万円足りませんね。
で、15万円をドリンクの利益で回収するならば、260名が2.5杯ずつ飲むと想定すると650杯。15万円を650で割ると、約230円が1杯あたり必要な利益になります。
こう考えると、仕入値100円のジュースなら+230円して330円なら適正。仕入値220円のビールなら450円が適正って事になりますね。
実際はこんな単純ではなく、仕込める量に限度のある手間のかかるドリンクは利益率をあげたり、仕込みが簡単で量を当日でも増やせるお茶などは利益率を下げたりして調整をします。売上ロスを見込めば仕入値+300〜350円は欲しい。
まぁ、でも大体ならすと仕入値の2倍〜3倍くらいが、売る側として良い感じの値付けです。
価格を決めるのは本当にコストなのか?
ここで1つ疑問が出てきます。価格を決めるのは売る側の理論“だけ”で本当にいいのでしょうか?
例えば、上記の理論でいくとビールは600円になります。まぁ、イベントで出すビールの価格としては安いなって僕は感じるんですけど、お客さん側としてはどうなんでしょうか?
ここで、売る側の都合の値付けと、お客さん側の印象とでギャップが出ると、安く感じる場合はお得!ってなります。逆に高く感じる場合は、あんまり売れずに実際の提供杯数が下がる=売上を押し下げる可能性がありますね。
それでは、2019年のnote酒場が実際のところどうなったかというと...
それは本体のnote酒場公式アカウントでうすいさんがまとめてくれる予定なので、そちらをご覧ください。
需要と供給と納得と満足で値ぎめする
さて、結論です。最終的に売値というのをどう決めればいいのか?
答えは、コストとメリットのバランスを見極めて決めろ!です。
コスト、すなわち仕入値や原料費に人件費、物件費に光熱費に諸経費、そして売れなかった商品の雑損まで含めた数字をまず把握しましょう。
次に需要と供給。市場にもしもライバルがいないのであれば、価格競争は起きません。こうなると、ぶっちゃけいくらつけようが自由です。
note酒場の場合、ライバルになるイベントは存在しないので、その点では多少強気のチケット価格でまんがいちのキャンセル多発などに備えるのもアリです。ここら辺は主催者の考え方によりますね。
あとは納得と満足。つまりメリット。最終的に、いくら払おうが買い手がメリットに納得してお金を払い、結果として満足すればそれが正解です。
つまり、ビールが1杯600円であろうと、1杯1000円だろうと、納得して買って満足してくれればそれでいいんです。
でもさすがに1杯1000円だと高く感じない?と思うじゃないですか?
そうしたら、1000-600=400円の差額を1人2.5杯飲むと計算して400×2.5=1000円。この1000円を最初からチケット価格に上乗せしておけばいい。1500円の入場チケットを1500→2500にして、ビールは600円のまま売る。これでも結果は変わりません。
値付けっていうのはこういうおもしろさがあるんですよね。
合理的に考えるならばどちらでも変わらないのに、なぜか入場料で先払いしてビールが600円だと安く感じちゃう不思議。人間がいかに感覚に惑わされるかがよくわかります。
なので、実際に来年もやるなら、入場エントリーチケットを1000円の有料noteで300枚売って、当日来場時にフードチケット付入場券(ランチ1500円、ディナー2000円、通し3000円)を買ってもらう。ドリンクは200円チケットの5枚つづり1000円と、10枚つづり1900円で売る。
っていうのでどうでしょうか?
まぁ、本当だったらライバルいないしドリンクは3倍値付けでガッツリ稼いでプール金を作って、まんがいちの赤字を補填できるだけの体制を作るべきなんじゃないの?と思いますけど。
以上、僕が考えるnote酒場の値付け、のお話でした。
値付けっておもしろいですよね〜
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