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NPO法人

 神奈川県ボランティア活動の支援の仕事やお手伝いをしているNPO法人、大学時代の友人が関わるNPO法人が行ったクラウドファンディングへの寄付等を通じて、NPO法人やボランティア活動に関して、最近色々感じたことがある。

 1995年の阪神淡路大震災で、ボランティア活動の役割が大きくクローズアップされた。さらにその認知度を高めて、社会の変化に対して、硬直した行政システムの補完的な役割を担う狙いもあり、1998年に特定非営利活動促進法が制定された。以降、様々なNPO法人が設立され、活動の領域も拡大し、2014年頃には現在の数に並ぶ法人数になっている。内閣府がまとめた2008年の市民活動団体等基本調査を見ると、事務局の年齢層は50歳以上でかなりのウエイトを占めていると推定できる。調査から10年以上の年月の経過しており、現在はさらに一層の高齢化が進んでいるのも明らかである。支出に関しては、法人化した組織は障害者や教育等福祉関係の団体中心に行政からの補助金や業務委託費などを受入、それが人件費に充当できるために支出に占める人件費割合は50%程度と高くなっているが、任意団体では人件費割合は11%であり、無償での活動が大半を占めていること考えられる。
 これらのことは、県の仕事で市民活動団体の資料を実際に拝見しても、実感できる。様々な団体で、構成員の高齢化が進み、活動が頭打ちや尻すぼみになりつつある。前述の通り行政から人件費に充てられる補助金や業務委託費を獲得できた団体(法人化した団体が多い。)は、人も確保できていて、活動も安定的なものになっている。NPO法人が人を確保するために一助となっているものに、企業がSDGsへの取り組みとして行っている1%クラブや、学校教育のカリキュラムでのボランティア活動の取り組みなどがあるが、それは残念ながらまだ一部の企業での取り組みに過ぎず、それらは人物金の出し手側の活動であるので、受け皿側である市民活動団体の組織がしっかりしていることが前提となる。そして、出し手の側の活動も決して永続的とは言えず、経済情勢は当事者が変わることで一過性のものなる可能性がある。受け手側が継続的な支援を得るのには、日常的な活動の継続と広報活動が大事だと痛感している。

 そもそも、NPOは市民自らがその価値観、関心等に基づいて地域や社会の課題解決を目指す活動で公益法人やNPO法人、自治会、各種市民活動団体、ボランティア団体の活動を広く包摂するものだ。政府の広報オンラインでは、NPOが行う活動の特徴について、「優れた現場感覚をいかした地域密着型が多く、さらに創造性や柔軟性のある活動もできることから、行政サービスだけでは行き届かないようなきめ細やかな対応や、状況に合った新たなサービスの創出といった重要な役割を社会の中で担っています。」とある。企業活動もそうだが、どんな活動においても人物金が大事だと言う。物は金によって得ることができるので、結局は人と金と言えるのではないかと思っている。

 神奈川県の仕事で、色々な団体の活動計算書を拝見するが、人件費の支出がほとんどない団体はいくつもある。そういった団体では当然人は無償で活動を行うことになる。活動そのものの楽しさや活動の社会的意義、そして社会参加すること自体、他社からの認知等、参加者にとっての価値は様々で、それが活動の原動力になってきたのだと思う。そんな団体を見ていると、この団体の構成員の人たちはどうやって暮らしているのだろうなんて余計な心配までしてしまう。

 特定非営利活動促進法の制定の後、特に団塊の世代が牽引してきた団体は、構成員の高齢化が顕著で、活動が先細りとなっている団体も数多く存在する。活動できる人がいないのである。そういった団体は広報活動すなわち外に向けての発信力も残念ながら弱い。広報がなければ、新しい血を入れることができず、活動はさらに先細りとなるという悪循環である。

 中には有償ボランティアを受け入れるために、各種の補助金や民間の助成団体のお金を申請して、活動資金を賄おうとする団体も出てくる。そうなると金の調達が団体の活動に不可欠となる。そこから資金を一時的に提供を受けるとしても、補助金や助成金で人件費を長期にわたって支援してくれるものはないと言ってもいい。補助金・助成金を得ることで一息ついたとしても、その期間が終わると、新たなところに申し込んで次の活動資金を確保する必要が出てくる。無償でできる範囲での活動をしていた団体が、有償の人を構成員に迎えると、資金繰りに追われる団体に代わる。行政からの補助金や業務委託費などがでる障害者や教育等福祉関係の団体以外はなかなか組織維持を図っていくことが難しいと感じている。

 人とお金をどう集めるか、悩みが尽きないのがNPO法人なのかなと思う。活動の継続には広報活動や、NPO法人の横のつながりなども大切な要素だと最近感じている。

 

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