◆いくつもの「こんなはずじゃなかった」
説明できない涙が溢れる夜がある。
見ないふりしてきた傷だらけの荷物がいくつも身体のなかにあって、
寂しい夜には、それがゆっくりはみ出してきたりする。
いまさら目を合わすと大怪我しそうだから、なんとかあった場所にぎゅっと押し込める。
ひとつひとつ丁寧に向き合って、折り合いをつけていく作業はまだむずかしい。
ただ、ずっと見ないふりをしておくにはタイムリミットのようなものがあるらしく、
身体の遠くのほうで声にならない叫びが聞こえた。私には「気がついてほしい」とそう聞こえた気がし