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僕にとっての「古着」

僕は古着が好きです。
長年僕がやってきた、0から生み出す「音楽」と、反対に昔からずっと存在しているものを掘り起こす「古着」。一見共通点のないようなこの二つには、「自分の考えやスタイルを乗せて世に放つ」という近しい価値観があると僕は思っています。
なんだかちょっと難しい話に聞こえるかもしれません。
けれど、このnoteでは僕がなぜ古着を好きなのか、古着のどこに面白さを感じているかを、なるべくわかりやすく書いてみようと思います。
僕にとって大切なものだから、少しでも興味を持ってくれる方が増えたら嬉しいな。

「古着」とは

まず、「古着」ってなんだ?というところから。
もちろん、古着という言葉の定義は、ごくシンプルに”中古の服”ということです。しかし、一般的に僕らが「古着」と呼んでいるのは、その中でもアメリカのブランドのもの。もちろん、ヨーロッパの古着や、最近ではギャルソンなどの90年代の日本の服を再評価してお店に置いているところなんかもあります。けれど、1990年代に起きた日本のヴィンテージブームの流れから、世界でもアメリカのブランドのヴィンテージが評価されたこともあって、現在の「古着」のメインストリームはアメリカ古着なのです。

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(50年代のレーヨンシャツと60年代のスラックスでライブをしたとき。)
photo by shunsuke imai

「ヴィンテージ」とは

古着を語る上で外すことができないのが、「ヴィンテージ」についてです。ヴィンテージ・ギターやヴィンテージ・ワインのように、古着が好きでない方にとってもなじみのある言葉かと思います。漠然と古い年代を指す言葉というイメージがあるかもしれませんが、実は服の場合だと、どの年代からをそう呼ぶのか、というのは明確に決まっていません。人やアイテムによってどの年代から「ヴィンテージ」とするのかは曖昧なのですが、僕の体感としては1970年代、もしくは1960年代以前のものを「ヴィンテージ」と呼ぶことが多いように思います。
通常、服は中古になると価値が著しく下がります。けれど、ヴィンテージの洋服はその品質や数の少なさから、価値にプレミアムが付き、当時の販売価格を大きく上回ります。そして、その時代の流行によって、アイテムが再評価され、高価な値段がつくことがあるのです。数年前にコンバースのオールスターが流行したとき、それまで数千円が相場だった90年代のオールスターが、1〜2万円ほどになったりもしました。他に年代を表す言葉として、80〜90年代のものを「オールド」と呼んだり、製造から100年以上経ったもの(今だと1920年以前のもの)を「アンティーク」と呼んだりします。(難しいですよね。僕は好きすぎて覚えてしまいました。)

アメリカ古着のこと

アメリカ古着は、主に4つの要素で成り立っています。(これは原宿の古着屋、Berberjinのブログで読んでなるほど、と思った。)
ひとつめが「WORK」。いわゆるジーンズや、ワークブーツ、ネルシャツなどがそれですね。
ふたつめが「ATHLETIC」。これは運動着のことで、スウェットやパーカー、スニーカーなんかがこれにあたります。アディダスやナイキ、チャンピオンなどが代表的なブランドです。
次に「OUTDOOR」。これはリュックやマウンテンパーカーなど、あとダウンジャケットなんかもこれですね。patagonia、THE NORTH FACEなどのリュックなんかは皆さんにもなじみがあるのではないでしょうか?
そして最後に「MILITARY」。これは今ではみんな普通に着ている、チノパンやPコート、MA-1なんか。

アメリカ古着をルーツに持つ、いわゆる「アメカジ」というスタイルは、おそらく日本で最も浸透しているスタイルで、僕らが目にするほとんどの洋服にはこのエッセンスが入っています。
どうでしょう?皆さんも、アメリカにルーツを持つこれらの洋服を持っていませんでしたか?

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(顔がめちゃくちゃ必死なので、たぶん歌詞を考えているとき。着ているのはチャンピオンのリバースウィーブというスウェットパーカー。90年代くらいのもの。この年代のものも好きだなー。)
photo by shunsuke imai

古着のおもしろさ

長々と語らせていただきましたが、まずはここまで読んでくれた皆さま、本当にありがとうございます。笑
ここまでで、アメリカのヴィンテージと呼ばれる服たちが、今僕たちが新しく目にする洋服のデザインのルーツであることはわかっていただけたと思います。たくさんの服たちのルーツであり、オリジナルであり、一つ一つが一点もので、そしてそれゆえに探しがいがあるし、深めがいがあります。そして、お店ひとつひとつによっても値段やスタイル、価値観が全然違う。

冒頭に書いた、僕が長年やっている新しく生み出す「音楽」と、反対に昔からずっと存在しているものを掘り起こす「古着」について、どうしてどちらも好きなのだろう、と我ながらずっと疑問に思っていました。それが、最近になってどちらも「自分の考えやスタイルを乗せて世に放つ」という近しい価値観を持ったものなのだと気がつき、より古着を好きになったのです。

僕の好きな古着屋

最後に、僕が好きなお店をふたつ紹介して終わろうと思います。
東京以外からこの記事を読んでくれている方もいると思うので、ECサイトのあるお店を選んでみました。

「SomethingHappens」
Instagramもほとんど商品のみをアップしていて謎が多いこのお店ですが、サイトのデザインや写真に古着やアメリカへの愛、知識を感じられて大好きなお店です。数年前に見つけて、周りに知っている人も少なく、ほとんど誰にも教えていなかったのですが、最近雑誌「Pen」のwebサイトと誌面で取り上げられ、僕の秘密のお店ではなくなってしまったので、解禁します。笑
センスのいいセレクトが光るお店。
https://www.somethinghappens-dressing.com

「instant bootleg store」
原宿のBerberjinの元副店長をされていた、坂本一さんが最近立ち上げたお店です。ひとつひとつの商品の説明のコメントがとても秀逸なところが気に入っています。実店舗に居るかのように、古着を探す醍醐味を感じることができますよ!
毎日更新が楽しみ。
https://instant-bootleg.com

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ちょうどさっき届いた、「instant bootleg store」で買ったディッキース。こういう定番のものも、少し人とは違う、古いアメリカ製のものなんかを買うのもいい。

最後と書いたのですが、とても大切なことをお伝えするのを忘れていました。
今、odolの新しい楽曲の制作が佳境を迎えています。
僕も、歌詞を書くことに専念したく、すみませんがこの「ミゾベのnote」、来週と再来週の更新をお休みさせていただきます。
SNSなどで「いつも楽しみにしています」と声をかけてくださる皆さん、いつも読んでいただいている皆さん、本当にありがとうございます。また3週間後にお会いしましょう!

ヘッダー撮影:野本敬大

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