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新しい仕事(マンション管理組合の相談業務)

 お手伝いしているお客様の3月決算に係る仕事が一段落して、先月末からマンション管理組合の相談業務が始まった。物件は50年超築古の物件だが、立地はマンションの需要の旺盛な地域にあるので、区分所有者も世代交代を重ねながら、今社会問題となっている空き家(マンションだから空室のほうが正しいかもしれないが)はまだまだ少ない。築古ということもあり、将来の建替えも視野に入れて諸問題を解決していく必要のあるマンションだ。
 まずは、管理規約などを見直しをして、将来の管理組合の意思決定がスムーズに運ぶように、お手伝いができたらと思っている。

 最初にお声がけいただいた区分所有者の方は、デベロッパーの社員の方で、私より断然不動産の開発にも詳しい方だが、区分所有者というお立場なので利益相反の立ち位置になることも想定して、第三者である何人かの士業の方にお声をかけて、将来の大プロジェクトに備えたいとのことだ。他にも役員にはゼネコンの方がいたりして、理事会には当事者意識の高い方がそろっているように見える。
 権利関係の複雑さがなければ、スムーズに建替えの選択肢を取ることになるのではと思うが、現実は権利関係はいささか複雑で、区分所有者の意思決定が、スムーズには進まないことが想定されています。

 マンションを巡る諸問題については2年ほど前に、書いているが、「二つの老い」又は「三つの老い」ということがよく言われている。最初の「二つの老い」は設備の老朽化、区分所有者や入居者の高齢化だ。「三つの老い」については主に管理会社が言っているが、最初の二つは同じで、最後の一つは所謂管理員や管理組合役員等のマンション管理従事者の高齢化だ。

 まずは設備の老朽化の話だが、大規模修繕や耐震工事が適切に行われていれば、問題はないが、当該マンションに関しては、建替えを視野に入れながら、大規模修繕を考えていくことが必要になる。耐震工事に関しては築50年超なので、新耐震基準前の建物であり、一部のみ実施とお聞きしている。建替えとなると、一時金拠出による資金に確保が前提になると思われる。

 次は、第二の老いの区分所有者や入居者の高齢化についてだ。
 区分所有者や入居者の高齢化は、日本社会の全体の話として深刻な問題だ。しかしながら、そこにはマンション特有の問題も孕んでいる。当該マンションに関しては、物件の立地の良さもあって、世代交代による資産の承継は比較的スムーズにいっているように聞いている。それは空室が少ないということから推察される。確認は未済だが、結果として管理費や修繕積立金の滞納も少ないのではないかと思う。

 第三の老いの管理従事者の高齢化は、管理会社が専ら言っているので、管理会社の内部の話と聞こえるが、管理組合にとっても大きな問題を抱える。俗に、マンションは「管理で買え」と言わる。当該マンションに関してはまだお仕事を始めたばかりで、実際に中も拝見していない状況なので、管理状況に関してはよくわからない。ただ、最近の人手不足の深刻化は、管理会社からの管理物件の選別や、支払われる管理費の額によっては、提供されるサービスの質の低下を招くことは必然だ。管理会社が管理人や清掃員を雇う際に支払う最低賃金は国の政策で上昇し、コロナ前には現に管理費の値上げの動きが出ていたので、当事者間の利害は相反し、その調整の結果、さらに管理の質の維持は困難になる。

 管理組合の理事会役員の成り手不足の問題に関しては、幸い当該マンションは理事会メンバーにそれなりの方がいるようなので、当面懸念はなく、小職に声がかかったように、マンション標準管理規約の前回改定で盛り込まれた外部の専門家の活用なども始められたので、大きな心配はないようだ。

 冒頭に書いたように、まずは、管理規約などを見なおしして、将来の管理組合の意思決定がスムーズに運ぶように、お手伝いができたらと思っている。


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