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#0070 釧路港日本一奪還!: これで釧路は豊かになれるのか?

皆さん、おはようございます。
仕事、納まりましたか?私は昨日納まりましたが、昨夜から発熱でダウンしております。
自宅で酒盛りを楽しみにしていたのに回復するまでお預けとなりそうです…
皆さん、体調管理には十分気をつけてください。

それにしても、毎年同じことを言っていますが、一年って本当に早く感じますね。年々、体感速度が早くなるので、このままあっという間に爺さんになってしまうのではないかと、残り時間を意識するようになりました。
1日1日を大事に生きていこうと思います。

さて、先日、北海道新聞で釧路港が漁獲量日本一の座を復権したとの報道がでました。

釧路みなと祭りでは、「みなぁとぉ~くしぃろぉぉぉはみなとくしろは日本一ぃ~それ日本一ぃ~」と歌って踊るくらい、釧路市民は「みなと釧路は日本一」という誇りを持っています。

小学校の副読本「くしろ」でも、釧路港は日本一で、八戸、境港、銚子、焼津がライバルと教わったものです。

副読本「くしろ」

記事タイトルをみて、私も心の中でガッツポーズをしたのですが、冷静に考えると、本当に喜ばしいことだろうか?漁獲量日本一になって釧路は本当に豊かになるのだろうか?過去の栄光にとらわれているだけではないだろうか?という違和感を覚えたのです。

冷静に考えたことを今日は綴りたいと思います。(3646文字)

○釧路港の歴史と現状: 栄光の過去と直面する現代の課題

釧路港が32年ぶりに水揚げ量で全国1位に輝いたとの報道は、多くの釧路人に喜びを与えたのではないでしょうか。この歴史的な出来事は、「釧路港水揚げ量、32年ぶり全国1位 18万トン、銚子港抜く」という見出しで北海道新聞に掲載され、地元の漁業関係者などはとくに歓喜したのではないでしょうか。しかし、この輝かしい報道の背後には、深く考えさせられる問題が潜んでいるように思います。漁獲量日本一という称号が本当に地域の豊かさを意味するのか、それとも他の重要な側面を見落としているのか、この辺りに迫りたいと思います。

釧路は、漁業で栄え、かつて漁獲量日本一を誇っていた町です。夏の港まつりでは、「みなあとーくしいろおおおは、みなと釧路は日本一いーそれ日本一いー」という歌が響き渡り、その栄光を讃えてきました。しかし、20世紀の大量生産・大量消費の時代を経て、漁業は大きく変貌しました。かつては腹巻に札束を巻き、末広町で朝まで飲み歩いた漁師たちや、釧路は炭鉱の町でもあるので、腹巻にドスを刺した海の男と、つるはしを持った山の男が夜の町で喧嘩するなどなど、荒々しいエピソードを祖父母から聞いていますが、今日の漁業の現実はかつてのような単純な繁栄の物語ではなくなっているのではないかと思うのです。

明治から昭和にかけて、マグロ、タラ、イワシ、サンマ・・・と、魚種交代を経ながら釧路を支えてきました。これらの魚種は時代とともに変わり、釧路の漁業も進化を続けてきました。(ずんだもんがYouTubeでとても分かりやすくまとめてすれています)

20世紀は大量生産・大量消費モデルの時代と言えると思うのですが、人口増加と経済発展に伴って、漁師たちは大漁を追い、その結果としての豊かさが町に活気をもたらしていました。まさに大漁消費社会です。

現代において、釧路港の漁業は新たな課題に直面しています。過去の栄光を背負いつつも、漁師たちは市場の価格メカニズム、資源の持続可能性、小売側の価格交渉力など、多くの困難に直面しています。特に、サンマが豊漁だった年に漁師の友人から聞いた話で「サンマが獲れすぎたら魚価が崩れるから船から海に捨てる」という話は、現代漁業の複雑な現実を象徴していると思います。当時は、イオンなどの大手小売りの価格交渉力が強すぎて、いくら新鮮で良いものを獲っても安く買いたたかれてしまうのでは?と思っていました。

また、同時に「魚が小さい」という話も聞きました。東京に流通する魚がそうなのかもしれませんが、小さい魚ばかりです。これは成魚になる前の魚をごっそり獲ってしまうからだということで、これは水産資源管理が必要だと思います。

