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復帰プログラム 15

朝の会が始まると、放送を担当した児童が教室に戻ってきた。教室内に広がる拍手が彼を迎え入れ、その音がクラス全体に優しさや思いやりを伝えるようだった。みんなが自然とその空気に包まれ、穏やかな時間が流れた。

係の引継ぎの時間には、次の係を担う児童が前任の子を見つめ、真剣なまなざしでその動きを学んでいる。伝える力を養うこの瞬間には、責任感と協力の大切さがぎゅっと詰まっている。子どもたちは、自然とその意義を感じ取りながら、少しずつ成長していくのだろう。

書写の授業では、何度も筆を持つ手が止まる児童がいた。うまく書けずに諦めかけたその姿に、教師がそっと寄り添う。「一緒にやってみよう」と、声をかけながら、共に筆を動かしていく。児童がどこでつまずいているのかを見極め、筆の立て方、最初の位置、止めやはらい、跳ねる力加減まで、一つひとつを丁寧に確認しながら指導する。少しずつ、その小さな手に自信が宿り、表情が柔らかくなっていく。

体育の授業では、グループに分かれて準備体操が始まった。児童同士が意見を交わし、協力して体を動かす姿が見える。運動会の競技の作戦会議では、何度も試行錯誤を繰り返し、子どもたちは自らの手で成功への道を切り開こうとしている。スタート方法にユニークな工夫を取り入れることで、彼らは笑顔で競技に取り組む。楽しさが身体中に広がる瞬間だ。

特別支援学級の国語の授業では、漢字プリントやドリル、タブレット、そして机横のカードを使いながら、子どもたちが黙々と練習をしている。「はね」や「はらい」の細かい部分にこだわるより、形が整っていれば合格とし、そのことで子どもたちのやる気を引き出している。彼らの真剣なまなざしが、その場を包んでいた。

3年生の体育の授業では、並び方を覚えるのが苦手な子もいたが、繰り返し教えることで、少しずつ行動が定着していく。応援も、座って行うことを身につけさせるのに、時間がかかっているが、児童同士がお互いの気持ちを考えながら、少しずつその姿勢が見えてきた。ゴール後に並んで座る練習も繰り返され、競技の後もスムーズに行動できるようになってきている。

昼休みの教室には、いつの間にか児童たちが集まり、教師が付き添って見守っていた。トラブルが起こらないように気を配りながら、児童たちが安心して過ごせるよう、静かにその場を見守る教師の姿が印象的だった。

国語の授業では、「座ってください」という教師の声が何度も響いた。だが、児童たちはすぐに動けず、何かが止まっているようだった。それでも、クラス全体が協力して仲間のために動けるクラス作りを目指している。また、家族への手紙を書く活動を通して、大切な気持ちを文章で表現する力を養っている。長い間抜けていた文章指導の代わりに、日記を書く習慣を取り入れることで、文章力の補強を図っている。

4年生の国語の授業では、読みの弱い児童が縦読みを苦手としていた。早期発見ができれば、低学年のうちに指導を進められるだろう。児童たちは「ごん」の気持ちに寄り添い、がっかりしたり、気落ちしたりする感情に共感しながら、その物語をより深く理解していた。

しかし、私自身、特別支援学級で漢字プリントの参観や○つけを行う際、教室に入ることに対する抵抗感が強く、外での対応となった。また、支援員の先生とのコミュニケーションにも、精神的な壁があった。医師からは、教室に入る前に予測される状況を事前に把握し、それを伝えるようにとの助言を受けている。病院の対応についても、公的機関1か所だけでの対応が本当に適切かを確認してほしいと言われた。

今、この教室の外で立ち尽くす私の心には、まだ整理されていない課題が重くのしかかっている。

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