迷いなく櫛をいれることができるなら
1度頭をかきまぜれば、
あまりにもあっさりと指にからんで
抜け落ちていく。
ちょっとやそっとじゃ傷つかない
まっすぐすぎる彼女は
わたしらしいなぁ、と思えるパーツで
少し自慢だった。
たまにおしゃれな雰囲気に憧れて
パーマやカラーにも挑戦してみたけれど、
結局しっくりくるのは
あくまで自然な彼女だった。
毎朝お布団から起き上がっては、
身支度をしては、掃除をしては、
洗濯した服をたたんでは、
ソファに座っては、
目の前に広がる彼女を拾う。
これは症状の1つで、
栄養が行き届いていない証拠らしい。
櫛をいれると肌色が見えるようになってきた。
大人っぽくなりたいなぁ、と
前髪をずっと伸ばして流してきたのだけど、
まんまるな輪郭にはやっぱり短い前髪がほしいなぁ。
肌色もどうにかカバーできないかなぁ。
そろそろ全体的にお手入れが必要だ。
… 困った。
今の状態で美容室なんて行ってみたものなら、
美容師さんが恐怖に陥る!
シャンプー台とか、チェアー周りが
確実に大変なことになる!!
それでもせめて前髪が欲しかったわたしは
今日もガタガタの前髪を
アイロンでどうにかごまかし、
珍しく毛先にオイルなんかを塗っちゃって、
病院に行くのでした。
ちゃんちゃん!
髪は大切!
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