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ヤフーの予約時デジタル決済参入にみる、飲食店のビジネスモデルの未来

飲食店の業界的にはもう随分前から色々言われてきたけれどなかなか導入が進まない非現金決済。

それというのもインフラ導入コストに利用手数料と、客側の利便性を店側がおっかぶるモデルだから弱小個人店はまずやりたがらない。

でも、そこができるかどうかで来る客層が変わっていくし、長い目で見ると利益率が少し下がっても客数があがればカバーできる可能性もある。

逆に、商業施設に出店するとほぼ強制的に指定のICカードリーダーを貸与されるし、施設デベロッパーのカード会社が発行しているクレジットカードの勧誘とかもさせられる。

なんせカード事業、儲かるからね。在庫無しでマージンを吸い取る事業は強い。


さて、ちょっと前にリリースの出たYahooのデジタルウォレットと紐付けた飲食店予約時決済の導入。

ようやくというか、今更感もあるとはいえこの流れには少し期待したい。


2017年末には楽天も参入している。どっちかというと事前決済というよりgifteeみたいな感じだし、そもそもラインナップが微妙ではあるが。。。


いつまでも古いままな飲食店のビジネスモデル

飲食店のビジネスモデルは古い。

僕たちは食べなきゃ死んでしまうので、最古の商売は食物の物々交換だったはずだ。

そして現代、交換するものが貨幣になり、前払いや後払いやキャッシュオンデリバリーやツケ払いなどの方法があるけれど、基本的にはキャッシュポイントが少なく古典的な飲食ビジネスの形は今もそれほど変わっていない。

このキャッシュポイントが少ないというのが飲食店のビジネスモデルのもったいないところだ。

席数が限定されるがゆえに満席で来客が来ても機会損失するし、空席やキャンセルが出たりしても機会損失する。ロスが多くて効率が悪い。

それでもこの数千年の人類史の中で飲食店が絶滅しないのは、やはり僕らはうまいもん食いたいし、食べるってことが根源的な魅力のあるコンテンツだからだろう。

もともと飲食店はメジャー立地の食堂ポジション以外はアルコールの売り上げ頼みのファン商売的な部分が大きい。


アルコール頼みの売り方では未来は暗い

これはもう散々言われているけれど、アルコール頼みの売り方には限界があるし、それはすでに表出し始めている。

アルコール自体の利益率もさることながら、日本の飲食店はフード部分がべらぼうにコスパがいいと思う。逆にいえばフードでは儲からないから、利益率の高いアルコール頼みな部分がある、そこがまず問題だ。

飲酒運転の罰則強化の影響は自動運転が実用化して普及すれば多少は解消されるかもしれないが、そもそも少子高齢化と貧富の差の拡大がほぼ確実。超ローコスト飲食とそれなりの高級飲食に別れて行きそうだけれど、それ以前に結構な数の飲食店は苦境に立たされるだろう。


SNSがOPEN化したからこそ居酒屋に戻る

そして、昨今のSNSでの匿名アカウントの誹謗中傷があっさり訴えられてIP割られて身バレのち告訴により滅んでいく姿を見ると、SNSが代替しつつあったいわゆる街場の居酒屋のくだまく愚痴スペース機能はまた居酒屋に少しづつ戻りそうな気もしている。

SNSがOPEN化→愚痴や履歴が可視化して個人に紐づく→SNSが良くも悪くも健全化→居酒屋で愚痴る人が戻ってくる or サロンのような囲い込み型モデルが増える、っていうパターン。

これは何も愚痴に限った話じゃなくて、人生相談だったり、ちょっとした世間話だったり、井戸端会議的なリアルで刹那のコミュニケーションの自然発生する場というのは必要とされるはずだ。

だからホリエモンが未来の飲食店はスナックだって言ってるのは賛同できるし、なんならサロンみたいな事になっていくように思っている。飲食店はこれからもっとファン商売になっていくハズ。

その時のキャッシュポイントだけれど、増やせばいいってモンでもないのが難しいところ。人間は複雑な選択肢を前にすると悩んでしまい選べない=買わない、という事になりやすいらしい。

実際、情報爆発の現在では色々ありすぎて選べないとか、物が売れないとか言われている。でも、それって工夫が足りないだけで、売れているものはちゃんとある。


サービス×支払方法のスマート化が鍵になる

では、どうすればいいのか?これは本当に個の店それぞれ100店舗100通りの戦略が必要だろう。

例えば、超売れている並ぶラーメン屋であれば、ファストパスよろしく優先席の権利を売るとか。

ビストロであれば注文数や満席率に応じて値段が上下したり、あとは隣のテーブルとの気軽なシェアとかがもっとできてもいいと思う。

見知らぬ人と一緒にその店で飲む人を集めて、人数集まったら全員少しだけ安く飲めるとか。店的にはまとめてくれたほうが効率はいいので、可能性はありそうな気もする。

まぁ、ここら辺は本当にアイデア次第だし無限に考えられるけれど、実際にやって見て運用しつつエラーを直していくのは結構大変だろう。いずれにしても決済方法は計算が面倒でなく、カードかスマフォ1クリックで終わるべきだ。


結局、最後に残るのは人対人のコミュニケーション

さて、ここまで技術の話をしておいてなんだが、僕は最終的には人対人のコミュニケーションに価値を置いた個店はしっかり生き残れるんじゃないかと思っている。

僕自身もいろいろなお店に行ってサービスを受けてきて、やはりそこに関係性を築けた場合はリピート率も上がるし、少しでもそのお店にも儲かって欲しいなと思うからだ。

みんながそうなら潰れる店なんてない、という反論もあるだろう。でも、お店とお客さんがお互いに誠実な関係を築けた場合、そのお店は潰れないはずだ。もちろん、適切な価格設計とかは当然やっている前提だけど。

結局、技術は人の為にある。技術の進化がもたらす未来は、最終的には極めてシンプルな人対人のコミュニケーションの場としてのお店=個人店化・ファン商売化していくんだろう。もしくは超高効率な食欲を満たす為の場所になるか。

でも、そんなおいしいものに囲まれてコミュニケーションに没頭できるお店がたくさんできる未来が、僕は結構楽しみだったりする。

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