最近のサンマの不漁は、水産資源の減少と気候変動の2つの影響を受けてのことだと思いますが、これらの問題は、単に漁獲量を増やすことが漁師たちの豊かさに直結しないうえに、消費者にとっても、そして港町釧路の経済にも直結することを示しており、新たな戦略とアプローチが求められるのではと思います。

○持続可能な漁業への転換: 新たな戦略と未来への展望

単価の低い魚種を大量に獲るだけでなく、単価の高い魚種に焦点を当て、付加価値を高めることが求められていると思います。例えば、イワシの単価は低いものの、ししゃものような高価な魚種を賢く利用することで、より大きな経済的リターンを得ることが可能です。

釧路市HP 令和5年11月の漁業別・魚種別取扱量及び金額 より

最近では、船上で活締めした7キロ以上のブリを「極寒ブリ」と名付け、ふるさと納税の返礼品として「ブリしゃぶセット」に加工する白糠町の株式会社イミューさんの取り組みが有名です。

国内市場の縮小に対応し、資源管理の強化、そして海の環境変化への適応が重要です。また、温暖化によって減少する資源の代わりに増える資源を利用する「変化力」の重要性も先日公表された水産振興ONLINのレポートで謳われていました。サワラのような魚種が増えた場合、神経抜きなどの技術を用いて刺身商材としての価値を高め、ブランド化することで、地元だけでなく大都市圏への流通を図ることができます。

さらに、海洋環境の変化に強い陸上養殖や、資源評価・管理の強化による過剰漁獲の防止、ブルーカーボンとしての藻類養殖など、持続可能な漁業を支える多様なアプローチがあります。レポートにあるように「藻類養殖を副業とすることで得られたカーボンクレジットを、変化力や回復力を上げるのに役立てられる」というのも有効な策ではないかと思います。(カーボンクレジットは釧路町で取り組みが進んでいます)

持続可能な漁業への転換は、単に経済的な利益を追求するだけではなく、地域社会の未来と環境保全を考えることにも寄与します。現代の漁業は、単に量を増やすだけではなく、質の向上、水産資源確保、そして経済的な持続可能性を目指す必要があります。ここでは、具体的な戦略と技術を交えながら、持続可能な漁業への道を探っていくべきではないかと思いました。

1. 資源管理と保護: 例えば、日本近海でのマグロ資源の減少に対応するため、国際的な枠組みの中で漁獲量を制限し、成魚になるまで獲らない取り組みが進められています。これにより、マグロの個体群を回復させ、長期的な漁獲を可能にしています。

2. 漁法の革新: 漁法の革新もまた、持続可能な漁業への重要なステップです。例として、選択的漁法を用いることで、狙った種類の魚のみを効率的に捕獲し、他の生物への影響を最小限に抑えることができます。また、サテライトやAIを利用した漁場の予測システムは、過剰漁獲を防ぎ、資源の持続可能な利用を支援します。全く同じことはできませんが、アフリカでは原始的で面白い漁法が存在します。

3. 付加価値の創出: 釧路港で水揚げされる魚種に新たな価値を付け加えることも重要です。例えば、地元で獲れたサンマを使った加工品や地域ブランドの開発は、単価を上げるだけでなく、地域経済にも貢献します。また、エコツーリズムの推進により、漁業と観光を組み合わせることで、新たな収入源を生み出し、持続可能性を高めることができます。

4. 地域社会との連携: 持続可能な漁業は、地域社会との連携なしには成立しません。漁師、加工業者、消費者、そして地域行政が一体となって、資源の持続可能な利用、環境保護、そして経済的な繁栄を目指す必要があります。地域の学校での水産教育プログラムや、消費者向けの持続可能な魚介類の普及キャンペーンなどが、この取り組みを支援します。

これらの戦略と技術は、釧路港だけでなく、全国の漁業においても参考になるものと思われます。

○未来への展望と提案: 釧路港と漁業の新たな道

釧路港の漁獲量日本一は、地域にとっての誇りであり、同時に未来への希望の光でもあります。しかし、この成功を持続可能な豊かさにつなげるためには、漁業のあり方を根本から見直す必要があります。釧路が直面する現実は、地域の問題を超えて、全国的、さらにはグローバルな水産業の課題を反映しているのではないかと思います。

最後に、釧路港と漁業の未来は、地域社会、政府、業界、そして消費者の協力によって形作られます。持続可能な漁業への転換は、単一のアクターだけの努力では成し遂げられません。全ての関係者が取り組むことで、真の豊かさと持続可能性を実現することができます。釧路港の未来は、いち消費者でもある私たち一人一人の選択と行動にかかっています。

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