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放射冷却の朝、糠平湖を渡りタウシュベツへ


雪の日に感じる暖かさを書いたのは昨日のこと。

一転して、今朝は快晴で厳しい冷え込みとなった。雲がない朝は暖気が空へと逃げていくので、気温は一段と下がる。
この朝の最低気温は糠平で-21℃。昨日との温度差が大きくなり、木々は霧氷に白く輝いていた。

12月中旬ころに見ることの多い光景。冬の真っただ中に現れるのは珍しい。

糠平湖上で見上げる空には糸を引くように飛行機雲が伸びていた。

アイスバブルで賑わった糠平湖には雪が積もり、例年並みの落ち着きを取り戻しつつある。水位はいつも通りに下がり続け、白く開けた湖上に流木が目立ってきた。これはなにかの拍子で湖底に刺さった流木が氷を突き破って現れたもので、絶妙なバランスで立っている。

高さ3メートルを超えるものもあり、なかなかの壮観だ。

今シーズンほど数が多い年も珍しい。
珍しさということでは、糠平湖では毎年のように見られるアイスバブルよりもこちらの方が貴重だろう。

タウシュベツ川橋梁は全体の7~8割が氷上に姿を現した。
橋脚部分のコンクリートの劣化具合はご覧のとおり。

毎年劣化が進む橋は注目を集める機会が増え、今日は共同通信発のニュースがYahoo!のトップニュースになっていた。

記事中にある

湖の水流などで崩れゆく姿が人気だ。

というのは間違いで、橋の崩落を進める大きな要素はまさに冬のこの寒さだ。水没した状態で冬を迎えるタウシュベツ川橋梁に染み込んだ水は、内部で凍結し膨張する。そしてその氷が解けることでコンクリート内部の隙間が広がり、いわばスポンジの目が粗くなるように劣化していく。

水に沈むことがなければ、また冬の寒さがこれほど厳しくなければ、タウシュベツ川橋梁の劣化はこれほど進むことはなかったかもしれない。

その仮説を目に見える形にしたいと考えて作ったのが、タウシュベツ川橋梁と同時代に建設され、現在も士幌線廃線跡に残るコンクリートアーチ橋梁群をまとめたZINE『80年目のアーチ橋』だ。同じ歳月を重ねた橋梁を比較してみると、凍結融解による影響の大きさを知ることができる。


地元北海道新聞社から写真集を出版してちょうど1年。この写真集に収めた写真を撮った時と比べても、橋は全体的に細くなってきたようだ。


いただいたサポートは、引き続きタウシュベツ川橋梁を記録していくために活用させていただきます。