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#93 プロフェッショナルファシリテーター丸山祥子さんに会議を成功させるポイントについて聞いてみた

土曜スペシャル対談企画、今日はですね、プロのファシリテーター、プロフェッショナルファシリテーターの丸山祥子さんにゲストでお越しいただいております。
皆さん、ファシリテーションを仕事にする。
これ、イメージできますか?
今日はプロのファシリテーターならではの話を、私たちの日常だとか、仕事の上で活かせる話として、頑張って引き出していきたいと思いますので聴いてください。
では、本編どうぞ。

ファシリテーションはスキルだけではなくマインドが大切

(小田木)今日の土曜スペシャル対談企画は、ゲストにプロフェッショナルファシリテーターの丸山祥子さんをお迎えしています。
祥子さん、今日はありがとうございます。
よろしくお願いします。本当に来ていただけて嬉しいです。
ぜひ最初に自己紹介を簡単にお願いできますか。

(丸山氏)よろしくお願いします。
Voicyを聴いている皆さん初めまして。
プロのファシリテーターの丸山祥子です。
私は現在、第三者として外部の人間として、企業の会議に入るプロのファシリテーターとして活動しています。主に同族企業の家族のミーティングをメインとして、ファシリテーションをやらせてもらっています。
よろしくお願いします。

(小田木)そこを聞くだけでも、同族企業の家族の会議に入っていく、普通の会議よりめちゃくちゃ難易度が高そうですけど、あえてそういう激戦地に向いていくんですね。

(丸山氏)そうですね。日本ではまだプロのファシリテーターも少ない中で、でも自分が得意とする他の人にできないことは何だろうというと、もともと自分が同族企業出身だったということもあって、ファミリーミーティングの難しさを十分承知しているので、ここに誰かいるといいんじゃないのかな、というところからあえて切り込んでいます。

(小田木)なるほど。だって経営で、かつ家族ですもんね。
あ、その辺の話は今日のテーマにも関わってくるんで、この後じっくりお聞きしたいなと思うんですけれども。
私、祥子さんに来ていただいたら、ぜひ取り上げたいテーマがあったんで、ここから入らせてもらっていいでしょうか?
プロのファシリテーターですよ。ファシリのプロですよね。
絶対に聞きたかったテーマは、「会議の進行」なんですよ。
会議とかミーティングをうまく進行したいとか、あと進行が上手くいくだけじゃなくて、その先をスムーズに進めたいとか。そう思う一方で、やっぱりそこってすごく難しいんですよね。
参加者がいて関係性があって場の空気があって雰囲気があってテーマの難しさがあってっていうと、やっぱりもう一筋縄ではいかない感。
会議とかミーティングで悩みを抱えている方も、Voicyを聴いてくれている方の中に多いんじゃないかなと思うんで、どうしたら会議をうまく進行できますか?
これをプロにお聞きしたいと思っています。

(丸山氏)はい。
私もいろいろ本を読んだり、プロとしてやっていくときに何が大事だろうって考えて、スキル、テクニックっていうのは、たくさん世の中でも言われていると思うんです。ゴールの設定をしましょうとか、どういうふうにアジェンダを立ててとか、これは多数決で決めるのかとか、みんなでとことん話し合うのかとか、そういうテクニックのところですね。
あと、自分がそこで参加者にどういう投げかけをしたらいいんだろうかとか、問いかけの部分はよく本もありますしわかりやすいところだと思うんです。
自分もじゃあそれを習得したといって、必ずしもうまくできない自分がいたんですね。
スキルじゃないマインドのところを書いてある本にも出会ったりしてですね、あ、自分がそもそも鍛えなきゃいけなかったのはここなんだって気付いた事があるんです。
なので、スキルのところとマインド、特にこのマインドのところがあまり語られてないなっていうふうに思いますね。

(小田木)私の中で今日は「プロが教えるテクニック3選」みたいな話が聞けるのかなと思ってたんですけども、それをそこじゃないよ、スキルじゃないんだよって言われると、「ええ?」っていう、そんな感触ですね。
どういうことですか、マインドって。

