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あうあうあう と


海原を漂う氷の上で鳴く
海獣なのかと考える

あうあうあう
出会ってこその合うであり
通じてからの合うのはず

あうあうあう
出会ってからの合うであり
重なるからの合うのはず


間合いも読まぬ外れ矢は
数打ちゃあたるわけもなく

的にもあたらぬ無駄な矢は
薪にもならぬし火もつかぬ

まして氷の上ならば

合わさる相手も居ぬままで
海獣だって鳴きはせぬ

あうあうあうのその果てに
応える宛があるのかと

あうあうあうのその果てに
重なるものがあるのかと

あうあうあうと鳴くだけじゃ
喉が潰れてしまうだけ

出会うことすらないままじゃ
海獣だって鳴きはせぬ

海原を漂う氷の上で鳴く
海獣なのかと考える

あうあうあう
出会いがあっての合うであり
通じる先に合うがある

あうあうあう
出会えるからの合うであり
繋がるからの合うのはず


間合いも読まぬ溢れ矢が
まぐれであたるやも知れず

悲しく落ちた外れ矢が
知れずに芽吹くかも知れず

合わさる相手も居ぬままじゃ
海獣だって鳴きはせぬ

あうあうあうのその果てに
重なるものがあるからと

あうあうあうと鳴くだけじゃ
喉が潰れてしまうだけ

出会うことすらないままじゃ
海獣だって鳴きはせぬ


海原を漂う氷の上で鳴く
海獣ならばと考える

あうあうあうと鳴きながら
誰かと何かを分つため

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