CVキャブの調整
現行のハーレーダビッドソンはインジェクション車である。これは何のことかと言えば、吸気装置として、つまりエンジンに燃料と空気を供給するための装置のことを表している。そしてインジェクション車とは電子制御によって燃料の供給を行う装置で非常に効率的である。また現在の環境に配慮した規制をクリアするためにはインジェクションが必須なのである。
それと対極に位置するのがキャブレターであり、この装置のシステムは実にアナログなものである。ハーレーダビッドソンはアメリカにおけるモーターサイクルの位置付けやそのブランディングによってこのキャブレターを長く愛用し、2006年にインジェクションへ完全移行するわけだがそれは相対的に非常に遅い移行であった。そのため日本のハーレーフリークにはキャブレターを推す人が多い。ハーレーと言えばキャブレターだろうと。
キャブレターの利点は様々あるが、大きなものとしては調整のしやすさがあるだろう。”アナログなシステムにはアナログな手法で”と言った感じで、調整はマイナスドライバー一本で事足りたりもする。この利点は深掘ると調整することが前提であり、それがしやすいように設計されているとも言える。したがってキャブレターを無調整で乗ることはその性能が発揮されていない状態で乗っていることと同意であり、それが例え新車として納車されたデフォルトであってもだ。
タイトルにあるCVキャブとは主にEVOの純正キャブレターである。CVはコンスタントバキュームの略であり一定速度を意味する。このキャブのシステムはエンジンのピストンダウンストローク時に発生する吸入負圧によってキャブレターのピストンが作動し、キャブレターのベンチュリー口径が変化し、スロットルバルブの開き具合に関係なくベンチュリー部での空気流速をほぼ一定にできるというものだ。このシステムは乗り手の扱いやすさや安定性に貢献しており、故に純正採用されているわけである。
この純正キャブであるCVは全く見向きもされない時期もあったほど人気が低いものだったが、当時からの根強いファンは一定数おり、また最近になって見直されてきている状況にある。CVの特徴は何と言っても安定性と扱いやすさであり、そのセッティングも比較的簡単ということもあり敢えてビンテージハーレーに使用する人もいる。今回はそのセッティングについて解説していこう。
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