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還暦を迎えた。自分をルポするエッセイを始めようと思う。

先週の日曜日、還暦を迎えた。
60年生きてこられて感謝である。
でも、しみじみしている場合じゃない。
ここからの人生が本当に大事だから。

4年前の3月と、3年前の3月。
2年続けて自分の誕生月に、友人の思いもかけない死の報に接した。
それをきっかけに、人生って何だろう?と改めて考えてしまった。

一人は私より7歳年下の女性。
死因はクモ膜下出血。享年49歳。
亡くなる前の晩に彼女からメールをもらっていて、翌朝に返事をしたのだけど、その時には既に亡くなっていたことを、後日ご家族にお電話を差し上げたときに知る。
遠距離に住んでいる彼女とは長年にわたりネット上だけの付き合いではあったが、サッカーという共通の趣味をはじめ、生活のこと、仕事のこと、家族のことなど、あらゆる話題についてメールで語り合い、互いの誕生日には毎年贈り物をし合う仲だった。
今年は何をプレゼントしようかな?と考えるのは本当に楽しかったな。

もう一人は私より5歳年上の男性。
死因は自殺。享年62歳。
その報はネットニュースで知るという衝撃で、パソコンの画面に彼の名前を見たときのショックは決して忘れない。
私が19歳、彼が24歳の時、同じアルバイト先で机を並べて仕事をしたのが出会い。
そこから長い付き合いが始まった。
どちらかが転職するたびに連絡を取り合い、偶然取引先となってまた一緒の仕事をした時期もあるなど、近い業界で付かず離れずの関係が数十年続いた。
彼が最後に選んだ職場に移ってからは連絡を取り合うことがなくなっていたが、なにしろ私が19歳の時からの知り合いなので、久しぶりに連絡すれば昨日会ったような会話がすぐにできる間柄。
言うなれば、仕事上の幼馴染のような仲だったな。

そんな大事な2人の友が、私の56歳と57歳の誕生月に相次いで亡くなってしまうとは。
そのような最期を迎えようとは、2人は思いよらなかっただろう。
人生というのは、なんと儚くて残酷なものなのか。
「浅井さん、人生って何だったんだろうね?」と、彼らが私に語りかけてくるように感じる。

その時から「いつ死を迎えてもいいような暮らし方をしたい」という思いが、私の中に沸き起こった。
今の暮らし方のままで、私はパタッと逝きたくないと強く思ったのだ。

私は60歳で定年を迎えることにした。

二十歳から働いている私は、還暦を迎えるとちょうど40年働いたことになる。
21歳の時に正社員として入社した当時、定年は60歳と言われた。
このたび、それを実行するだけのことである。
38歳を境にフリーランサーになったとはいえ、仕事を受注する身なので、雇われている感は同じようなものでもあったから、自ら60歳で定年とするのだ。

この決心の裏には、背中を押してくれる言葉があった。
昨年末、知り合いの90代女性の方と話をしていた時、私がふと「年が明けて3月には私、還暦を迎えるんですよ」と伝えたら、彼女がこう言われた。

「おめでとう!もう一度生まれてからの暦(こよみ)を生きられるなんて、感動的ではありませんか。よかったですね」

驚いている私にこう続けられる。

「羨ましいわ。人生で一番いいときよ。だって生まれ変われるから」

う・ま・れ・か・わ・れ・る?!

この言葉を聞いた瞬間、私の心に灯がともりすがすがしい気分がぱあーっとひろがった。
お年寄りの言葉には、時に、本当に、得難いものがある。

還暦とは暦が還ること。
60年前に生まれてから私の人生は一回りしたのね。
人生が一度終わって60歳から生まれ変われるのね。
だから還暦の時には赤いちゃんちゃんこ(かつては産着)を着るのね。

ならばだ、60歳で定年というのは実に理にかなっているではないか!
気持ちがとてもラクになったぞ。
還暦とはまことに非常におめでたい。

しかし、次の暦の途中で、私の人生は終わるのだな。
還暦を過ぎるということは、いつ死んでもおかしくない年齢に入ったということを知ることでもあるのだな。
そう自覚すると、いろいろな意識が変わってくる。
特に40年間の仕事においてずっとあった「先につながる」とか「次につなげる」とかいう意識。
これが、なんだか、ぱさっと消えた。

仕事は原則断らないこと、どんな仕事でも興味をもてば、やりがいあると捉えられるもの。
そんな意識のままで60歳からの暮らしを続けていたら、貧乏暇なしのライター稼業では、いつまでたっても余裕は生まれず、会いたい人には会いに行けず、後回しにしていたことに手もつけられないだろう。

60歳からは、自分が思ったことや考えたことを実行に移すことに重点をおいた暮らしがしたい、という気持ちが抑えきれないほど強くなってきた。
そうやって自分に正直に暮らすことを大切にしながら、その途中で死にたいからだ。

新しい暮らし方の一つとして、自分をルポするエッセイを書くことにした。
題して「60歳からのシングル人生を探る」である。
キレイめなタイトルにしてみたが、ようするに「どーする?!私!」である。
高齢になっていく現実に対して、自分がどう対処しながら暮らしていくかを丁寧にルポしていきたい。
自分のペースでね。
日々の暮らしを大切にしたい。

そして、このメディアでいろんな人たちとゆるーくつながって、一緒に60歳からのシングル人生を探っていけたらうれしいな。

とにかく始めよう。

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どうもありがとうございます。
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ケアダイアリー主宰。ライター。CM音楽制作会社などに18年間勤めた後、フリーに。実父に前頭側頭型認知症(ピック病)の症状が現れたため休職して同居介護に専念。看取り後は高齢者の暮らし、介護・福祉関連を中心に執筆活動。ホームヘルパー2級、地域密着型通所介護の運営推進委員、民生児童委員
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