ほぼ毎日エッセイDay2「メロンと猫と枕」

メロンを見ていると時々不安になる。触れた瞬間、張り巡らされたシワに手首を絡み取られそうな気がしてしまう。そんなことが恐怖の対象になりうるということをぜひ覚えておいてほしい。


そのような恐れのせいで、人生で数えるほどしかメロンを食したことのない僕は、メロンパンを齧り、メロンジュースをドリンクバーからプラスチックコップへ吐き出させることで、世の中のメロンの全てを知った気でいる。


「人生を損している」と言われるが、僕にとってメロンなどその程度でいいのだ。その穴埋めはパンとジュースによって満たされると思っている。誰にとってもそういうメロン的存在を思い浮かべることが出来るはずだ。


猫と枕はよく似ていて(そんな言い方をすると狂った帽子屋の謎かけみたいだ。だけどこう言った方が、猫と枕の似ているところをあなたはきっと必死に探し出すだろう)、そこに触れていると無条件に白旗を振ってしまう。無血開城。全面降伏。


どちらも詩的で、シニカルで、分かり合えるには少し時間がかかる。だが決して血は流れない。争いはない。どちらも現実にあって、夢へといざなってくれる夢そのもののようだ。

メロンで不安になった夜は、猫と枕を抱き寄せることにする。



【なお、この文章は関係のない名称を、白紙の上にならべて繋がりを見出そうとした、ただの思考実験である。】

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