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詩集

158
詩、ポエム、詞のタグが付いた投稿を一つにまとめたものです。
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2022年4月の記事一覧

眠る再誕者

曖昧な記憶を掘り返して
何も持ってないことを知る
定かでない朧げな過去を
俯瞰で見る妄想

望んだように書き換えればいい
誰も過去には戻れない

生まれ変わっても
眠り続ける

最低な思考を垂れ流して
何も意味がないことを知る
抗えない明瞭な悲喜を
無心で狩る生業

望んでないなら捨て去ればいい
誰も捨てても拾わない

生まれ変わっても
眠り続ける

眠り疲れたら
生まれ直せばいい

おはよう

おはよう

また起きたね
眠る前にあれほど
目が覚めないことを願ったのに

眠ることにしても
起きることにしても
私に自由はないんだね
ほんの少し抵抗することはできるけど

自意識自体が私そのものではないんだ
はっきり分かるよ

私が知らないワタシが
私の身体のいろんな部分を見てるんだね
大変な仕事だ
ご苦労さまです
ワタシの仕事になんの心配もしてないよ

ただ唯一気がかりというか疑問なのは
本当

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ちかくで

きっと今までだって
何かの弾みで
全部ひっくり返って
終わるなんてこともあったかも

悔やむことも
祈ることも
ないまま
一瞬で消え去るような

お別れはまだ先
地殻で会いましょう
実存も曖昧な深みで

きっと今までどうり
何かの力で
全部ひょっこり元に
戻るなんてことがあってもね

悼むことも
変わることも
ないまま
一斉に飛び込む奈落

お別れはもうすぐ
知覚で会いましょう
実像もあやふやな彼

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隔世厭世

いつの時代にもきっと
世の中に背を向けて歩む人がいて

いつの時代にもずっと
下を向いて影だけを見つめる人がいて

うなだれて何も出来ず
涙なんて流れることもなく
ただただ虚空を見つめたまま
風に飛ばされる砂のように
静かに消えることを望む

いつかはきっと
この世を厭わずに

いまは無理でも
世代を隔てて

きっといつの日か
世を儚む誰かが

この世は美しいと
言えるように

蟻飼い

蟻を飼う
雀の涙ほどの心許ない報酬で
特別な個のために
ひたすらに働け

蟻を飼う
鼠の欠伸ほどのささやかな休息で
特別な生のために
ひたすらに奪え

蟻の身には余るほどの報酬と休息

飼っている者は蟻なのか
飼われている者は蟻同然なのか

特別な誰かのための世界では
飼う者も飼われる者も蟻でしかない

気づいた者から蟻であることをやめていく

やめた後で生き残るための処世術など
あるはずもないこ

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