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日記

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現在進行形で書き続けている日記をエッセイ風にのっけてます
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#コラム

2018/9/16の日記~寄生虫、平成の夏の切れ端、September~

夏の帰省中、夏風邪を引いてしまってどこにも行けなかった。  背中から滴り、床に染みていく汗を不快に感じつつ、「最後なんだから」と期待され、揶揄され、消費されていく平成の夏の切れ端を過ごした。まったくこの国の人間は「最後」と枕詞がつけばなんでも食べちゃうのだなと達観していた。  湿気を重く纏った風はシャツの内側を泳ぐ能力もないのか、アブラゼミの鳴き声に糾弾され、夏の容赦ない日差しを前に潔く蒸発していくしかないみたいだった。やっぱり夏風はどこにも連れて行ってくれないのだなと僕の

11/16の日記~北風と太陽、サルバドール・ダリ、書庫群~

 かび臭い冷風をいつまで経っても吐き出し続けてきた三田線でも、ようやく暖房が効くようになった。それは早朝の地下鉄のホームに蔓延る、人々の諦めにも似た生ぬるさだったが、ないよりはマシだ。列島から退去するよう秋に差し向けた最後通達のようなものかもしれない。冬将軍がシベリア寒気団を携えて訪日するので、社会はそれの準備に入らねばならないからだ。  このところ、時間を見つけては散歩をしている。今日の皇居東御苑も、高層ビル群の中で、ひときわ異彩を放っていた。皇居の上に広がる空は広い。皇

9/28の日記~宇宙の音、スウィング、逆ジェンガ~

 胸の、みぞおち辺りに凡そ7キロの重りを載せられているような妙な圧迫感があった。上手く呼吸ができない。5分に一回は深呼吸をしてその重りを持ち上げなければ、新しい酸素を肺一杯に供給することができない。沈没した船の、海水でいっぱいになった一室で空気を求めて水面に目と鼻と口だけを突き出す。そんな感覚だ。  原因は分かっている。先日、2キロもプールで泳ぎ続けたが故の筋肉痛だ。2時間の、2000メートルの平泳ぎが、普段使わない胸の筋肉のある一部分に、乳酸をたまらせただけの話だ。この一か