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日本の立場としては厭や厭やながらも此方から頭を下げて米国人の感情を融和しなければならぬ~三越の古典に学ぶ その8~

日比翁助専務は現実主義者であった。日清戦争、日露戦争に勝利した日本はアジアでの存在感を高めたことで、アジアでの影響力を高めようという米国との利害がぶつかることが多くなっていた中で、対米融和を主張する姿勢を持っていた。

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◎国際的関係は個人間の外交が大切
惟ふに近代の国際的関係は政府と政府との外交より個人と個人との外交が却って大切である。近頃世人は今五十年の博覧会に就て騒いで居るが一体あの博覧会は何れの国を目的として居るか即ち亜米利加だらう、所が今日、日米の関係はと云へば殆ど犬猿の間柄ではないか。之は日本の甚だ不利益とする所で、日本の立場としては厭や厭やながらも此方から頭を下げて米国人の感情を融和しなければならぬ。曲直何れにあるかは別問題として米国人の感情を融和せねば差向日本の損である。即ち五十年の博覧会の準備としても、日本の永久の立場としても、何うしても米国人の感情を融和せねば損である。是れは我々が云ふ迄もなく政府で努めて居るだらうけども。政府計りに任して置く可きものではない。寧ろ政府の対米策よりも個人の外交が好きインプレッションを与えると思ふ。

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政治ではぶつかりながらも経済では融和を続ける。経済交流の重要性を訴える経済人の重要性。今の時代にもつながる話だと受け止めたい。

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