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#0069 当事者なき組織の落とし穴:レイアウト変更でもたらしたもの

この12月、私の会社はとても珍しく大胆な試みに出ました。オフィスレイアウトの全面改革です。12階、6階、そして2階の一部フロアに跨っている現状から、中途半端な2階の賃貸契約を切り、12階と6階に集約し、座席数を30%削減し、リモートワークを推進。そしてレイアウトも刷新してフリーアドレス化するというものでした。

およそ1年ほど前に経営企画部門が旗振り役になってこの施策を展開して、各部門からメンバーを募り、プロジェクトチームを結成して実現に向けて進めていきました。

しかし、表面上はチーム主導のプロジェクトのように見えましたが、徐々に上層部の顔や声が聞こえるようになり、直前でプランは白紙に。そして2階の賃貸契約は実は来年一月に期限を迎えることが判明…

いろいろとあと出して分かる事実。一時はどうなることやらと思いきや、突貫工事でレイアウト変更を行いました。実質固定席のフリーアドレスと言って良いものか分からない状態になってしまいましたが…

今日は、このおよそ一年に及ぶ準備期間、様々な挑戦、そして予期せぬ問題に直面したサイドストーリーとビジョンとコミュニケーションの大事さ、そして「みんな」という虚像に惑わされて当事者なき組織になった時の危うさについて綴りたいと思います。(1943文字)

○ 計画段階: 部門ごとの意見出しと事業者選定

最初は全員が意気揚々と意見を出し合いました。部署を超えてコミュニケーションを取り、事業者選定にも積極的に参加しました。皆が現状のオフィスの問題点を共有し、どのようにアップデートしたら良いか意見を出し合いました

みんなの意見」なるものに惑わされて、かなり右往左往しましたが、目に見えるプランとしてカタチができるようになりました。しかし、このプロセスは上層部の期待とは異なる方向に進んでいたようでした。

○問題発覚!

実際に計画を進める段階で、数々の問題が発生しました。事業者との折衝はスムーズに進んでいるように思われましたが、突然の上層部からの介入で全てが変わりました。急に予算が減ったのです。そして遅くとも1月には2階部分を開けるようにと。お金と時間の前提が変わってしまい、最終的には、これまでの努力は無に帰し、多くの混乱を招くこととなりました。あとからわかったことですが、
2階の賃貸契約は実は来年一月に期限を迎えるので、契約を終わらせて賃料負担を減らすことが最大の目的だったようで、レイアウト変更やフリーアドレスは後付けだったようです。つまり、2階の契約が終わったあとのレイアウトがある程度固まり、30%減でもなんとかなることがわかれば、フリーアドレスや打ち合わせスペース、ディスプレイや文房具類の扱いなどはどうでも良いような扱いでした…

○結果: 新しいレイアウトの問題点

新しいレイアウトは、理想と現実のギャップが明らかになりました。フリーアドレスのはずが、上の者の勝手な言い分(固定席が良い)などが乱立し、不明瞭なルールと区分けにより、混乱と不満が渦巻いています。社員の間では、この変更が本当に効果的だったのか疑問が持ち上がっています。

フリーアドレスなのに、部門ごとにエリアが割り当てられ、更に課ごとにデスクが割り当てられ、管理職はその中で固定。課員は余った数席でシャッフルするだけ。何のためにやったかわかりませんよね笑

○ 実態なき「みんな」の落とし穴

この一連の出来事は、そもそものビジョンなき計画の不備、コミュニケーションの欠如といった問題点を浮き彫りにしました。当初、プロジェクトチームが立ち上がったとき、私たちはテレワーク推進とフリーアドレス化による部門を跨いだコミュニケーションの活性化が目的だったと認識していて、それを念頭にプランを練ってきたわけですが、実は違ったというのがあとでわかる。

プランを練る中で意見を「みんな」で出し合ってカタチ作っていきました。「みんな」という実態なき虚像を「みんな」が信じ込んで進んでしまった結果、そもそもの目的やビジョンを確認せずに「みんな」で進めてきてしまったことに要因があるのでは?と思うのです。

上層部もコミュニケーションがうまくできていなかったこともあるかと思いますが、どこかで現場の「みんな」の意見を取り入れたというカタチにしたかったのでは?と思うところがあります。

つまり上層部も現場も「みんな」に惑わされて当事者不在のまま突き進んでしまった結果、この始末なわけです。まさに名著『失敗の本質』だと思います。

この一連の経験から得られた教訓は、今後のあらゆるプロジェクトに役立つ貴重なものです。これらの過ちを繰り返さないよう、当事者意識=リーダーシップを発揮して取り組むことの重要性を再認識すべきと思いました。

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