道具と使い方
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道具と使い方

私は砥石を持っている。そして、その使い方も知っている。なので刃物を快適に使い続けられる。もし私が刃の研ぎ方を教わることがなければ、砥石は漬物石かドアストッパーという利用のされ方になっていただろう。
そんなところから、使い方がわからないと道具はあってもないのと同じ、それはアートにもいえるなぁ!という日記です。

砥石の話

おどるなつこはタップダンサーなので、たびたび板のメンテナンスを行います。もう15年以上前になりますが、解体古材を集め始めた頃、反りや歪みでがたつきが出てしまうことを解消するために、ノミとカンナを買いました。ちょうどそのころは、木造木軸建築のWSにもよく参加していたので、ノミの使い方はだいぶ習得しましたが、カンナは難易度が高くてまるで使えず、放置してありました。

ちょうど同じ頃に、雨漏りのある昭和古民家に引越しが決まり、ぼっとん便所でしたがお庭も広く、壁に漆喰を塗ったり、改修を楽しみながら娘と猫たちとの暮らしを楽しんでいました。とはいえ、雨漏りとそこから傷んでいる柱に関してはプロの仕事が必要でしたので、先の建築WS主催の建築士さんに相談して、大工さんに入ってもらいました。

棟梁と若い大工さんは8時〜5時、ほぼ無言で仕事を進めていき、お昼の他に10時と3時に休憩をとります。私は大工さんたちが仕事されている間中、そばに張り付いて、その仕事をじーっとみていました。大工さんたちも、始めこそ(なんだこの人)と思われたでしょうけれども、私が興味があることを感じられたのでしょう。泊まりだった棟梁が、夕飯の時にいろいろ説明してくださる建前の話はとても面白かったです。


その中でも私が一番観察していたのは研ぎです。現場の隅には常に水に浸かった砥石があって、ちょっとした仕事の切れ目になると、シューイシューイと気持ちの良い研ぎ音が聞こえてきます。私はその音が聞こえたら必ず、ちょっと離れたところからじーっとそれを眺めていました。大工さんの背中はまるで動かず、静かに前後します。刃物の角度を守っている、一定のシステムのような身体。

あるお昼休みに、思い切って、私のカンナを出してきて見せました。
これ、使えるようになるかしら?
これまでの視線に合点のいったらしい棟梁が「研ぎ方を教えましょう」と言ってくださり、私はカンナの刃の、はずし方・研ぎ方・嵌め方を教わりました!一連のその様子を眺めていた若い大工さんが「俺ら、絶対教われないんっすよ〜。見て覚えろの世界なんで。いいなあ、これめっちゃ特別ですよ〜!」

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そんなラッキーな体験を得て、しばらくカンナが使えるようになろうと試みていましたが、やはりですね、とても難しいのですよ!例え刃をうまく研ぐことができても、目立ては1回教わったぐらいではなかなか!!

というわけで、日常的にしている刃物研ぎは、工作用の小刀と包丁ぐらいになってしまいましたが、苦労なく刃物が研げるということは、生活を楽にします。25年前に吟味して買った100均の包丁も、砥石のおかげでいまだ台所のメインです!

パソコンの話

同じようなことはパソコンに関してもあります。私が大人になったころにはインターネットがありませんでした。外国に行くときに「地球の歩き方」という雑誌を購入して、何年も前の情報を手掛かりに宿を探すしかなかった。パソコンを購入したのは出産後です。仕事にインターネットは必要!と思って、使い方などはもちろんわからないまま、説明書を読んで(まだFAQがそんなに整備されていなかった)キーボードの打ち方を覚えたわけです。

で、やはりカンナと同じで、道具は持っていても、使い方がわからないとそううまくは使えないものです。時代とともにパソコンも使いやすくなっていき、この5年ぐらいで全ての文書のやり取りがネット経由になったので、要求されるままに互換性のあるアプリを開き、使い方を調べてなんとかやっていました。2台目のiMacが壊れて1年以上スマホで文書作成をしていて、さすがに助成作業などで要求される書類がスマホだけでは対処できなくなり昨年のお正月セールでノートPCを購入しましたが、メール設定でつまづいて、結局文書をクラウドにあげるぐらいしか使えていませんでした。

アナログなことは動きと結果がイコールなので観察によりかなり理解できますが、デジタルなことは、表に見えている現象が自分の行動と結びつかないことが多いです。私は文章を打つ以外のことができませんでしたが、これは、スマホやパソコンなしで大人になった世代の多くの方々に共通することかもしれません。今の子どもの感覚とは完全に違うでしょう。

そんな私ですので、コロナで表現活動が制限されたときにはかなり絶望的な気持ちになりました。人のいる場所で踊れないとは、ネットでしか交流できないのかぁ。パソコン、文字打つ以外に使えないしなぁ。。。
そんな私がデジタルギフト事業を始めることになったわけですから、運命とは奇妙なものです(笑)

映像の話

コロナ自粛の昨年は、iPhoneで撮影編集した動画配信にトライし、苦手なりにも動画配信にチャレンジしていました。それを助けてくださったのは、ある撮影現場でご一緒したHello Chigasaki ASMRさんです。

撮影・編集・配信という一連の基本を教えてくださって、私は思い通りにはできないままに公開していた動画を、成長させていくことができました。例えば「おうちでタップ」シリーズ、私の送るダンス的な内容は同じでも、公開された動画から受ける印象には、かなりの違いがあると思います。

1年間、苦手ながらも諦めないでいてよかった。今、私は動画をつくる作業が、もう辛くはないです。パソコンを見つめていたら、どうすれば私がやりたいことにつながるのかがなんとなくわかってきた。

ダンスの話

そして、これはアート全般にも言えることなのではないだろうか、と思います。それは何ができるのか?それはどう使えるのか?自分はどうしたら良いのか?わからないままただ並んでいても、ちょっとみて(面白いかもね)と思っても、それ以上興味を持てずにおしまいです。

ダンスや音楽は観る専門でも楽しめますが、映画や読書などに比べると、ちょっとでも踊ったり歌ったりしたことがある方が、より楽しめるように思います。けれどダンスなどは、ちょっとやってみる、のハードルが高いのかもしれないなあと思います。触れたことのない人に少しの案内でもできればなあ。

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そう思っていたために、活動初期から大道芸ライセンスを取り、ストリートパフォーマンスや子どもの場で、誰でも楽しめるタップのワークショップを開催してきました。
タップダンスという表現の道具をどう使うと楽しいか。私はそれをたくさんの人に伝えたい!

道具には使い方がセットじゃないとね〜!という実感とともに、自分のできること、役目も再認識してみました。

気持ちだけで始めた2020年3月27日の動画。でもそれが2021年4月の私の基になっている。そう思うと、下手くそさも帳消しできますなw!
多くの人にタップダンスの楽しみ方を伝えたい、という気持ちが、やっと形になってきた。タップダンスは、こんな風にも楽しめます!!

この1年、下手な映像ながらも、見守って応援してくださった皆さんに感謝しています!!!




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おどるなつこ

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やったー!
タップダンサー・振付家/2002年ヘブンアーティスト認定、演劇振付や芸術家派遣事業で全国巡る。2010年"あしおとでつながろう!プロジェクト”を設立、障害のある100名と共に、誰もが尊重しあう体験を町に広げている。"アート×福祉“ プログラム事例〜おどるなつこ裏日記。