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凍結された銀行預金を取り戻した話@マレーシア

大昔マレーシアで開設した銀行口座を2023年9月に解約した。

定期預金は現金となって手元に戻ってきたのだが
普通預金は政府にロックをかけられてしまって
私が直接政府に返金申請をしなければならないとのこと。
しかも返金は100%保証はできないとのこと。

とにかく正真正銘私の金だ。不正な金ではない。
全額耳をそろえて返してもらおうじゃないか。
奪われたものは取り返さなくちゃ
アタシらしくいられなきゃ意味がない♪って
昔の沖縄の女の子たちも歌ってた Body&Soul
今は国会議員になってフランス視察とかしてるけど。


Maybankの銀行員に返金申請に必要な書類を作成してもらい
いざマレーシア財務省に殴り込みに行こうじゃないか。
ところで財務省ってどこ?とMaybank行員に聞くと
「プトラジャヤPutrajayaにあるYO」とのこと。遠い。

霞が関にあると思ったら茨城県つくば市だった感覚。
というぐらい遠い。空港とKLの中間地点。
プトラジャヤは政府機能が集まった人工的な街。
人々の生活感はなく、道路は広く建物は大きく
そしていちいち遠い。誰も歩いていない。暑いし。

KL市内からプトラジャヤまではKL Sentral駅から
空港行きの電車KLIA Transitの他
(同じく空港行きでもKLIA Ekspresは
プトラジャヤを通過するので注意)
2023年現在MRT?LRT?が開通している。
KLIA Transitより時間はかかるが安い。
KL中心地から片道RM3~4程度で所要45分~1時間。

プトラジャヤ駅に着き、東口のバス停に行くと
けっこうバス路線が細かく分かれていて初見殺し。
駅から財務省まで歩くと2km程度。
歩けなくもないけど暑い中歩きたくない。

バス→Grab→徒歩と自分の中で優先順位を決めてバス探し。
バスがなかったらGrabにして、Grabが見つからなかったら徒歩。
その時、偶然目的地近くに行きそうなバスが出発準備中。
運よくバスに乗り財務省近くのバス停で下車。
その後10分弱歩いて無事に財務省到着。

受付ではパスポートを預け、そのかわりに入館証をもらう。
きちんとした政府機関のため、ショートパンツ等の服装は不可。
私は当日まんまとショートパンツだったため、
受付の警備員のマレー兄に頼み込んで
彼のバイクから彼の雨合羽のズボンを持ってきてもらい
トイレで着替えて入館成功。ものすごく変な格好。

返金の担当部署(Bahagian Pengurusan Wang Tak Dituntut)
で担当のAzam君はフレッシュな20代の若者なのだが
英語は流暢だし仕事ぶりはプロフェッショナルだった。

で、Maybankが作成した書類を見たり
私から事情を聞いたAzam君曰く、
「返金はできるYO。ただ、
原則マレーシアの銀行への振込となるYO。
国際送金となるとSpecial CaseだYO」と。

スペシャルケース!よろしくお願いします!!
彼はすぐに書類を取り出して、
こことここに記入して、と手際がいい。
(国際送金に際しての中継銀行等の情報も記入するので
送金予定の人は事前に情報を整理しておくこと)

大抵マレー人ってのんびり屋が多くて
やつらの「Tak apa(問題ない)」は大体問題あり。
だがマレー人ながら仕事のできるAzam君、
普通に日本の役所で対応してもらっている感覚で斬新。

Azam君が言った。
「送金先のBank Statementが必要なんだけど」
バンクステートメント?なんじゃらほい??

話を聞くと、どうやら
・銀行名(ロゴ入り)
・氏名
・口座番号
・残高
などが英語表記で1ページに収まっている書類のことらしい。

私はスマホで、送金先である日本の銀行のページにログインし
そのページを英語表記に変換した。するとびっくり
英文のデフォルト画面に私の氏名はどこにもない。
日本語表記だと氏名も記載されているのに
英文にするとそのページでは氏名が消えてしまう。

他の銀行口座も持っているので、試しに英語表記にしてみるものの
残念ながらAzam君がBank Statementと呼ぶには
条件が足りないものらしかった。
1ページで英語表記でこれらの情報を表示するのが条件らしい。

