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『タウシュベツ日誌 第0号』2020年1月+Column ⑥/7

冒頭『タウシュベツ日誌 第0号』巻頭

前項『タウシュベツ日誌 第0号』2019年12月


Column03 ーやがて語られる風景ー P34‐35

〈2020年2月16日〉橋の大部分が氷上に現れる2月上旬から中旬にかけて、連日多くの人たちが訪れる。 P34-35

 平安中期の歌人、藤原公任は「滝の音は 絶えて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞こえけれ」と詠みました。もう無くなった滝だけれど、その名声は今でも語り継がれている、と。
 
 この歌に詠まれた滝を、タウシュベツ川橋梁になぞらえることができるだろうと僕は考えています。もちろん今すぐのことではなく、十数年あるいは数十年経った後に。積もった瓦礫を前に、ここにタウシュベツ川橋梁という橋があったのだと、誰かが語り継いでいくことでしょう。それは僕かもしれないし、あなたかもしれません。

 人知れず北海道の山中で崩落を待つ橋。やがて、そこに多くの人々が訪れるようになり、そしてまた静寂が戻る。

 短編に終わるのか、長編になるのか。その行く末はまだ分かりませんが、語り継がれるべき物語をこうして眼前にできるのは、現在を生きる僕らにとって幸運なことだと思います。

『タウシュベツ日誌 第0号』P34


2020年2月26日 無数の足跡に取り囲まれて

〈2020年2月26日〉足跡が消えるいとまもない。P35


2020年2月16日 片道2キロを歩いて橋に向かう人々

〈2020年2月16日〉雪の中を片道2キロの道のり。 P35

2020年1月 P36‐P41

2020年1月3日(2点) 氷を突き破って現れる橋 

〈2020年1月3日〉水力発電に使われる糠平湖の水位は冬の間一日に15cmから20cmずつ下がる。橋が徐々に姿を見せ始め、足を運ぶたびに違う印象を与えられる。 P36-37


P36-37


2020年1月15日 橋に圧し掛かる青氷

〈2020年1月15日〉厚さ20cmを超える青氷。凍る過程で、水の中の不純物が少なくなるほど青く見えるという。年によっても、同じ湖でも場所によっても、氷の色合いは異なる。 P38


2020年1月8日 アーチ橋の面影はなく

〈2020年1月8日〉この時期のタウシュベツ川橋梁は、氷を突き破って生えてきたようにも見える。初めて訪れたなら、これがアーチ橋だとは想像もつかないだろう。 P39


2020年1月29日(2点) 氷を破り、氷に削られ

〈2020年1月29日〉完成から80年ほどのコンクリート建造物が、尋常でない速さで劣化していく原因のひとつに氷による浸食がある。 P40


P41

次項『タウシュベツ日誌 第0号』2020年2月+あとがき


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