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くもりのち雨でも Day4 ~瀬戸内国際芸術祭2022(沙弥島、瀬居島)

沙弥島の旅のちょっとした情報

・高松駅→坂出駅(JR四国 マリンライナー)
・坂出駅→沙弥島会場→坂出駅(臨時シャトルバス)
・坂出駅→与島→坂出駅(臨時シャトルバス)
※臨時シャトルバスの一日乗車券を2000円で購入。与島にも行く場合は、坂出駅に戻ってから行く必要があるため、両方の島に行くなら一日乗車券がお得。ただ市営バスに乗ると別料金がかかってくるので、臨時バスの時刻はチェックしておいた方がいい。
・沙弥島の滞在時間:3時間半
・与島の滞在時間:約2時間
・坂出駅の高架下にロッカー(大中小)あり。雨に濡れずにロッカーまで行けるから、ここに預けて岡山駅へ帰るほうが効率は良かった。
・高松駅近くで朝食付きでホテルに泊まったが、せっかくなら朝からうどんを食べるという手もあったのかとちょっと後悔した。

沙弥島をあるく

春会期限定で見ることができた沙弥島のアート作品。それが思いのほか良かった。特に南条嘉毅さんの”幻海をのぞく”は、その空間から離れてしまうことが惜しくて、ずっとそこに居てしまいたくなるほど心地いいものだった。部屋に入るとピアノの音楽が流れていた。調べてみると阿部海太郎さんという方の音楽らしい。部屋の周りが通路になっており、アンティークな時計やレコードプレイヤー、古い椅子などが雑多に置かれていた。部屋の真ん中の展示空間にはスクリーンが備えられ、海から見た島のシルエットが白黒で映し出されていた。床は海底のようにでこぼことして、太陽光のようなきらめきが揺れていた。この感動は実際に見てもらうしかないと思う。ただ、そこにいると人生における潮の満ち引きや、風化していくことの美しさ。過去と現在、そしてこれからの自然の変化。僕ら人間もその自然のルールの中で生きていることを感じ、その避けがたいものが有難くも思えて、なんかすべてのものが愛おしくなるような、そんな不思議な空間だった。これは本当によかった。

もうひとつの作品、レオニート・チシコフさんの”月への道”もよかった。与島には彼の連作が展示されていた。僕の勝手な解釈としては、人は生まれてから死ぬまで多くの人と出会うことになるけれど、生まれるときと死ぬときだけは誰しもひとりぼっち。その孤独を家族を残して月へと旅立つ宇宙飛行士と照らし合わせて表現しているように感じた。宇宙ははるか遠くにある、そして与島もやはり面倒だけど遠くにある。

孤独の中でどう生きるのか、どう死んでいくのか、それを詩的に表現したものが沙弥島で見た作品だったような気がする。沙弥という言葉を調べてみると、修行未熟な僧と載っていた。沙弥島を歩いていたときの僕らは、沙弥だったのかもしれない。そう思うと、作品の見方がまた深まりそうだ。

雨のなか、沙弥島をゆく


宇宙への道はとても複雑。(バスという名の宇宙船から)

瀬居島をあるく(番外編)

沙弥島で作品を見たあと、与島に渡るため坂出駅に戻る前に、一日乗車券があったから瀬居島にもちょこっとだけ寄ってみた。大学が主催しているアートプロジェクトのようだった。沙弥島のものが魅力的であったために、作品の深みがどうしても薄れてしまうのは仕方がないが、時間があるなら訪れてみるのもいいかもしれない。

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