Azam君は残念そうに言った。「これだと申請できないから
日本の銀行から英文のBank Statementを取り寄せた後に
再申請するといいYO。

それからプトラジャヤまでまた来るのは遠いだろうから
KL市内での申請先を教えておくYO。
UTC United Thailand Chinaで覚えるといいYO。
(確かにマレーシアはKLCCとかPWTCとか略語が多い)
Plaza Rakyat駅から歩いていけるYO。UTCの3階にあるYO」

マレー人らしからぬ仕事のできる男。最後まで親切丁寧。
っていうかPlaza Rakyat駅なら、頑張れば私のホテルから
徒歩圏内の距離だ。最初からそっちに行けばよかった。。
とにかくTerima kasih。

とりあえずホテルに戻り、日本の銀行に電話。
「英文の残高証明は出せるが、有料で1週間必要。
しかも発送先は日本国内の登録住所」とのこと。
はいはい無理な話です。今すぐほしい。私マレーシア。
PDFで送ってとかってダメなんだね。IT大臣聞いてる?

その夜、私の日本の銀行の英語表記バージョンから
どうにか私の名前の英語表記があるページをスマホで見つけた。
1ページ内でマレーシア政府が要求する英語表記を全て
証明できないものの、ダメ元で翌日UTCに突撃することにした。

そして翌日。UTC3階の担当部署。
私の前に、中国人男性がなんとなく私と同様の手続きを
英語でしているっぽいのが聞こえてきた。
そして私の番。担当するのはマレー叔母。

昨日プトラジャヤに行って、と顛末を話し、
bank statementこれでいいかな?と
私はスマホの英文の画面を見せ、さらにタップして
別画面の自分の英文の名前のページを見せた。

「1画面に全部収まっていなきゃだめなのYO。
ほら、前の中国人のこの書類見てYO。
彼は中国語をこうしてGoogle Translationを使って
英語にして印刷したBank Statementを出してるのYO」

えっと、他人の個人情報見ちゃっていいの?と
戸惑いつつも、他人のBank Statementを見ると、
翻訳ソフトで翻訳しました的なスクショが
プリントアウトされているものだった。

正式な銀行からの書面じゃなくて、
翻訳ソフトでいいの?いいのかマレーシア??
私は自分のiPhoneで日本語からの翻訳を試みたが
うまくできなかった。そこでマレー叔母に相談。
ネットにつながったPC使わせてくれない?

その部屋の隅には来庁者が使えるPCがセットされていたので
マレー叔母にネットに接続してもらって使用開始。
日本語表記の銀行口座情報の画面のスクショをPCに送って
それをペイントソフトで開く。その後は
「口座番号」と書かれている下のスペースに
「account number」とかって私が英訳したものを
無理やり貼り付け。氏名欄の下にも同様に英文を貼り付け。
そして印刷。これでいいのか??

偽造ではないけれど、正式でもない私の翻訳による
Bank statementが出来上がり、マレー叔母に渡す。
「うん、銀行名も氏名も口座番号もわかるし、
これで大丈夫YO」と決済のハンコが押され
控えとして書類をもらった(トップ画像)。
本当にいいのかマレーシア?

海外送金は1~3か月かかるとのことなので
しばらくは本当に送金されるのか疑っていたのだが
6週間後に無事に日本の銀行口座に着金した。
奪われたものを取り返して
アタシらしくいられて意味があったよ今井議員。

Malaysia Boleh!
(マレーシアはやればできる子!という意味の
国威発揚の標語。普通はできないのだが
たまーにできるのがマレーシア。
そんなだめーしあが私はけっこう好き)



ま、恋多き魔性の女・上原多香子は私の憧れ、という話です。

私は所詮蚊帳の外の外国人なので呑気に
「マレーシア大好き」とかって言っていればいいのだが
現地マレーシア人は特に隣国シンガポールの
高度経済成長を横目に、自国のゆるゆるな現状に対して
複雑な思いの人が少なくない模様。

かつては時代の寵児としてもてはやされた
沖縄の少女たちも四半世紀の時を経て
国会議員になったり恋愛依存症になったり
ジャマイカ人になったり(なったっけ?)と、
もしかしてお互いに複雑な思いなのかも。


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