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『タウシュベツ日誌 第0号』2019年11月+Column ④/7

冒頭『タウシュベツ日誌 第0号』巻頭

前項『タウシュベツ日誌 第0号』2019年10月


2019年11月 P23

2019年11月21日 完全水没

〈2019年11月21日〉短い紅葉シーズンが終わるともう晩秋、そしてすぐに冬の気配が近づいてくる。一日ごとに日の出が遅く、日没は早くなり、風も冷たく強く吹き下ろす。P23

Column02 ーこの橋 渡るべからずー P24-25

〈2006年7月15日〉橋上を歩く観光客の姿。 P24

 Webに載せる記事とは違い、紙の本だから紹介できる写真があります。

 時間軸に乗った写真、と表現すれば良いでしょうか。「あの頃」は問題でなかったけれど、「今」では同じことが許されないような写真。ともすると写真だけが一人歩きすることがある媒体では、「あの頃」の文脈に依った写真を発表するために、なかなかの勇気と、そして「良い子は真似しないでね」的なエクスキューズが求められます。

 ほんの10年と少し前、タウシュベツ川橋梁を歩いて渡る人をたまに見かけました。高い所が苦手なので僕は渡りませんでしたが、橋脚の真下に立って橋を見上げたことはあります。どちらも蛮勇を奮ってのことではなく、当時は問題なく出来たこと。そして今となってはどちらもNG行為です。ただ、写真だけでそれを伝えるのは容易ではありません。

 読者のリテラシーを当てにして、「あの頃」と「今」とに境界線を引くことができる安心感。紙の本を作る楽しさは、一つには、制約からのこうした自由さにあるような気がします。

 もう一つの楽しさは、不特定多数に発信しているようでありながら、じつはどこまでも読者との1対1の関係を持てること。もしかすると、紙の本はラジオにどこか似ているのかもしれません。

『タウシュベツ日誌 第0号』P24


〈2008年3月9日〉当時から、すでにタウシュベツ川橋梁からは壁が剥がれつつあった。 P25

次項『タウシュベツ日誌 第0号』2019年12月

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