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黒板とハゴロモ・フルタッチ・チョークが欲しくなる | 「数学者たちの黒板」(著:ジェシカ・ワイン 翻訳:徳田功)

こんにちは
イデアレコードの左川です。

最近は仕事が忙しくてバタバタしていたんだけど、本は少しの時間を活用しながら、息抜きがてら読み続けてはいた。だが、アウトプットは出来ていなかったので、少しずつ出していく。「数学者たちの黒板」は近所の本屋で見かけてジャケ買いした。

「数学が生み出されるところなら、必ずどこかに黒板があるだろう。 」

数学といえば、抽象的な学問でいかにもデジタル化が進んでいそうに思えますが、実は数学者の多くにとって、黒板はいまでも数学のための最重要ツールであり続けています。黒板は数学と向き合い、数学者たちや生徒たちとつながり、数学の世界を拡張してゆくのに必要不可欠な存在なのです。そんな黒板に見せられた写真家が、フィールズ賞受賞者を含む100を超える数学者の板書を撮影し、その板書を描いた数学者による、数学と黒板への思いが綴られたエッセイを添えた本書。「数学の手触り」が感じられるような、唯一無二の、黒板×数学フォトエッセイ!

■登場する数学者
スン=ユン・アリス・チャン、アラン・コンヌ、ミーシャ・グロモフ、アンドレ・ネヴェス、カソ・オクジュ、ピーター・ショア、クリスティーナ・ソルマニ、テレンス・タオ、時枝正、クレール・ヴォイシンほか

■数学者たちの黒板に関するコメント
「その長い歴史にもかかわらず、黒板は、数学について考え、伝達するための比類なきテクノロジーだ 」
「私は黒板が絶対になくならないでほしい。もしそうなったら、数学にとって大きな損失になるだろう」
「黒板が私の人生を変えたと言っても過言ではない」
「黒板は、一人で作業するときには、とても便利なものだが、共同研究者と議論するときや授業では、欠かせないものになる」
「地球上から黒板がなくなるまで(いつになるか分からないが)、誰もが日本製の上質のチョークを常に持ち歩くべきだ 」
「ホワイトボードは私にとってそこまで魅力的ではない」
「寝室に黒板を備え付けるべきだと妻を説得し、実際にそうした 」

amazon公式より抜粋

どんな分野においても「天才」というのは存在する。

自分も水泳は区大会レベルではメダルを獲れたけど、東京都や全国レベルの選手は一緒に泳ぐと力の差に歴然とするし、高校では将棋の大会で入賞するような猛者とやってみたけど、どんなにハンデを付けても勝てる気がしなかったし、映画や演劇でも才能のある人の作品を観ると、どんな頭をしていたらこんな発想ができるんだろうと思ったりする。

だが、「天才」との違いを見せつけられることは、意外に心地よかったりする。自分自身の力の無さを見せつけられるのだが、圧倒的な差を教えてもらうと同時にそんな「天才」と一緒にやれたことに感謝の念が芽生えてくる。

本書はそんな数学に関する「天才」たちが登場する。そして、その天才たちの一端が垣間見える黒板が数多く出てくる。文系の自分にはその黒板で描かれているものが何なのかすら分からないものもあるし、語られるエピソードの固有名詞すらわからなかったりもする。だが、その黒板で描かれるそれはある種の作品ともいえるものになっているし、オーラすら感じられる。おそらくホワイトボードでは感じられることがなく、黒板であるがゆえに醸成される魅力であろう。

本書を読むと、黒板が欲しくなる。

横幅1M弱の黒板と黒板消し、ハゴロモ・フルタッチ・チョークをamazonのカートに入れるまでしたのだが、妻に反対され、購入には至らず。

本書を読ませて説得するしかない。

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