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「科目数の少ないカリキュラムをどう作るか」北陸大学経済経営学部編その3

カリキュラム改革WGの始動

ついに、2017年度から、カリキュラム改革ワーキンググループが走り出しました。このWGでは、1年間で20回近くの会議を行いました。スケジュールについては、前回の記事で書いたように、カリキュラム策定のロードマップがすでにあるので、その通りに進めていくだけです。ただし、当初は12月にカリキュラム原案を作る予定でいたのですが、万一を考え、12月には理事会を通したいということになり、1ヶ月前倒しで準備を進めました。その結果、予定よりも開催頻度はあがっています。10月から11月にかけては計6回、会議の合計時間は15時間になりました。なかには4時間というロングラン会議もありました。

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それでは、このグループで何をどのように、どのようなスケジュールで決めていったのか。このグループが作成した原案を、どのようなスケジュールで教授会にかけていったのか、それをお見せしましょう。

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こうしてみると、毎回のように教授会になにかしら原案を出して、審議承認されていることがわかります。また、DPや「カリキュラム策定の基本方針」といった、カリキュラム以前の部分のコンセンサスづくりに随分時間をかけていることもわかります。それでは、このカリキュラムの基本方針とはどのようなものか、その一部を抜粋してご紹介しましょう。

【カリキュラムの枠組み】
①科目数…120科目程度+α(専任教員担当科目数:半期6コマで計算)
②関連性…DPに紐づくカリキュラムマップ、カリキュラムツリーに基づき、科目設定
③やらないこと1…担当教員ありきの科目は配置しない。
④やらないこと2…DPに紐付かない科目は配置しない。
⑤やらないこと3…編入留学生のみを対象とした科目は原則として配置しない。
【授業方法】
①シラバス…各科目のねらい・達成目標はカリキュラムと同時に作成する。
②基幹科目についてはコマシラバスを作成し、コマごとのGIO、SBOsを設定する。
③評価の妥当性・信頼性を担保する学修評価制度を組織的に導入する。

カリキュラム策定の基本方針

特に大事なことは、前任校でやったカリキュラム改革のときと同じく、実際のカリキュラムを策定する前に「科目数」の上限を設定したことです。今回は、「学部教員20名+αで運用可能なカリキュラム」であるためには、「科目数は120科目程度に削減」しなければならない、としたのです。

当時のカリキュラムは、要卒科目200科目で、自由科目(要卒外科目)が100科目、合計300科目ありました。教員数に比べて科目数があまりに多かったわけです。新カリキュラムでは、200科目を40%減らして、120科目にするということです。そしてできれば要卒外科目も絞り込みたいと考えていました。絞り込みの原則が、「DPとの関連性」です。DPと結びつかない科目は全部落としていこうという話ですね。

ただし、うちの学部は、経済学・経営学・法律学・会計学・情報・スポーツマネジメントといった他分野に、新カリキュラムでは地域マネジメントも加わる予定でした。教職科目もあります。僕自身、本音では、120科目というのはなんとかギリギリ達成できるかもしれないけど、ちょっと厳しいかなあとは思っていました。ただし、目標が達成できなくても、4割近くも科目を絞り込んだら、かなりすっきりとするカリキュラムになるだろうなあという感触は持っていました。

「やらないこと」や「授業方法」も明確に

カリキュラム策定の基本方針に話を戻すと、「やらないこと」も明確にしています。こういう「カリキュラム策定の原則」、つまりは「カリキュラム作成のためのポリシー(青写真CP)」を明確にしておくことは、カリキュラムを組織的に策定する上で、非常に重要です。「科目数は120科目程度」とか「担当教員ありきの科目は配置しない」とか「DPに紐付かない科目は配置しない」という原則について、事前に教授会や執行部の承認を取り付けておけば、実際にカリキュラム案を策定し、それを通す段階になってから”もめる”可能性をかなり減らすことができます。

また、カリキュラム改革なのに、「授業方法」までポリシーに含んでいるところもポイントです。各科目のねらいや到達目標の設定、基幹科目のコマシラバス作成、学修評価の厳格化も同時にポリシーに組み込んでいます。この【授業方法】①の意味は、はっきり言えば、「シラバスは教員が勝手に書けません。ねらいや到達目標は、学部として組織的に管理する」ということです。しかし、この点についても、教授会からは特に異論がでませんでした。こちらから丁寧に説明したということが大きかったのでしょう。

カリキュラムの姿が立ち現れる

こんな風に、一歩一歩、カリキュラム改革WGが原案を作り、教授会を通し、ということを繰り返しながら11月を迎えました。ある程度科目分野や科目名は出揃ってきたので、そろそろカリキュラム原案を提示しないと、という段階です。ですが、僕の中でまだ、カリキュラムの全体像は見えてきませんでした。

そんな折、11月14日に4時間ぶっ続けの会議をやったときのことです。そろそろタイムリミットだということで、WGで集中的に議論を行いました。脳みそもすっかりへろへろになったあと、気分を変えるために職員と飲みに行った時のことです。その時は、飲みながらも、職員相手に、科目分類や全体像について、ああでもない、こうでもないと話をしていました。そんなとき、突如として、啓示のようなものが訪れました。いきなり頭の中に、カリキュラムツリーの完成図が浮かんだのです! 

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やはり、何かについてずーっと考え続けていれば、いつか解決策が頭に浮かぶのだということを実感しました。次の日から、沖縄に5週間の出張だったのですが、いても立ってもいられず、その5日間の夜の時間や空き時間を利用して、パワポで一気にカリキュラムツリーを作りました。

沖縄にいたのに、仕事以外はほぼホテルにこもりっぱなしでした。ただ、大学にいたら、会議や雑用なので、そんな時間をまとまって取ることは不可能です。沖縄に長期出張に行っていたからこそ、こもって作業に集中できる時間が、かなり確保できたと言えるでしょう。逆に、沖縄に行ってなければ、もしかするとこのカリキュラムツリーは、できなかったかもしれません。

では、そんなカリキュラムツリーとはどういうものなのでしょう? 長くなったので、次回です(笑)
今回もお読みいただきありがとうございました。

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