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スリヤンレックが衝撃KOでリベンジを達成、スアブラックはロシアでの悪夢再び~2024年6月28日のONE Friday Fights 68

6月28日にバンコクのルンピニースタジアムで行われたONE Friday Fights 68は、プラジャンチャイ・PKセンチャイのONEキックボクシング世界ストロー級王座戦、またスーパーレック・キアトモー9ゴントラニー・ソー・ソンマイとの、フライ級3回戦(ムエタイ)など、豪華カードを揃えた特別興行となった。

前記事でも紹介しているが、その豪華カードの中に、特にタイのファンからの注目度の高いリマッチ2試合が組まれた。スリヤンレック・ポー・イェンインポンペット・PK・センチャイスアブラック・トープラン49キアムラン・ナバティのカードである。

スリヤンレックと、スアブラックは共にONE Championshipを主戦場とし、タイのファンの認知度と注目度も高い。この日のFriday fightsで結果としてはスリヤンレックはポンペットにリベンジを達成したが、スアブラックはキアムランに返り討ちに合った。


ポンペット・PK・センチャイ対スリヤンレック・ポー・イェンイン

スリヤンレック対ポンペット再戦は132ポンド契約(59.87キロ)で行われた。初戦は敗北したものの、敗者のスリヤンレクにもボーナスが与えられた。

スリヤンレックとポンペットは、3月にONEのリングに対戦し、両者合わせて5回のダウンを応酬となる激戦を展開し、ポンペットが判定勝ちしていた。スリヤンレックは、これまでONEで6勝(5KO)2敗、KO率が高く、ほぼ毎試合、KOボーナスを獲得している。敗戦となったポンペット戦においても特別ファイトボーナスを獲得した。普段は大分県佐伯市のBravely gym佐伯支店でトレーナーを勤めており、日本在住。ONEでの試合の度にタイに帰国している27歳で、通算戦績は79勝27敗。

ポンペットはタワンチャイ、プラジャンチャイと同じPKセンチャイジム所属の25歳、ONEではこれまで4勝1敗の戦績を誇る。通算では106勝44敗とアナウンスされていた。

この日、スリヤンレックとポンペットの選手入場が始まるとそれまでのオープニングバウトにはなかった緊張感が会場を包む。観客の反応は正直で、この2人の再戦には3月の激戦の再現を期待しているのだろう。

スリヤンレック対ポンペット

再戦は初回KOという、短い時間での決着となったが、非常に密度の濃い第1ラウンドで、1分40秒過ぎ、スリヤンレックがポンペットの右ストレートで一瞬腰を落とすなど、どうなるか分からない展開が続く中、2分45秒、コーナーにポンペットを詰めると、スリヤンレックの振りかぶるような上からの右フックがポンペットの顎を直撃、そのまま尻もちをついたポンペットをレフェリーが止め、スリヤンレックのKO勝ちとなった。

ポンペットがレフェリーに抱えられ救われる。衝撃のストップの瞬間
リング上で愛娘を抱きかかえるスリヤンレック

8試合連続となる、KOボーナス35万バーツ(約150万円)のボーナスを得て、スリヤンレックは(ONE Championship CEOの)チャトリさんありがとうございます。応援してくれるみんな、会場で応援の声を掛けてくれた人たち、ありがとう。チームのみんな、トレーナー、家族ありがとう。日本のBravely gymにも御礼を言います」とリング上のインタビューで語っていた。今年に入り、すでにONEで3試合を戦っており、また近くルンピニーに再登場となりそう。ONEとの10万ドルの本契約も近いか。

試合後にスタジアム前でファンに囲まれ、写真撮影要請に応じていたスリヤンレック

スアブラック・トープラン49対キアムラン・ナバティ

スアブラック対キアムランは、ONEバンタム級(65.8KG) 3回戦

そしてもう1試合の再戦、スアブラックは2023年1月にロシア・エカテリンブルグでキアムランと対戦し、初回29秒でKO負け。その後、ONEに参戦したスアブラックは6勝(4KO)と負けなしで、4連勝後にはONEと10万ドル本契約も結んだ。通算では59勝18敗、ペッブリー県のカレン族の出身の27歳、ファイトボーナスで故郷にジムを作ってカレン族の子供たちにもムエタイを教えている。

キアムランは昨年9月よりONEに参戦し、2勝(0KO)、通算では20勝(7KO)と無敗を誇る29歳。リングインすると発達した上半身に驚かされる。身体がスアブラックよりひと回り、ふた回り大きく見える。

キアムランとスアブラック、この日はタイのリングで対峙

試合が開始されるとキアムランは前に出て、手数は少ないもののプレッシャーをかけていく。スアブラックは緊張しているのか、いつもよりも固い印象。1分50秒過ぎ、ロープを背にするスアブラックに右ミドルを放つ、キアムラン。それに合わせてサウスポーのスアブラックが左フックを強振すると、キアムランはそれをかわして左フックをスアブラックの顎に打ち込んだ。スアブラックはそのまま横倒しにキャンパスに叩きつけられ、即座に試合終了「前回はやられたのはロシアの寒さがきつかったから。コンディションが良くなかった。タイでは勝てるだろう」とリベンジに自信を見せていたスアブラックだが、ホームのタイで返り討ちに遭った形となった。

一発でスアブラックが横倒しになる強烈KO劇

チームや医者が暫くリング上のスアブラックを快方する中、喜びを爆発させるキアムランはこれで21勝(8KO)と無敗記録を更新し、この勝利でONEの10万ドル契約(1試合ファイトマネー10万ドル)を勝ち取った。

コーナーに駆け上がるキアムランと、自分では立ち上がれないスアブラック

勝つも負けるも強烈なKO劇を魅せるスアブラック、「引退はしない。現役生活を続けていく」と即座に現役続行の意思を示しており、復帰ロードにも注目していきたい。

スーパーレック・キアトモー9対ゴントラニー・ソー・ソンマイ

スーパーレック対ゴントラニーはONEフライ級(61.2KG)3回戦

この日のセミファイナルはスーパーレックが登場し、ゴントラニーと対戦した。スーパーレックは、これまでONEで14戦13勝(3KO)1敗、ONEキックボクシング世界フライ級チャンピオンでもある。9月にアメリカ・デンバーでのONE興行で、ONEムエタイ世界バンタム級王者のジョナサン・ハガディー(イギリス)へのタイトル挑戦が決まっている。ゴントラニーはONEではこれまで、9戦8勝(3KO)1敗の戦績を誇る27歳の長身のサウスポー。ラジャダムヌンスタジアム認定のスーパーバンタム級、ライト級の2階級でチャンピオンとなった実績もある。

下剋上を狙ったゴントラニー、充分に力は魅せた
スーパーレック対ゴントラニーの攻防

結果としてはスーパーレックの判定勝ちだが、ムエタイマスターとも言える2人の攻防は、高いレベルでの駆け引きで緊張感溢れ、極上の3ラウンドとなった。主導権はスーパーレックが握っていたが、ゴントラニーも評価の下がる戦いぶりでもなかった。しかし、この組み合わせは、何度やっても同じ結果になりそうだ。

前記事でも紹介した元RWS王者のシャドウ・シンハマウィンはフランスのジミー・ブエノに判定勝ち、ONE参戦後2勝目を挙げた。

※ルンピニースタジアムでの現地観戦、写真は著者撮影

↓↓ONE Friday Fights 68 の全試合動画(スリヤンレック戦は1:05あたり、スアブラック戦は2:45あたり、スーパーレック戦は3:05あたり)


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