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太陽の輝きはしんどいって
私を、私にしてくれる場所があると思った。
久しぶりに訪れた沖縄。人生で5回目くらい。
懐かしいなあ、太陽暑いな、そこらへんにしげる草木はやたらデカいし、京都に茂る草木の、3倍くらいはある。
野生のハイビスカス。顔のサイズはありそうな葉っぱ。
謎の植物。謎の果実。
実は沖縄で、執筆の続きをしようと思っていた。
雨続きの京都に嫌気がさしたのもあって、気分を変えて沖縄でしか書けない文章を書こうかな、とそんなことを考えていたけれど、何も書けなかった。
というか、書こうと思えなかった。
圧倒的な陽性の空気を纏っている島で「世界は寂しい」なんて言葉がぜんぜん出てこない。
空はどこまでも青いし草木は元気いっぱいだし、そんな世界で、傷がどうだとか、生きることがどうだとか、暗闇のなかでしか育たないような気持ちが一瞬で焼きはらわれた。
私にとって、今にも見落としそうな小さな孤独や、まだ痛む古傷を丁寧に拾っていくことはアイデンティティに近いと思っている。
よく心配されるんだけれど心を病んでいる、とかではなく、心の構造を洗い出していく作業が好きだ。
しかし暖かい島国ではそんなふうに心を洗濯する自分になるのがむずかしかった。
どんな影も消してしまいそうな太陽の眩しい光に、いつもそばにあった絶望が薄まっていくのがわかった。
そのほうがいい人のほうが多い気のしたけれど、私は生きるために絶望が必要だ。
この明るさは時に必要ない、とそう思った。
ちなみにいまは湿度の高いホテルの部屋にいるから、これが書けている。
海沿いだからかな、用意された部屋が絶妙にじめじめして、寒くて薄暗い。
ここは沖縄でも唯一、私を私にしてくれているのかもしれない。
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