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肩の上の秘書を求め合う世界で

インスタのサブ垢でフォロワー400人を達成して本垢を抜いた。走り屋さんがゼロヨン(静止状態からアクセル全開で400m)を競うように、インスタグラマーとしてゼロヨン記録が51日と言えるだろうか。

途中で10日ほどアカウントのブロックを喰らったのが面白い経験だったので、その経緯や所感などを記す。ゼロヨンは通過点にしか過ぎず、1000人、10000人と目指すにあたり、思うところも書いてみる。

自作プログラムでも駄目だった

GW中に読んだRPAの本に感化されて、インスタ運用もイイネ巡回ロボットに任せられないかと、自作したマクロをブン回した。

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すると、インスタから10日間のブロックを喰らった。思ったよりちゃんとズル防止しているんだなぁと無駄に感心した。今は復活している。

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アカウントを「いいね!」やフォロワーの獲得を支援するサービスと共有することは、コミュニティガイドラインに違反しています。

屁理屈で反論するならば、「心を込めて作ったプログラムに操作させたのであって、外部サービスにアカウントを共有した訳ではない!」という話ではある。AIによる自動判定だとすると、生身の人間かどうか判定されるチューリングテストをAI相手に挑むような面白さがある。

校則を熟読して怒られることをやる子の反論

「校則を熟読しましたが、そんなこと書いてませんよ?」とめんどくさい反論をする子供っていたよね。大人になるにつれて、重箱の隅をつついても自由が制限されることを学んだし、お上の気持ちも理解できるようになった。それでも、規定っぷりの甘いルールが気になる。

インスタグラムのコミュニティガイドラインを抜粋する。言わんとすることは感じ取れるけれど...。

「いいね!」、フォロー、シェアを人為的に集めたり、(中略)しないでください。

屁理屈ながら、人為的(人が意図して)フォローを集めるのがNGとするなら、ハッシュタグ #followme を付けた8.5億件の投稿がブロックされるべき話になる。実際はそうなっていないので、この記載ではOK/NGが線引きできていない。

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人為的じゃないフォロー集めの例として、人間がAIに「手段は問わないので売り上げを増やせ」と命令して、AIが「よし、フォローを集めよう」と判断したケースを想定すると、人為的でないため規制できない。もし、人の意図が入らないインスタ運用なんてものがあったら、それこそロボットの仕業だろう。この意味でも規制すべきことが規制できていない。

肩の上の秘書を求め合う

ルールではなくマナーの観点から、ロボットが運用していたら失礼にあたるのだろうか?もちろん、そう感じる人もいるだろう。

「肩の上の秘書」という星新一の短編小説の世界では、肩の上に乗せたインコが丁寧な言葉に翻訳して話してくれる。聞き手の肩にもインコが乗っていて、長ったらしい話を要約して伝える。丁寧な言葉でやり取りされるので、コミュニケーションが円滑に進む。でも「何か虚しいよね?」と問いかけられている感じがする。

ロボットが運用したインスタアカウント同士がリアクション合戦しているとしたら、「肩の上の秘書」みたいに思える。これが虚しいことかと言うと、意外とそうでもない。お互いにそれを求め合っている場合さえある。

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なぜなら、フォロワーから多くのリアクションを得て、「人気投稿」に入ることで、購買活動をする生身の人間必要にも影響力を持ちやすくなるからである。その手段としては、リアクションをくれない生身の人間よりも、無償のリアクションをくれるロボットの方が有益かもしれない。

先日の即ブロック兄さんの立場に立てば、生身の人間からめんどくさい指摘が来るよりも、「肩の上の秘書」による自動リアクションの方が望むことに近いため心のこもったやり取りだと言えてしまう。

ゲーム理論における報酬の与え方でプレイヤーの行動が決まるように、フォロワーを増やそうとすると「肩の上の秘書」を求め合うような力学が働く。それがインスタが理想の世界ではない気がしている。インスタの定石として知られる運用を先鋭化すると、インスタが目指す理想から遠ざかるのが逆説的で面白い。

類は友を呼ぶ仮説

サブ垢運用を始めて、本垢運用でも「いいね!」返しをするようになったように、影響を受けた習慣もある。その一方で、住み分けができたこともある。対照実験として本垢ではフォロワー集めの呪縛から解放されたため、のびのび運用できている。インスタとしてはこちらを推奨しているんだろうなと推測する。

両方のフォロワーを比べて「類は友を呼ぶ」傾向がありそうという仮説を持っている。フォロワーを集めたいアカウントには、フォロワーを集めたいアカウントが集まる。写真の一貫性にこだわって運用していると、写真の一貫性にこだわったフォロワーが集まる。肌感覚としてそう感じる。

フォローと購買活動の不一致を乗り越える

わざわざフォロワーを集めようとする大半の人は、プロモーション目的で影響力を持つことを目指しているだろう。ここで問題となるのが、フォロワーを集めることと、プロモーションの成果が一致しないことである。

プロモーション目的であれば、インスタ運用の成果も「どれだけ購買行動に繋がったか?」で測定されるべきであろう。ところが、フォロワー集めを追求すれば、フォロワーを集めたい人が集まってくることになり、そんな人達が購買行動を取るとは思えない。

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初動のフォロワー集めはロボットでも出来るだろうけれど、人に行動変容を促すとなると、やっぱり生身の人間の情熱をぶつけることが必要なんだろうなぁという考えに至ってきた。

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