歯周病には特有の匂いがある~自分で気づけない口臭を防ぐ
他人から「口がくさい」と言われることはとても嫌なことです。しかしそれよりも嫌なことは、実際に自分の口がくさい匂いを発していることではないでしょうか。
歯周病を発症していると、嫌な匂いを発生することがあります。この記事では、歯周病の匂いの原因と、これを改善する方法をQ&A方式で紹介します。
歯周病特有の匂いとは
歯周病患者さんの口腔内から発せられる特有の匂いについて解説します。
Q:歯周病の口臭にはどんな特徴がありますか?
A:歯周病患者さんの口臭は「卵が腐ったような匂い」「玉ねぎが腐ったような匂い」「生ゴミのような匂い」と表現されることがあります。これらを腐敗臭といいます。
むし歯でも口臭が発生しますが、こちらは症状が悪化して初めて気になる匂いになります。
一方、歯周病による口臭は比較的早い段階で発することがあります。そのため、まだ歯周病かどうかわかっていない人は、腐敗臭がしたら歯周病かもしれない、と疑うことができます。早めに歯科クリニックにかかりましょう。「口臭が気になるだけで歯医者にかかるのは気が引ける」と考える必要はないのです。
自分では気づかない歯周病の匂いを確認する方法
歯周病の匂いは、周囲の人は気がついているのに自分では気づけないことがあります。そこで「もしかしたら」と思ったときの匂いの確認方法を紹介します。
Q:歯周病の口臭を確認する方法を教えてください。
A:自分では口臭を認識できないものの、「もしかしたら」と思ったら、次の方法で確認することができます。
使っていないコップやビニール袋に息を吹きかけて、すぐにそのなかの匂いを嗅ぐと、くさく感じることがあります。
またマスクを着用している人であれば、口に当たる部分がくさくなることがあるので口臭の有無がわかります。
デンタルフロスを使う方法も有効です。デンタルフロスで歯と歯の間を掃除したら、その匂いを嗅いでみてください。歯周病を発症している歯の近くを掃除すると悪臭を嗅げるはずです。
そしてこれは少し覚悟が要る方法ですが、親しい人に口臭を嗅いでもらうのは効果が高いでしょう。「歯周病が原因で口臭がする可能性があるらしいので確認して欲しい」と依頼すれば、引き受けてくれると思います。
歯科クリニックにかかれば、口臭測定器を使ったり細菌検査を行ったりして確実に口臭の有無を確認できます。「口臭が気になったら歯科クリニックへ」と覚えておいてください。
Q:口臭が強くなる原因は何ですか?
A:口臭が強くなる原因はいくつかあります。
まず歯周病が悪臭を放つ原因ですが、歯周病菌が出すメチルメルカプタンというガスです。これは有機硫黄化合物の一種で強い臭気を発するだけでなく、低濃度でも少量でも強い匂いになる性質があります。歯周病菌は歯周病の原因になるので、つまり歯周病は自ら悪臭を発しているようなものです。
そして歯周病のにおいは、歯周病の症状が悪化するにつれて強くなるという厄介な性質もあります。歯周病が悪化すると歯と歯肉の間にできる穴(歯周ポケット)が深く広くなってしまうのですが、そこで歯周病菌が増殖して悪臭を増やしてしまうからです。
むし歯も悪化すると口臭を放つようになります。これはむし歯によって組織が腐るからです。したがって歯周病菌のように自らが悪臭を出しているわけではないので、むし歯は悪化しないと匂いがしない性質があります。そのため、歯周病を発症していないので口臭があったら、それはむし歯によるものである可能性が高く、その場合はむし場が相当悪化しているかもしれません。これも早急に治療が必要です。
匂いがきつい食べ物や飲み物を口にするとそれが口臭になることがあります。ただしこちらは入念に歯磨きをすることで除去できます。
喫煙者はタバコの匂いが口臭と認識されてしまうでしょう。タバコは歯を含む口腔内の健康にも百害あって一利なしなので、口臭が気になったことをきっかけにして禁煙してみてはいかがでしょうか。
口臭の原因が口のなか以外の場所にあることがあります。胃潰瘍や胃炎などが喉を伝って口から悪臭を放つことがあります。また肺感染症や気管支炎といった呼吸器の病気も肺→喉→口という経路で口臭になることがあります。
口臭は健康異常のサインとみなすこともできます。
歯周病の匂いを改善する方法
ここからは歯周病が発する匂いを改善する方法を解説します。
Q:強い口臭を放つ歯周病の原因は何ですか
A:歯周病が放つ悪臭を断つには、歯周病を治せばよいわけです。では歯周病はどのように発症するのかというと、この病気の原因は歯周病菌と、そしてプラーク、つまり歯垢です。
口のなかにいる歯周病菌は、食事の残りかすなどを原料にしてプラークをつくります。プラークは歯の表面にこびりつきますが、それ自体は軟らかいのですぐに歯を磨けば除去できます。ところがこれを放置すると歯石になってしまい、これはとても硬いのでもう歯ブラシでは取り除けません。
歯周病菌はさらに口のなかを酸性にして、歯の表面を溶かしていきます。歯石が増えたり歯の表面が溶けたりすると歯周ポケットができて、そこが歯周病菌の巣になってしまいます。歯周ポケットのなかは歯ブラシの毛が届かないので歯磨きの効果が薄れてしまい、そうなると歯周病菌が暴れ放題になります。活性化した歯周病菌は歯肉に炎症を起こし、さらに出血することもあります。このように口のなかが徐々に侵食され、その被害は歯の根(歯根)や歯を支える骨である歯槽骨に及びます。この状態ではもう歯を固定することができず抜けてしまいます。これが歯周病の末路です。
Q:歯周病の口臭を改善する方法はありますか?
まとめ
口臭が気になったら、その陰に歯周病が隠れているかもしれない、と思ってみてください。また、口臭はなかなか自分では気がつきにくいものなので、周囲の人から指摘されたら不快に思うことなく、知らせてくれたことを感謝してみてください。
いずれの場合でも、自分の口臭を確認できたら、まずは歯科クリニックにかかってみましょう。歯科医に診てもらうことで歯周病が原因かどうかわかります。歯周病の最終形は歯がなくなることなので、早期に治療に取りかかることが重要です。
そして口臭の原因が歯周病でなければ、そのほかの病気によるものかもしれません。つまり口臭の原因を探すことは健康チェックにもなります。
口臭は危険信号と思って、健康づくりのきっかけにしてみてください。
【参考文献】
https://straumannpartners.jp/medical/periodontal/periodontal-disease-bad-breath/
https://www.hiroshima-suto-dc-perio.com/mouth-smells/
https://www.jacp.net/perio/halitosis/
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