見出し画像

禁酒令の「酒」って①

【禁酒令下の酒】
 現代版の禁酒令では、飲食店が、「酒類」を提供することを終日自粛するよう要請しているほか、客の持ち込みもだめだということらしい。
 飲酒によって、気が大きくなったり、大声を出したりするので、お酒を飲むこと自体が「悪」なのだ。

【飲食店の対応】
 お酒の提供を主としてる飲食店にとっては死活問題。自粛要請を無視し、罰金を払ってまでも、営業時間の短縮をせず、また、お酒の提供も続けているお店もある。
 要請に従いつつ、知恵を出して営業を続けるお店もあるが、お酒に関しては、その知恵の芽をことごとく摘まれてきた。前記した「持ち込み」のほか、「一人飲み」、「路上飲み・外飲み」などだ。
 そして先日、苦肉の策のノンアルコールのカクテルについて、「東京都と税務署が、自家製のノンアルカクテルも「酒」だと言った。」というような呟きがあった。それって本当か。

【官庁は縦割りなのがお決まりでは】 
 東京都が自家製ノンアルカクテルは「酒」だというのと、税務署がいうのは、意味合いが全く異なる。
 東京都はアルコール分があろうがなかろうが、感染症対策のための権限をお持ちなので、「それ」もいわゆる「酒」に該当するというのはいい。その指導に根拠はなくてもまかり通る。それが行政指導というものなのだから。
 しかし、税務署は違う。税務署は酒税を課すために「酒」を判断すし、その権限しかない。だから「酒」だという、根拠が必要だ。
 自分なりに根拠を探したが見つからない。
 酒税法上の酒類は、「アルコール分1度以上の飲料」、これが根幹。
 呟きを読み進めるとどうやら、自家製がよろしくないようだ。

【酒税法を整理してみる】
 そもそもカクテルは、お酒にお酒や他の飲み物を混ぜたもの。これは、酒税法では、新しいお酒の製造とみなされ(酒税法43条1項)、お酒の製造免許が必要になる。
 しかし、そのカクテルを飲む直前に作って、自分で飲んだり、飲食店がお客さんに提供したりする分には、お酒の製造とまでは見ませんとされているもの。(酒税法43条10項)
 このカクテルは、お酒に何かを混ぜてノンアルコール(アルコール分1度未満)としたものであるのだから、酒税法上の酒類の定義からは外れ、かつ、酒税法43条の規定も、お酒とお酒を混和した後もお酒であることが前提であるので、該当する条文が見当たらない。通達も見たが同様。

 市販のノンアル飲料(1%未満のアルコール分あり)は「酒」ではなく、自家製ノンアルカクテルは「酒」という論理が理解できない。

 だれか教えてくれないかな。
 あっ 税務署にきけばいいのか。でも、税務署は「酒」と言っているんだよなぁ…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?