見出し画像

ある問題の解決で思ったこと

 ここのところ、2年ほど付き合いをいただいている複数のお客様のところで、解決が結構難しい組織上の問題が持ち上がっていて、ご相談を受けていた。どちらかというと、弁護士さんや社労士さんの仕事で、行政書士としては業際問題として慎重な対応が求められ、立場をわきまえながら、相応に問題解決のお役に立てたのかなと思っている。そして実際に顕在化した問題解決のプロセスを振り返ってみると、お客様とお付き合いが始まった時から、なんとなく感じていたものが、たまたま顕在化したのだなと感じてしまう。直感と感性を磨くことが重要だなと改めて思い、サラリーマン時代にも同僚によく言っていた言葉で、「解決しない問題はない。」という言葉があるが、潜在化した問題の解決のお手伝いをする日がいつか来るのかもしれないなとも思っていたことも思い出した。

 お客様へのお手伝いの過程で、「解決しない問題はない。」という言葉ということを久しぶりに口にした。問題を解決したいと思い、頭の片隅に置いておくと、朝の起き抜けであったり、同僚や友人の何気ない言葉など、何かの拍子に解決の糸口をつかむことが不思議にできるのである。そういうことを何度も経験してきたが、今回のケースも同じで、問題が顕在化してから、問題解決の道筋がつかめない時期もあったので、お客様を励ます意味で、使ってみた。お客様がどう思ったかはわからない。

 あと、天の配剤という言葉も実感する。問題が解決する時には、それなりの役者や、機会に恵まれる。組織上の問題というのは、最後はその組織を構成する人間の組み合わせの問題だと思っている。組織に長くいる人間は、総じて守備的であったり、我関せずといった立場になりがちである。逆に来たばかりの人は、義理やしがらみがないのでとっとと舞台から去っていくことが多い。そういった人の入れ替わりの末に、何かしらのきっかけがあった時、残っていた人が、自らの役割をそれなりに果たしながら、問題が解決していく。

 複数のお客様で、関わり合い方も違うため、一概には言えないが、行政書士の立場では出来るのは書類作成の実務的な対応で、内部的な情報収集や意思決定はお客様にやっていただくことになり、その段階で、あまり接点のなかった方々のご協力があったのは、まさに天の配剤という言葉がぴったりであった。私自身の存在も天の配剤だったかもしれない。

 組織運営について少し書いてみたい

 大企業で、末端の組織を運営するのは、自分自身もその立場にいたので、それほど難しくないと思う。なぜなら、人の駒はそれなりに揃っていて、組織の大きいので、組織のどこかに、当該社員にとって能力を発揮できる場所を、手当しやすいからである。また人間関係のもつれなども、人の入れ替えをすることで鎮静化させることができる。少し横道に逸れるが、ただ、末端の組織の長の中には、自らが使いやすい人間だけを集めて、囲い込みをする人もいる。その人に選ばれない人間は、その組織の外に放り出されるが、会社全体としては別な組織で何らかの形で吸収できて、定年退職や業務出向転籍といった形で人員を整理していくので、問題は顕在化しないことが多い。

 会社全体の組織の長である社長が、同じように使いやすい人間だけを集めて経営を行うと、大きな問題となることが多いのではないかと思う。社長に対してイエスマンだけをそろえた組織は、社長が間違うと歯止めが利かないし、悪い情報を上げない組織にもなりうる。挙句の先には、業績の不振や不祥事でマスコミを騒がすことになる。

 それに対して、中小企業では人の問題はそうは簡単にはいかない。中小企業では、末端の組織というのがないので、組織の長と言えば初めから社長となる。日本の労働法は、労働者の解雇のハードルは高く、年功序列の企業風土が有ったりして、雇った人間がぶら下がって、能力のある人間はぶら下がる人間の給与が自分より高かったりすると、外に出ていきやすい構図になる。人間関係のもつれなども問題になりやすい。小さな組織では能力のある人をどう確保するか、ぶら下がった人間をどうするか、こじれた人間関係をどうするのかが、大きな問題になってしまう。そして、これらの問題は、組織の長の問題でもある。それぞれのやり方で、人心を掌握し、やる気を起こさせる組織作りをしないと、組織は活性化していかないし、組織も継続していかない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?