自爆殺戮自己犠牲ヒーロー

「こいつがどうなってもいいのか!」

 目の前には、一万本の剃刀と融合したデブ。彼は会社員風の男を羽交い絞めにしていた。
「近づくと殺す!」
「ツイてねえな。お前」
 俺は表情を崩さずに言った。
「なんだと?!」
「悪いがお前、死んでもらうぜ」
「おい!こいつがどうなってもいいのか!」
「うるせえ!お前は黙ってろ!」
 俺のその突然の声にデブは怖気付いた。
「俺が話してるのはお前じゃない」
「何を言って――」
「悪いな。命、使わせてもらうぜ」
 次の瞬間。俺は能力を発動した。
 それは、人質を爆弾に変える力。
 すると会社員男の身体が熱を帯び始める。そしていよいよ目、鼻、口から溢れ出す光!デブが気付いた時にはもう遅かった。
 一瞬のフラッシュ。
 そして、風と音の衝撃。
 人質とともにデブは爆発四散した。

 

 仕事を終え、振り返る俺。するとそこには大量の野次馬たちが俺を睨みつけていた。
 はあ。と俺は思う。
 どうでもいい。
 群がってるのが気持ち悪い。

【続く】

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