(丸山氏)スキルっていうと、例えば、この会議もあの会議もこっちのチームの朝礼も全部同じスキルでやれると思うんですね。
だけど、今日の朝礼は凄くスムーズにいったのに、午後の部長会議はなんかうまくいかないなとかあると思うんですよね。
メンバーによって違うとか。

(小田木)あります。上手く出来た時、できない時もあるし、やりやすかった時、やりにくかった時も確かにある。同じ私がしてるのに。

(丸山氏)うん、そうですね。
それをこれは議題が重かったからとか、そういうコンテンツのせいにしちゃうことあるんですけど、そもそもファシリテータってコンテンツを扱うんじゃないですよね。プロセスを扱うので。
プロセスを扱うというと、コンテンツに意識がいくんですけど、その場の空気ですよね。場の空気をどういうマインドのどういう状態の自分が扱っているか。まずそこの意識があるかです。

(小田木)皆さん、今わかりました?
私もうまくいかなかったときって、そうか、このアジェンダの運び方は無理があったなとか、テーマが重かったからかなとか、そういうところに原因を考えようとしていましたけれども、それが今で言うところのコンテンツってことですよね。それが、そこじゃねぇと!

(丸山氏)うん、これ私はなんで気づいたかというと、今年一年ずっと夫婦で起業したベンチャーの経営会議に毎週参加してたんですよ。

(小田木)それまたハードル高そう。

(丸山氏)そもそも夫婦でやってると、喧嘩になっちゃったり。

(小田木)家族であり、夫婦であり、経営者でありってどんだけ大変よみたいな感じですよね、関係性。

(丸山氏)しかもベンチャーなので、やっぱり議題が盛りだくさんじゃないですか。経営会議で毎回大事なことを話すんだけど、うまくいくときといかないときがある。先週うまくいって、あー、よかった、私やっていけるって思ったけど、今週全然ダメダメで、同じメンバーで似たような議題なのに、なんでなんだろう?っていうのを考えたんですね。
そうすると、まず私の、ああ、今日の議題どうしようかなって思ったり、自分が準備不足だなって不安を抱えて行ったりとか、朝その会社に行ってどちらか一方がなんか機嫌悪そうだなとか、そういうところで私自身が影響されてしまうんだなって。

(小田木)なるほどね。相手の機嫌の悪さじゃなくて、その機嫌の悪さを感じ取って影響された自分のコンディション。

(丸山氏)うん。そうです。それってありますよね。
チームの会議だったら、自分は年上だし経験もあるからゆったりとできるけど、じゃあ役員会議って形式になると、やっぱり役員さんがいっぱいいて緊張する。そもそもそのマインドが違うからこそなる。

(小田木)なるほどね。重いテーマが難しいんじゃなくて、その重いテーマを会議に持ち込む時の自分のコンディションというか、うまくいくかなとか、その状態が結果に影響するって事ですかね。

(丸山氏)非常に影響しますね。
一人で考えていたら冷静に話したり、同僚とだったらこの議題で普通に話せたのに、例えば、社長の前に行くと上手く話せなかったっていうことあるじゃないですか、一人でも。それと一緒なんです。
ただ、それを社長の前でも役員会議でも冷静にできる自分にならなきゃではないんですよね。

(小田木)あれ、そこでもないの?

(丸山氏)そうなんです。
「私は緊張しているんだ」って、自分を俯瞰することができるかどうか。

(小田木)自分をつかむみたいなイメージ?

(丸山氏)そうですそうです。
なので、ファシリテーター自身が自分の状態にどれだけ自覚的でいられるかどうか。
そうすると、例えば、会議が紛糾したりとか、意見が出なかった時でも、意見が出なくて私は困ってるんだなという自分に気づくことができる。

(小田木)そこにヒントがあるんですか?気づけるっていうこと?

