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地球儀を見ながら思ったこと

 暇に飽かして地球儀を眺めていた。

 子供の頃見ていた地図帳で、もっとも一般的なのはおそらくメルカトル図法で描かれたものだろう。いまさらながらだが、地球儀で見る世界と平面に描かれた世界ではずいぶん印象が違うことに気づいた。

 日本の南端が沖ノ鳥島、東端が南鳥島ということは知識としては知っていたが、あのような位置にあったのか。どちらの島もそのまま同じ緯度で東に向かうとほぼハワイ諸島と重なる。イメージとしては、ハワイはもっと南にあると思っていた。沖ノ鳥島も南鳥島も東京都に属するはずだが、特に沖ノ鳥島は紀伊半島のほぼ南にある。別の府県、たとえば和歌山県あたりが「うちの島だ!」と言わないのかな?

 地球儀をひっくり返して日本列島を見ると、大陸側から見て、日本がいかに大海に向かう出口の “蓋” のような役割をしているかがよくわかる。これがこの国の地政学的な難しさを示していることが改めてわかった。オーストラリア土産で有名な “南北さかさま世界地図” があるが、そもそも宇宙空間に浮かぶ地球に上下なんてあるのか?誰が「北が上」、「南が下」と決めたのだろうか?

 それにしても太平洋は広い。地球儀で見ても地球面の半分とまではいかなくとも、三分の一ぐらいはあるかな?

 地図帳の世界地図では、極に近づくほど拡大されるので、ロシアがやたら大きく上の方ででんとしている印象があるが、地球儀で見るとそれほどでもない気がする。もちろん、それでも世界一の面積の国というのは変わらない。それにしても、こんなに広い国なのにまだ領土を広げたいのかな?

 グリーンランドも地図帳で見ていた時は、ロシアと同じようにやたら大きく感じていたが、地球儀で見るとそこまで大きくない。それよりも意外だったのは、グリーンランドの位置だ。見ようによっては、カナダ沖の島々の一つのようだ。こんなに近いのならカナダ側から目視でグリーンランドが見えるのではないかと思う。グリーンランドはデンマークの領地なのでヨーロッパの島ということになる。つまり、新大陸側からヨーロッパの一部が見えるなんて、(最近すっかり名前を聞かなくなった)コロンブスが知ったらどう思うだろうか?

 地球儀を眺めていると、なぜこの位置にパナマ運河やスエズ運河を作ろうと思ったのかがよくわかる。たしかにずいぶん近道(?)になる。スエズ運河の原型は紀元前2000年頃にはあったらしいが、そのころの人たちは、どこまで世界地図が頭にあったのだろうか?

 国境線を見ると、明らかに人為的にひかれた直線状のものがいくつかある。特にアフリカ大陸内の国境線は直線状のものが目立つ。その地の歴史や現地の状況も無視して無理やり国を分けししまったら、そら後々もめるだろうなと思う。意外だったのは、米国とカナダの国境線のかなりの部分が直線状になっている。なぜだろう?

 国連の加盟国だけでも200か国弱あったと思うが、地球儀を眺めているとまだまだ場所と名前が一致していない国がたくさんあることにも気づいた。国名の書かれていない地球儀を与えられて、国名を挙げてどのあたりにあるか答えよ、というクイズを出されたら半分も答えられるだろうか?

 部屋のインテリアと化しがちな地球儀をたまには見直すのもいいものだ。

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