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理容院における要求と要件

20代の頃は美容院で髪を切っていたけれど、不惑目前になって理容院の方がシックリくる。いずれにせよ、「どんな風に切りますか?」のやりとりが苦手だ。

昔からよく行ってた理容院は、とりあえず座ればおっちゃんが「短くやね?」と聞いてきて、私は「はい」と答えるだけで完結した。行きつけの店で「いつもの」と言う感じに近い。

いつもと違うところを開拓しようとすると、「横は刈り上げる?」「バリカンは何ミリにする?」「上はどうする?」というやりとりに突入する。

「上はソフトモヒカンにする?それとも、まっすぐにする?」と聞かれて、一応は企業勤めだしモヒカンもどうかなぁと思い「まっすぐでお願いします」と答えた。

すると、「お客さんは骨格が角ばっているので、まっすぐにすると角刈りみたいになりますよ?」と諭される。それなら始めから選択肢を与えないで欲しい。

サブウェイでサンドイッチ頼む時の感じを思い出す。どんな種類のパンを選び、トッピングを何を載せて、判断の連続となる。でも、サブウェイだと迷った時の「オススメで!」があるので心強い。

髪型に関してはこだわりも無いので、見た目に不快感を与えない髪型であれば何でもよい。この意味では、「オススメで!」と言ってみてもいいのだけど、何でも良い訳ではない。

切りに行くのはメンドイので、一度切ったらしばらく切らないで良いようにしたい。じゃぁ丸刈りで良いかと言えば、伸びてきた時にマリモっぽくなるので意外と長続きしない。私の要求は「及第点の見た目を長く続かせること」だったんだ。

そこまで「要求」が明確であるにもかかわらず、理容院のやり取りが苦手なのは、理容の世界でどう実現すればよいのかを知らないため、「要件」への落とし込みにあるんだろうと思う。要求と要件は異なる。

自分がどれくらい明るいかによっても違うのだろう。ソフトウェアだとクラス設計くらいまで立ち入ってみないと不安だったりする。だけど、理容院に関して言えば、私が成し遂げたいことだけを示すので、実現方法はプロに任せたい気持ちになる。

そうは言っても、商売上は頻繁に来てくれた方が理容院側としては良いだろうから、「しばらく切りに来なくてよいように」なんて言われても困るだろう。だから私は「バリカンは3mmで」とか、自分にちょうど良い要件を探る。


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