(丸山氏)これに気づかずに焦って、〇〇さんどうですか?とか、〇〇さんなんか意見ありませんか?って言って、どんどん場に参加者にプレッシャーを与えちゃうだけで、なんとなく場の空気がどんどん悪くなるみたいな。

(小田木)なるほど。
ちょっと次のチャプターに行かせていただきます。

ファシリテーターは自分や相手のコンディションを知ることが要

(小田木)後半チャプターです。
祥子さん、前半を一緒に整理してみていいですか。私の理解が追い付いていますか?ということで。
まずスタートは、会議がうまくいかない問題。
ここスタートだったんですよね。
なんと祥子さんから衝撃の事実で、会議を上手くいかせるにはスキルじゃないんだと。進行者ファシリテーターのマインドが重要なんだよっていう話ですよね。
そこで、テクニック、スキルが重要だと思っていた私はガビーンっていう。
ちなみに、なんでファシリテーターのマインドが大事だっていう、ここの話に至るんでしたっけ。

(丸山氏)そうですね。特に社内のファシリテーターだとあまり意識されてない方が多いんですけど、ファシリテーターって場の空気にすごく影響を与えているんですね。場の隠れたリーダーなんです。
それは、例えばさっきの例のように、社長がいると緊張するとか、部長がいると話しにくいっていうのと同じように、ファシリテーター自身もその人が緊張しているかどうかとか、穏やかな気持ちでいるかということは、とても影響力があるんです。なので、マインドが大事だということなんですね。

(小田木)なるほど。影響力を自覚してマインドを大事にすること、さっきのところだと場をコントロールするんじゃなくて、自分をちゃんとコントロールするっていうか、マネジメントするっていうそんなイメージですかね?

(丸山氏)そうです。参加者の立場に立ってみると、誰もファシリテーターにそもそもコントロールされたくないんですよね。

(小田木)うん、議論を無理やり引っ張られたとか、誘導されたって思いたくない。

(丸山氏)うん。そうなんです。
なので、参加者を場をコントロールしようと、なんとかゴールに持っていこうとか、結論を出さなきゃって思う前に、自分自身が冷静でいられているかとか、自分の気持ち、感情をマネジメントできているか、そこに集中するだけで全然違うんですね。

(小田木)なるほど。なので、前半の話の最後が、自分が今どういうコンディションかとか、どういう事を考えているか、どんな状態かっていうのを掴み続けようねっていう、そういう話で前半が終わったということですね。
そんな話、聞いたことがなかったというのが、今の私の率直な感想ですかね。
会議を進行するっていうと、テクニックが多く語られるし、私自身もテクニックを磨こうとしてきたのかなって思うんですけれども、今言ってもらったところって、なかなか言葉にして教えてもらったことがないし、そういう機会がないなって思いました。

(丸山氏)そうですね。ビジネス面で感情に言及するってあんまりないですもんね。

(小田木)うん。だからすごく思うのは、何で祥子さんって今みたいな考えを持つに至ったんですか?ここをちょっと聞いてみたいです。

(丸山氏)うーん、冒頭、自己紹介で申し上げたように、私、今の仕事する前は父の会社で家業で働いていて後を継いだんですね。やっぱり親と働くって、感情が先立つんですよね。

(小田木)想像しただけで、もう無理無理って言っちゃったらあれですけど、なかなかですね。

(丸山氏)だから、やっぱり会議が冷静に進まないんですよね。
でも、それでは会社経営にもちろん支障をきたすわけですよ。
なので、自分がこの感情をうまく自分の中でマネジメントして、社長である父と冷静に話ができるようになりたいと思ったんですね。そしたら自分の感情の、例えば、ただ父親に対してちょっと腹が立つとか、そういうもののもっと奥深く、なんで私はこんなに父に腹が立つんだろう。そういえば、そもそもこの父親は子どものことをあんまり関心を持って話しかけてくれなかったじゃないかとか、いつも日曜日は寝てばっかりで家族の団欒もテレビを見てばっかりでっていう、そもそもの感情、気持ち、怒りといったものがあるっていうところまで気がついたんです。
だから、それを持ったまま会議に臨むっていうのは、会社経営とは別の話だなと。
でも、そういう自分に気がつくというところがとても大きかったと思います。

