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#0059 Big Deal!日本製鉄、USスチールを買収!

風呂上がりに日本製鉄がUSスチールの買収というbig dealのニュースが飛び込んできました。


まず驚いたのは2兆円という金額、そして嘗て世界の鉄鋼を牛耳っていたUSスチールを日本製鐵(八幡製鉄所)が買収するという100年前の人に話しても多分信じてもらえない事実。

その後に、成熟産業であり環境負荷の大きな鉄鋼業が今後も伸びていくイメージがあまりつかないけど、せっかく経営立て直した日本製鐵がこんな大金使って大丈夫なんか?という不安を抱きました。

昔、銀行時代に鉄板を曲げたり切ったりして自動車のドアを製造していた会社を担当したこともあって、久しぶりに重厚長大な鋼鉄のニュースに触れてテンションが上がったので勢いでこのニュースを深掘りしてみました!(1898文字)

○日本製鉄とは

日本製鉄は、2012年に新日本製鉄と住友金属が統合して誕生した日本最大手の鉄鋼メーカーです。世界では粗鋼生産量において、宝武鋼鉄集団、アルセロール・ミッタルに次ぐ世界第3位の規模を誇っています。

日本製鉄は、高品質で機能性の高い鋼材を得意としており、自動車や建築、エネルギーなどのさまざまな産業に製品を提供しています。また、環境に配慮した低炭素・循環型社会の実現に向けて、技術革新や海外展開にも積極的に取り組んでいます。

○USスチールとは?

USスチールは、1901年にJ・P・モルガンとエルバート・ヘンリー・ゲーリーが連邦鉄鋼会社とアンドリュー・カーネギーが保有していた製鉄会社の合併により、ペンシルベニア州ピッツバーグ(ご存知!鉄の町!)に設立されたアメリカの総合製鉄会社で、2016年の粗鋼生産は1422万トンで、世界24位です。

USスチールは、米国では主力のゲーリー製鉄所などで12基の高炉を操業し、年間の鋼材生産能力は1940万トンとされます。中央ヨーロッパではスロバキアのUSスチールコシツェ、セルビアのUSスチールセルビアの2つを運営しており、欧州事業での生産能力は約500万トンです。

また、長い歴史の中で多くの危機や競争に直面してきました。第二次世界大戦中には340,000人を超える従業員がおり、その雇用者数は最大でしたが、その後は外国製品の安値攻勢や環境規制などにより、生産量や市場シェアが低下しました。現在、米国第2の製鉄会社ですが、コロナ禍や資源・エネルギー高などの影響で経営環境は厳しい状況にあります。
以上Wiki情報

○日本製鉄がUSスチールを買収する狙いは?

日本製鉄がUSスチールの買収するその背景には、以下のような狙いがあると考えられます。

・米国市場へのアクセスの強化

米国は、世界最大の鉄鋼消費国であり、自動車や建築などの需要が高い市場です。しかし、米国は保護主義的な貿易政策をとっており、鉄鋼に対して高い関税や輸入制限を課しています。そのため、日本製鉄は米国内での生産拠点を持つことで、関税の影響を回避し、米国市場へのアクセスを強化することができます。

・技術力や製品力の向上

日本製鉄は、高品質で機能性の高い鋼材を得意としていますが、USスチールも同様に高付加価値製品の開発に力を入れています。両社が買収によって技術やノウハウを共有することで、技術力や製品力をさらに向上させることができます。また、両社の製品ラインナップを組み合わせることで、顧客のニーズに応える幅広い製品を提供することができます。

・環境対応の促進

鉄鋼業界は、温室効果ガスの排出量が多い産業の一つであり、環境対応は喫緊の課題です。日本製鉄は、水素や電気などの低炭素エネルギーを利用した製鉄技術の開発や、循環型社会の実現など、環境に配慮した取り組みを行っています。USスチールも、再生可能エネルギーの導入や炭素捕捉技術の開発など、環境対応に積極的です。両社が買収によって環境対応のベストプラクティスを共有することで、鉄鋼業界の低炭素化に貢献することができます。

○完成度の高い日本製鉄のIR資料

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鉄は「産業のコメ」「鉄は国家なり」とも言われますが、鉄鋼需要から経済の変化を読み取ることができます。

加えて日本製鉄はIR資料の完成度が非常に高いので、私は必ずチェックするようにしています。

○まとめ

日本製鉄がUSスチールの買収のニュースについて、両社の概要と買収の狙いについてまとめました。

買収が実現すれば、世界の鉄鋼業界に大きな影響を与えることでしょう。また、2兆円という規模なので、為替相場や株式市場にも影響を与えるかもしれません。

また、日本企業ならアメリカ側は問題ないと考えていることからしても、鉄鋼は戦闘機や戦艦、潜水艦など、軍事・防衛にも関わる領域ですので、安全保障や国際政治にも影響を来す案件になる予感がします。
まさに「鉄は国家なり」です。

今後の動向に注目していきたいと思います。

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