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【セルフライナーノーツ】クローバー(すごろく)

ちょっと間が空いちゃいました。元気です。

緊急事態宣言が全国的に解除された25日。
これから少しずつ、日常に回帰していくんでしょうか。
とは言え、まだ気を抜くには早すぎると思っているので、
引き続きしっかり自衛意識は高めで過ごそうと思います。
簡単に第二波は起こり得ると思っているので。


自粛真っ只中の5/2、万貴音は配信限定シングルとして、
「クローバー」という曲をリリースしました。

https://linkco.re/07fFrAb9

リリース記事はこちら。

https://magazine.tunecore.co.jp/newrelease/61563/

みどりグループ」という大企業のCMソングを担当させていただきました。
前身は「第一ビルサービス」、そこから「マリーナホップ」を始め、
大きく枝葉を広げた、広島の大きな企業様です。

CMソングの採用はコンペを経て勝ち取ったものです。
忖度なしのガチ勝負でした。

https://www.youtube.com/watch?v=_jiWCQslrys

2018年〜放映。数種類のCMがあるんですが、こんな感じ。
またテレビで観れるといいなあ。


・原曲は「すごろく/万貴音」。

「クローバー」には原曲があります。
2014年にリリースしたシングル「To Be Continued」
のカップリング曲でもある、「すごろく」。

すごろく/万貴音

この「すごろく」のメロディはそのままに、歌詞をイメージに沿って
新しく描きなおしたのが、「クローバー」です。
歌詞については後述します。

「すごろく」は万貴音の楽曲の中でも特別(特殊)なもので、
万貴音にとっても自分にとっても、思い入れの深い曲です。
作詞の大元は、相方のお姉さん。

あまり詳しいお話まで、ここではしませんが、
幼くして突如、失われた命がありました。
その悲しみの中、母としての想いを言葉に綴り、残し、
託された言葉を音にしたのが、「すごろく」という曲。

「あくまで明るい曲にしてほしい」、が条件でした。
曲が出来た経緯を知らないファンや音楽仲間もいて、
その人たちが「この曲好き」って言ってくれたので、
自分の作曲も、少しは力になれたのかなと思ってます。

自分たちだけの曲ではないと思ってるので、
CMソングのコンペに提出する時も相談しました。
(コンペ時にはもう歌詞を変えてました)
「それでこの曲が広がって伝わっていくなら、
 それはとても素敵なことじゃない?」と言ってくれた。
ここまで背中を押してくれたなら、獲るしかないと。
いやほんと、採用していただけて良かった。


・音の特徴。

ミディアムテンポの8ビート、アコースティック音色中心の
優しく温かいポップス曲。
メインボーカルは100%中原万貴が担当、
自分はハモり、クワイア(コーラス隊)として歌っています。

アレンジの中核はピアノ。
アコースティックギターはどちらかというとリズム要因、
という役割です。

作曲する際、ギターでメロディを作る場合とピアノで作る場合、
生まれるメロディの性格、というか傾向は微妙に異なります。
面白いもんですよね。でも本当にそうなるんですよ。
この曲はピアノベースで作ったものなので、
ギターで弾き語りするのは少しだけ難しかったりします。笑

Bメロでは2小節だけ短三度上に転調して、すぐ戻ります。
(楽譜上ではフラットが3つ追加されます)
この転調テクニック、自分は「槇原転調」と呼んでまして、笑
槇原敬之さんの「冬がはじまるよ」が一番分かりやすいかな。
適切に使うと、転調ってのは意外性と自然な流れが同居します。

2コーラス目はサビに入らず、Aメロの後に間奏に入る。
自分の楽曲の特徴として、2コーラス目に素直にサビに行く曲は
あまり多くない気がします。クセなのかもしれない。笑
サビって反復回数が多いほどメロディを覚えてもらえるんだけど、
自分の感覚では2回半ぐらいがちょうどいいと感じてるのかな。

間奏はハープシコードがリード楽器。ドイツ語で「チェンバロ」。
ハープシコードは見た目がピアノのような鍵盤楽器なんですけど、
発音原理は「弦を爪で引っ掛けて鳴らす」なので、
音の印象はギターに近い楽器です。
バロック音楽の通奏低音を受け持つ楽器でもあって、
実はピアノよりも歴史の古い楽器。
ビートルズの楽曲でもその音を聴けるんですが、
この楽器を使うと、なんだかヨーロッパ圏のトラッド感が出る。

ちなみにこの「引っ掛け感」を強調したのが「クラビネット(クラビ)」
という楽器になりまして、スティーヴィーワンダーの
「superstition」のイントロのあの感じになります。かっけえ。

原曲「すごろく」とアレンジ構成は一緒なんですが、
全体のテンポが少しだけ下がってたりします。ほんの少しね。
それに伴ってボーカルやコーラスは元より、ギターも再録音。
各音の処理やミックスも地味に一からやり直してます。


・2音の「呼びかけ」。

イントロ/アウトロの最初のピアノの2音。
G-C(ソ-ド)の下降。

これは、名前を呼びかけたものなんです。
かー、くん。

「すごろく」を作る前、主催ライブで
「手のひらを太陽に」をカバーして歌いました。
その時にも、この2音を使いました。

誰に呼びかけて、届けたかったのか。
届いていたらいいな、と思います。


・リンクさせたい未来。

クローバー/万貴音

一度完成させた言葉の世界を新たに再構築するのは、
思った以上に難しく、歌いこんできた曲であればあるほど、
新たに染み込ませるのが難しいんだな、と感じました。
作詞専門の方はこれに近い感覚とずっと付き合ってるのかな。
及川眠子さんとか、ほんとすごいよなあ。

登場人物は二人、
とある街で生きている「ぼく」と「きみの」話です。
二人の関係は、兄妹かもしれないし、恋人かもしれないし、
夫婦かもしれない。幅を持たせました。
ちょっと若いというか、幼い印象はあるかもしれませんね。

時間軸まで一致させることはしませんでしたが、
「クローバー」の「きみ」は、
「すごろく」の「ぼく」とリンクさせています。

幸せの象徴とされる「四葉のクローバー」。
元々三つ葉なクローバーは、踏まれたりして、
葉がダメージを受けると、その部分が枝分かれして、
四つ葉に成長するんだそうです。

失敗や苦境、そして悲しみを乗り越えて、
前に進む力や、幸せを求めて行くこと、
自分の近しい人や、関わってくれる人や環境からもらう
優しさに気づき、素直に受け取って、感謝して生きること。
「クローバー」はそんな世界をイメージして言葉を綴りました。

メーテルリンクの「青い鳥」じゃないんですが、
幸せや喜びって、思っているよりずっと近くにあるんじゃないか、
ということをすごくリアルに感じています。
ライブの「非日常感」もすごく楽しいことなんだけど、
幸せに「気づく」ことこそが「幸せ」だとも思います。

幸せで、ありたいね。


5/2に配信限定シングルとしてリリースした、
みどりグループCMソング「クローバー」のライナーノーツでした。
制作にあたってのバックグラウンドは色々あれど、
あなたが感じてくださったことが、全てだと思っています。

想いの込もった曲として受け取ってもらうのは、
万貴音のこれからの届け方次第でもある。
そのためにこれからも我々は、この曲を大切に歌って、
大切に育てて、届けていくのです。



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