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中年の悲哀


人々よ。

中年の悲哀。

齢五十代に入り、長年勤めた銀行を去ることに。
上司に楯突き、辞表を叩きつける。

そこから、フリーの物書きやら評論家としての生業を始めるのだが...

突如として、一通のメールを受ける。
覚えのない女性から。何でも、かれこれ数十年前に同じ職場で働いていたとか。

最初は詐欺かと訝しがりながらも、誘いに応じて会うことに。

すると、何やら娘と一緒にやってきて、これなら安心かと、ホッとする。

しかしながら、逢瀬を重ねて行くうちに、その母娘と抜き差しならぬ仲に。正に親子丼。

序盤は江上氏らしい経済小説だが、徐々に官能ものに。終盤はなんとも言えない、自業自得としか形容できないが、人生の機微はそのグレーゾーンの連続なのやもしれませんね。

全く救われないというわけではないが、哀れ。

若くはないが、今すぐ死に近いという距離でもない。悲哀の物語の中に、仄かな希望が見えるような見えないような。

ただ、江上氏はやはり昭和舞台のゴリゴリの経済小説の方が圧倒的に面白いな。

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