就活の息抜きついでに理解する保険業界のビジネスモデル

はじめに

生命保険・損害保険業界といえば大量採用で有名な業界。その募集人数の多さや待遇の良さから、第一志望に据えないまでもエントリー自体は多くの就活生が行っているのではないでしょうか。

自分自身、就活生をやっていた時は保険業界にエントリーして説明会や選考に参加していたこともあるので良く知っているのですが、保険業界の説明会はエモさに全振りしてとにかく内容が薄いことで非常に有名です。

説明会に参加したところで、実際に行っている業務などについて大した話が聞けないので、結局皆保険業界がどのような業界かよくわからないまま選考に参加し、よくわからないまま内定したりします。

なので、逆に保険業界の企業研究は、やればやるほど「差が付く」部分でもあります。今回は、周りと差がつく保険業界の企業研究について、詳しく書いていきます。


1.概要

日本は保険大国で支払う保険料は世界4位に及びます。実はこれ昔1位であった時期があるぐらい、日本は世界トップクラスの保健大国です。
10世帯のうち9世帯は保険に加入しています。

保険には、病気・怪我に対し支払われる「生命保険」と、モノが壊れたときの金額を補填する「損害保険」があります。


この保健業界ですが、近年の少子高齢化で転換期を迎えようとしています。

少子高齢化と人口減少が招くものは何か。それは、「保健加入者への支払い」の増加と、「保健加入者からの収入」の減少です。

保険業界では、団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」や、団塊ジュニアが60歳以上となり、団塊世代の死亡数が増える「2035年問題」が問題になっています。

保健業界は ①契約者から保険料の徴収 ②保険料を運用して収益を獲得 することで将来の保険料の支払いに備えるという収益構造であるため、保険料の減少と支払いの増加は、保険業界の収益構造を揺るがす大転換なのです。

保険業界各社はこの問題への対策として 
①保険加入年齢の引き上げ
②保険商品のラインナップ拡充
を行っています。

まずは①保険加入年齢の引き上げについて。
よくCMで、「40歳からでも保険に加入できるんですか?」という謳い文句を聞きますよね?
これは、保険加入のハードルをとことん下げることによって、より多くの契約者を獲得し保険料の収入を増やすことが目的です。
保険料の引き下げや、加入年齢制限の緩和などを通して、より多くの加入者を募ることで保険料を確保しようという魂胆ですね。

②の保険商品のラインナップ拡充について。
最近、保険会社が今まで提供していた生命保険・損害保険に加えて、介護費用を保証する商品などを提供し始めています。
国民の寿命は年々長くなる傾向にあるので、介護費用支援など高齢者を取り巻く様々な悩みを解決する商品を提供することで、新たな顧客の発掘を狙っています。

また、損害保険業界についても様々な新種保険を提供することで、保険加入者の減少に備えてます。
損害保険業界はカーシェアリングや、MaaS(Mobility as a Service)の発展で、自社の最大の収益源(全体の半分)である自動車保険の大幅な失速が見込まれるため、盗難保険サイバー保険(サイバー攻撃に関する保険です、驚き!)、キワモノで言うと「自動運転保険」なんていう商品も開発しています。


2.資産運用に関して

生命保険・損害保険は巨大な投資家です。
前述したように、加入者から集めた莫大な保険料を運用して収益を出す構造のため、この資産運用が保険業界の主な収益源となります。
その運用額は天文学的な数字で、日本一の生命保険会社であるかんぽ生命の場合は2017年を基準に70兆円ほどの資産を運営しています。

この莫大な保険料を、極低リスクに安全運用することでキャッシュフローを回転させています。
契約者に対する保険料の支払いを完遂するために、地方自治体が発行する地方債、大手企業が発行する社債など、低リスクな金融商品に対してのみ投資を行っていました。

しかし、近年の長期的な低金利によって運用えきの確保がなかなか難しい状況が続いています。そのために、収益確保のために、リスキーな外国証券と国内株式にも手を伸ばし始めています。

この2つに関して詳細に説明すると、まず国内株式投資は、安定した配当収入と企業の成長に応じた値上がり益確保の期待から、中長期的な観点で投資を行っています。

外国証券は為替リスクが存在するものの、海外の高い利回りを享受し、リターン重視で運用されます。特にびっくりなのが、非常にリスキーなプライベート・エクイティ・ファンドやヘッジファンド、不動産ファンドなどのオルタナティブ資産にも一部投資を行っています。
少子高齢化問題に備えて、「攻める運用」をし始めている、ということですね

これ以外には、小さい割合ではありますが、安定期な収益が見込める電力・運輸・鉄鋼事業などの基幹産業に貸付金もしくは不動産を中心に直接投資を行っています。更に、住宅ローン、消費者ローンにも投資していることも特徴ですね。


3.商品区分について

法的な縛りにより、下記の通り、生命保険会社のみ扱える商品と損害保険会社のみ扱える商品が異なります。また、特別に生命保険会社と損害保険会社の双方が扱える保険もあります。


<生命保険(第一分野保険)>

生命保険に加入していると、被保険者が病気やけがをしたり、死亡したりしたときに、保険会社から一定の保険金が支払われます。人を対象にした保険で、この領域は「第一分野保険」と呼ばれています。

「医療リスクに備える保険」「病気やケガに備える保険」「老後や将来に向けての保険」「死亡リスクに備えた保険」など、加入者のライフステージそれぞれで起るリスクに対して様々な商品を展開していることが特徴です。


<損害保険(第二分野保険)>

損害保険は、交通事故や火災、地震など偶然起こった一定の事故で生じた被保険者の損失を補てんする保険で、「第二分野保険」と呼ばれています。

損害保険も基本は生命保険と一緒で、保険手数料と資産運用を大きな2軸として、収益を上げています。しかし、保険の種類が多様な事が特徴です。

メインの収益源である自動車保険から、火災保険、地震保険と自然災害(風災・水災・雪災等)損害保険、輸送保険から生命保険と競合する医療・介護保険があります。また、統計には単独では集計されない、新種保険という概念があります。

<第三分野保険>

生命保険会社と損害保険会社の双方が扱える保険は、「第三分野」と呼ばれます。傷害保険や医療保険、がん保険、介護保険などが該当します。


おわりに

今回は保険業界の概要について説明する記事を書きました。本当はこの後、各保険会社の特徴!みたいなことも書こうと思ったのですが、保険会社ってどこもかしこも似たようなビジネスモデルを展開している上に、販売可能な商品はガチガチに法律で縛られていて、なおかつ各社お互いの商品を真似しまくってるので、実は企業ごとの特徴ってすごく書きにくいんですよね。

保険業界の企業研究はまえがきって言った通り本当に適当にやってる人が多いです。これは、保険業界のビジネスモデルがあまり面白くないのと、説明会で大事なことを何も説明してくれないことに起因します。
適当に企業研究をしていても、正直ある程度の学歴があれば全然受かってしまえる業界です。

でもだからこそ、保険業界の企業研究は仕上げれば仕上げるほど周りと差がつく領域ですし、上手く保険業界に関する知識をアピールできれば、内定に直結します。

ぜひこの記事で、保険業界の業界知識を身につけていってください


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