(小田木)なるほど。プライベートを持ち出さないように押さえ込むとか、そこに蓋をするっていうイメージではなくて、そういう感情を持った自分に、まさに客観的に気付くみたいなところですか。

(丸山氏)そうですね。できればそのことについて、また別の場で話す場を設けられることが大事なんだと思います。
私の場合は、会社の話をするときは会社の会議でするんですけど、そうじゃなくて、そもそも私とお父さんってあんまり喋ってこなかったよねとか、お父さんはどうして娘に対していろいろ関心を持って成績見たりなんだりしてくれなかったのって。
そうすると、例えば、その時期父が会社ですごく苦労してたとか、こんなトラブルがあって大変だったっていう、子どもの私には知らなかったこともわかるわけですね。
そうすると、自分で納得がいくんです。別に父は自分に対して愛情がなかったわけじゃないと。
そこで自分の感情がマネジメントできるようになったので、会議の方でもそこは切り分けられるようになったという。
なので、会社でもそういう時間がもし持ってたら本当はいいんだと思います。

(小田木)なるほどね。それって家族じゃなくても、例えば、チームメンバーでも、会議のテーマ以上に、何かその背景にモヤモヤを抱えているかとか、あと不安がないかとか、心配がないかとか、そういうところとすごく密接につながりそうな気がするので、深さとか関係性が難しさっていうところはあると思うんですけれども、その後ろ側にあるものや、自分が抱えているものに客観的に気づく、そこなんだなって、今の話を聞きながら思いました。

(丸山氏)そうですね。私はなるべく一回きりのファシリテーションじゃなくて長期的に関わらせてもらうので、一対一でメンバーと話す機会というのも設けるようにしていますね。1on1だったり、ちょっとキャリアの相談を受けたり、それによってメンバー一人一人への理解を深めた上で会議に臨むと非常にやりやすいです。

(小田木)なるほど。相手のことを知っている、相手と信頼関係がある、これめちゃくちゃ大事ですね。
はい、ありがとうございます。
今日聞いた話って、元々私が会議をうまく進行するポイントを聞きたいと、そういうことからスタートした対談だったと思うんですけども、いろいろ奥深いな、表面上じゃなかったんだなということを考えながら聞きました。
これって会議だけじゃないですよね。

(丸山氏)もうあらゆる対話がそうですね。

(小田木)家族、夫婦、親子、あと自分自身も?

(丸山氏)あ、自分自身との対話はすっごく大事ですね。

(小田木)これに応用するとどんなイメージになるんでしょう?
最後、ここだけ聞きたいな。
自分のことでちょっとわからなくなる、悩むとか、いろいろあると思うんですけれども、ここに今の話を応用するとどう考えたらいいんだ。

(丸山氏)要は、きちんと物事を考える前に、そもそも今私は、例えばこれについてどれぐらいやる気があるだろうか。

(小田木)まさに自分のコンディション客観的に捉える。

(丸山氏)そうですね。この仕事を楽しんでやってる?とか。

(小田木)ついつい、この悩みを解決するにはどうしたらいいんだみたいな、そんな問題解決に目を向けるところからスタートを切りそうですけども、その前にその問題抱える自分も客観的に見る。これが今日のテクを自分に応用したケースとして捉えていいでしょうか。

(丸山氏)はい、そういう自分に気づくっていうだけで十分なんです。

(小田木)ありがとうございます。少し自分に出来るかな?って、途中に思ったところもあったんですけれども、最後の話で、まずは自分を受け止めればいい、会議の話も。
ということで、すごく元気が出てきました。
祥子さん、今日はありがとうございました。

小田木朝子プロフィール

「仕事が好きだし、楽しいと言い合える女性が増えることが喜び」小田木朝子(おだぎともこ)です。
このチャンネルは両立女性のためのオンラインスクール育休スクラから出産後の変化を柔軟に乗り越え、仕事がもっと楽しくなる“知恵とヒント”を平日の毎朝配信しています。2回の育休を経て、現在人材育成・組織開発を行う株式会社NOKIOOの役員をしています。
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