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自由を得るためには不自由に耐えねばならない

ここ数年、働き方改革やらが叫ばれて副業解禁が推し進められ、クリエーターやフリーランスが注目される機会が増えてきた。

中にはブランディングとして会社員をdisってポジショントークで注目を集めるような手法も出てきて、フリーランスに憧れる人にフリーランスになる方法やうまくやるコツを売るという不思議な憧れ搾取系ビジネスも生まれてきた。

ここで冷水をかけるようなことを言うけれど、仕事もスポーツも芸術も、おおよそほとんどのことは自由を得るために不自由を享受しなければいけない。

多くの場合、自由というものは不自由をくぐり抜けた先にしかなく、さらに言えば大きな自由には大きな責任がセットでついてくる。リスクとリターンはセットだし、一朝一夕でうまいところだけゲットはできない。


自由につくる為に不自由をコンプリートする

創作において、自由にイメージした通りの結果を出す為にはかなりの修練を必要とする。

それは、人間の体の操作性や、思考やアイデアの作り方に、ある程度の訓練が必須だからだ。

つまり、自由自在につくる為には、まずは型となるパターンを反復練習するという不自由さを通過しなければいけない。


たとえば、今あなたは普通に二足歩行をしているだろうが、人間のあかちゃんは生まれてすぐはもちろん歩けない。

歩くどころか寝返りすらできず、目もろくに見えておらず、狙ったものをつかむのすら難しい。

日々成長と共にいくつもの作業を繰り返して二足歩行や目で見たものを握って口にはこんだりをできるようになる。


同じように、野球を知らないでまるで練習をしたことのない小学生にいきなり野球をやらせても、バットにボールを当てられないだろう。

まずは素振りを繰り返し、腕の延長としてのバットという道具に身体感覚をなじませる必要がある。

さらに狙ったタイミングでフルスイングでボールの芯を捉えて、狙った方向に飛ばすとなれば、その難易度は跳ね上がる。

サーフィンで波を捉えて立ち上がるのも、スケートで自在に滑るのも、自転車に乗るのも、車を運転するのも、すべてはある程度の練習は必須だろう。


なぜ勉強や練習をするのか?

自由自在に思うようにつくるためには、数多ある技法を習得し、型が体に染み込むまで修練しなければいけない。型を破るには型を知らなければできないように、守破離の順序が大事だ。

それはスポーツだけではない。デザインを勉強するために桑沢デザイン研究所に入学した時、最初の1年目はひたすら基礎デザインとしてデッサン・色彩構成・立体構成・図学などを学んだ。

それこそ写真の授業ではまずカメラオブスキュラ(ピンホールカメラ)を作るところからだった。黒い箱に針の穴をあけて光を印画紙に写し取る装置で、カメラが人間の二足歩行とするならば、ほぼゆりかごの時期くらいのモノだ。

ただ、カメラオブスキュラに始まりアナログのフィルムカメラを経てからデジタルに入ると、光学や物理的な制約も含めて理解しながら習得ができる。

単純なアナログ礼賛ではなく、アナログも経た上でのデジタルや、歴史的文脈を俯瞰して見られるかどうかは長い目で見るとかなり差が出てくる。



料理だってそうだろう。思うような料理を作るには、まずはそもそもの完成系をイメージできないといけない。ゴールが決まっていないのにスタートを切っても永遠にゴールにはたどり着かないからだ。

そして、ゴールがイメージできたとしても、そこに至る食材の選定や加工や保存方法、調理の順序や必要な道具の調達、実際に調理を行う技術やシビアな温度管理などは一朝一夕では行えない。

こうした技術を身につけるために下積みや修行や勉強や練習が必要なのだ。でも、苦しみと手に入る技術はイコールじゃないから、つらい下積みを積み重ねることそのものには意味はない。

大事なのは自由自在にイメージを再現するためのウデとアタマを手に入れて、身体感覚を飼いならすことだ。


文章だって同じ、日々研鑽が大切

大事なのは意識しなくなるレベルまでの反復練習だ。これが初期の頃からできる人もいれば、かなりやりこまないとできない人もいる。

それでも、人間の成長も料理もスポーツも全ては基礎練習の積み重ねの先にしか自由自在なチャレンジはない。

赤ちゃんだって日々ずっと自らの手をながめて、舐めまわして、動かして、ようやくそれが自分自身の肉体の一部であることを認識する。

みんな歩いているし、掴もうと思ったものを掴めるし、喋れるし、言葉を理解できている。それらは気の遠くなる反復練習で手に入れてきたものだ。つまり、反復練習して何かを習得した経験は、僕らはみんなすでに持っている。

あとはその経験を他のジャンルの、自分が向いている、やっていて楽しかったり、誰かに褒めてもらいやすいところに振り分ければいい。


新しい1年が始まった。
何かを始めて、続ける経験を積むにはいい口実だろう。

新しい1年がみなさんにとって良い習慣を手に入れられる年になることを願いつつ、昨日から仕事始めなので今日は社長プレゼンがんばります。資料がいい感じに仕上がっていることを祈るよ...(執筆は1月2日)

そうそう、もしも習慣をどう手に入れるかを悩んでいるなら、昨日書いたこちらのnoteをぜひチャレンジしてみてほしい。きっと手助けになると思う。

習慣や積み重ねが糧と価値になるよね。
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