見出し画像

「オルカン」と「S&P500」一択のリスク② 物価と為替リスク

金融庁の「つみたてシュミレーター」

知ってますか?

「毎月3万円 想定利回り3%  積立期間20年」がプリセットされていて、計算をすると合計「985万円」、元本「720円」、運営収益「265万円」と結果が出ます。

ふむ。想定利回り3%ね。

65歳で定年すると考えて、45歳からつみたて始めるイメージですね。それにしても、想定利回り3%は控えめですね。

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)なら、低く見積もっても9%。積立額と期間は変えずに計算してみる。

金融庁 HPより


なんと元本720万円、運用収益1284万円、合計『2004万円』です。
これなら老後をも絶対安心ですね。

やった❗️ これで「老後2000万円問題」も解決❗️

いえいえ。みなさん。
何か忘れていませんか?

そうです。

ここには「物価上昇率」が加味されていません。
日銀は年率2%の物価上昇を見込んでいます。
これはバブルも起きず、経済は緩やかに成長するほどよい物価上昇率。

もしこれが実現すると、20年後、物価は現在の152%
そのとき、貨幣価値は現在の約3分の2になっています。だいたい現在の66%

それを元に再計算すると…。
約1323万円になってしまいます。これでは「老後2000万円問題」はクリアできませんね💦

さらに「為替リスク」

今後、米国の利下げ、日銀の利上によって金利差が圧縮されることが予想されます。
今はアメリカが5.5%(2024年8月28日現在。まもなく利下げ)、日本は0.25%。その差5.25%。(こんなのほっといたら、円キャリートレードするに決まってます😢)

ところで、FRBが2.5%まで下げ、日銀が1.5%まで上げ、互いに中立金利を目指すとします。そうすると金利差縮小しますよね。するとどうなるか。

三井住友信託銀行 HP(知るほどなるほどマーケット 第57回)

上のグラフを見てください。政策金利は「短期金利」と連動するので「青の線」を見ていけばいいわけですが、日米金利差が1%以内になった時期といえば、2008年から2016年の間ですね。

その間のドル円相場は、見たところ…

だいたい75円から125円のレンジで動いてます。

まあ75円は東日本大震災の影響なので省くとして、85円から125円とみましょうか。
そうすると今、145円前後(2024/08/28現在)なので、最低でも20円から60円までの円高の余地がある。つまり、資産が57%から86%に目減してしまう可能性があるということです。

さっきの1323万円をもとに計算してみるとどのくらい減るのか。

【1ドル=125円(↓86%)】1323万円 → 1140万円
【1ドル= 85円(↓57%)】1323万円 →  776万円

はい、これが「為替リスク」です。

これじゃ、「老後2000万円問題」なんて解決できませんねぇ💧

金融庁もこの2点についてちゃんと注意喚起すべきなんですよ。
「物価上昇率」と「為替」
投資をする上で、この二大リスクに触れずに「シュミレーター」を作ったところで誤解を生むだけです。しかも本人が気がついた時にはもう取り返しがつかない。

ちょっと金融庁も「安易」すぎ。

では、どうしたらいいのでしょうか?

※その③につづく


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?