"Country" と "State" と "County"

外国のエージェントと仕事上のやり取りをしている中で、「ところで」ということで質問があった。ある日本語の文章の中で「スコットランド州」という表記があったが、このままでいいのか知りたいというものだった。

とっさに答えたのは、「英国は4つの国(Country)からなる連合王国で、Scotlandは一つの国なので、『州』は付けない方が正しいと思う」だった。答えはしたものの、少々不安だったので、少し調べてみた。

最近の新聞記事では、確認した範囲では「スコットランド」となっており、"州" はついていないようだ。ただし、雑誌記事や少し古い書籍などでは「スコットランド州」の表記も見られる。

自分でも、過去にはあまり深く考えずに「スコットランド州」、「イングランド州」、「ウェールズ州」、「北アイルランド州」とうっかり言ったり書いたりしたことがあるように思う。おそらく、今でもブログなどの非公式の文章を見れば、これらの表記はかなり見つかることだろう。

なぜ国なのに "州" を付けてしまうのか?ここからは個人的な推測だが、米国の州との類推ではないかと思う。「ハワイ州」、「カリフォルニア州」、「ニューヨーク州」...。アメリカ合衆国(the United States of America)が50の州(State)からできていることは、よく知られている。だから、英国、すなわちグレートブリテン及び北アイルランド連合王国(the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)を構成するのも "州" と言ってしまうのだと思う。

"Country" と "State"。微妙な意味の違いはあるが、現代の日本語でざっくり言えばどちらも "国" になる。

"国" と "州"。専門家でないので正確でないかもしれないが、日本でも、昔は、"国" のことを "州" と呼んでいたことがあるようだ。「九州」や「信州」などにその名残がある。

"Country" と綴りの似た "County" というのもある。こちらをあえて日本語にすると、"州" や "郡" になる。英国英語と米国英語でのニュアンスの違い、歴史的な経緯の違いなどはあるが、これもざっくりいうと、日本の現在の都道府県に当たる。ただし、日本の住居表記でも "郡" が使われているので、さらに話がややこしくなる。一般的には、米国では "郡"、英国では "州" の訳語を当てはめることが多いように思う。

現在の日本の都道府県に相当するのはこれ、市町村に相当するのはこれと、英語の用語と日本語の用語をうまく対比させて整理しようと思っていたのだが、結局、そうすんなりいかないことが分かっただけだった。

サッカーのワールドカップでは、英国代表ではなく、イングランド代表、ウェールズ代表...と4つの代表チームが出場しているが、日本のチームは、東京都代表、静岡県代表、大阪府代表...でなないよなー、と考え出すと、ますます混乱してきた。

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