絶対乙女少女メンヘラもも子
「この前友達に、優斗の右手は6本指だって言ったらみんな驚いてた」
もも子は頭のリボンをひょこひょこさせながら楽しそうに話す。無邪気に笑い、クレープを食べている彼女は相変わらず可愛かった。
……。
しかし、俺はそんな彼女を見ながらあることを考える。
かわいいのは認めよう。
だが、待って欲しい。
俺の指は5本だ。
バカかこいつ。
俺はもう何度ももも子の虚言癖に悩まされていた。彼女はいわゆるメンヘラだった。他にもいろんな嘘ついてんだろな。彼女の友達に、俺はどんな人間だと伝わっているのだろう?
しかし、その時。
俺は自分の右手の、何か違和感に気づく。
そして、その正体はすぐに分かる。
6本目の指。
「多指症の人って天才なんだって。優斗天才じゃん!」
……。
やはりそうだ。
俺は新しい6本目の指を見つめながら、ここで確信する。
羽賀頼もも子。
こいつは半径5m以内の世界を、都合のいいよう改変出来るメンヘラなのだ!
【続く】
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