#病は突然に4 実習生がきた話

前回よりは早い更新ができました。
どうも、あたるです。
退院は一応6月末ごろに決定して、今後はリハビリを続けながら家に帰る準備をしていく予定です。手すりや段差をなくすためのスロープなどを設置したり自分専用の車椅子を作ったり。
ようやく退院が見えてきたけど、丸一年入院することなんてこれっきりにしたい。


6月、7月中はとにかく暇だった。というか動けないしこの時は携帯もなかったしテレビも見れなかったからひたすらベッドに横たわっているだけだった。加えて、何度も書いてるけど発熱も続いていた。
やることがないのでどうしても思考する時間が増える。
どうしてこんな事になったのかと過去を憂いて、これからどうなるのだろうと未来を悲観した。
この時期はもっとも鬱屈してしたと言ってもいい。
毎日泣くとかではないけど呆然とした日々だった。
今が希望に溢れているわけじゃないけど少なくともこの時に比べたらマシだ。

そんなタイミングで、看護学校の生徒さんが実習にやってきた。そういう時期らしい。
看護士さんに実習生が来てるんですけど見学いいですか?と聞かれた。血圧や体温測ってもらうだけでこちらが何をするわけでもないとのことなので承諾した。

やってきた実習生は二十歳ちょっとくらい。マスクしていて顔がわからないのもあるだろうけど、女性というより女の子という印象で幼さが漂う。そしてあきらかに緊張してる。
ご老人の多い病院で比較的歳の近い異性を担当するというのは確かに緊張しやすいのかもしれないな、と僕は思った。
一応年長者だしここでただ緊張させっぱなしで実習を終わらすのもなんだか忍びないな、という謎の先輩風に吹かれた僕は、どこ出身だのどういう経緯で入院しただの聞かれてもいないことをベラベラとしゃべり、とりあえず緊張はといてやらねばと色々おしゃべりを試みた日が何週か続いた。(週に2、3回来ていた)

結果、その試みは功をそうしたようで、実習生の子もポツポツと自身のことを話してくれたり(血圧を測りながら)、手が痺れを解消する運動を調べて教えてくれたりもした。

実習が終盤になったくらいに、「足湯をしてもいいですか?」との申し出をいただいた。正直なことを言ってしまうと微熱でしんどかったし足の感覚なかったけど、それをいうのは野暮というもの。ありがたくやっていただく。
「気持ちいいですか?」
なにも感じないけど、その心遣いが嬉しい。20分くらい丁寧に時間をかけ洗ってもらった。
「また今度やりましょうね」

そう言ってもらえたけど、残念ながら検査と実習最終日が重なってしまって足湯もさよならもできないまま終わってしまった。
実習だしそんなものなんだろう。でも他愛無い会話と心遣いでのおかげで鬱屈としてした日々はほんの少しだけ前向きになったと思う。

あれから一年近くたったけど、彼女はどこかの病院で患者さんと会話しながら足湯をしているだろうか。
あの時の実習が少しでも役に立ってくれてたらいいなぁ。