アメリカの差別問題 6/3のゆでたまご日記

寝ても冷めても終わりなくずっとむしゃくしゃしている。息がつまりそうなくらいにイライラしている。

アメリカの黒人差別についてだ。

最初の警察がジョージフロイドを拘束し首を押さえつけている動画が流れた時は、正直「またか」という印象で、どこか遠くで起こっている話、みたいな空虚さと諦めの感情でニュースを見ていたが、そのあとのトランプ大統領の暴動に対して軍的行動を辞さないという態度、日本のニュースに流れる「暴徒化した市民による暴力や略奪が起きている」という表面的な情報や発言を流れていたら、怒りが込み上げてきて胸がずっといたい。

歴史的な背景などはニュースサイトでも説明されているので、ただここは個人的な感情のはけ口として書き散らしています。

2004年に私は初めてアメリカに行きます。高校2年生でした。仙台市姉妹都市交流青年団の1人としてアメリカ・テキサス州ダラスに行きます。この時に滞在していたホームステイ先で人生初めての差別に会います。「日本人はYellow Monkey」だと、家に遊びに来た娘の友達が笑いながらこちらに向かっていうのです。一瞬時間が止まったかのようでした。日本で当たり前のようにマジョリティの人種である日本人として生きてきた私にとって、理解しがたい事件で、ことの重大さにハッとしたのは帰国してからでした。

このことが忘れずに1年過ごし、3年生になったときに「アメリカの大学に行こう、あの差別というものを確かめに行こう」と渡米します。大学で社会学と政治学を学ぶ中で、このアメリカ社会における不条理な歴史や文化背景を学びます。でも覚えていることは教科書の情報よりも目の前で繰り広げられる景色や友達の話でした。

仲が良かったJohn Reedeは、ジャマイカ系アメリカ人でしたが、お兄さんがマイアミで殺されています。ある日住宅街を歩いていたら「黒人が敷地内に不法侵入した」という理由で住人に撃たれて亡くなったそうです。アメリカは、州によっては自己防衛のための殺人であれば法的な罰則を受けないんです。

夜テレビをつけると流れてくるサウスパークなどの風刺アニメでは、黒人やユダヤ人、アジア人、ジンジャーと呼ばれるアイルランド系の赤い髪の人など、人種に分けて笑いを誘うプログラムであふれています。それをみて、みんな笑うんです。大人も子供も。そんなことが毎日起こってます。自分は何も言ってないし傷つけてないから問題ないだろうと視聴者は言う。

卒業してニューヨークで暮らすためにブルックリンに移り住んだときは、アメリカ最大のプロジェクト(低所得者向けの公営住宅)の隣に住んでいました。週末にコインランドリーで洗濯をしながら、周辺に住むおばちゃんたち(黒人です)とおしゃべりをしていると、「ジェントリフィケーションの影響で家賃がどんどん高くなって、この場所でさえ暮らしていくのが苦しい」という話を笑いながら話しています。今日の晩御飯なにする?みたいな感覚で話すんです。だって、それが日常だから。

ブルックリン在住時、私は夜、家に変える時にはなるべく自分の顔が認識されないように歩いていました。強盗に会う、殺されるかもしれない。そういう危険は常に隣にあったから。でもそれは、黒人は怖い!みたいなそういう話ではない。社会システムの問題。未来に希望を見出して生きていけない、理解しあう余裕も機会もない。そういう社会がデフォルトだから。

アメリカは成功者の国、アメリカン・ドリームという言葉があるけど、それが叶えられるのも一部の人間だけだとわかったのもアメリカです。「それって自分の努力次第でしょ」という言葉では片付けられない見えざる壁が常に存在しているのがアメリカです。

オバマさんは全米初の黒人大統領と言われていますが、彼は白人とのハーフです。そもそも父親もアメリカ出身ではなく、ケニア出身です。なににも関わらず、黒(という言葉も使いたくないけど)い血が混ざって生まれた瞬間から、「アフリカンアメリカン」として生きていかないといけないんです。幼少期に離婚して、白人の母親や祖父母に育てられても、そこは変えることができない。大統領選の演説中に白人指導主義団体「クークラックスクラン」が妨害に入ってくる。どんな地位にいても肌の色が理由なだけで認めない人たちがいるんです。

アメリカは人種のMelting Pot(野菜が溶け込んだスープ)ではない、にんじんはにんじん、たまねぎはたまねぎと籠の中に個々で存在しているのがアメリカ、と大学の教授が話していたのを思い出した。

どんなにNetflixで混合人種の若者たちの恋愛ドラマが当たり前になりつつあっても、映画に出てくる黒人が最初に殺されるようなことがなくなっても、現実は変わらない。

だから表面部分だけを切り取って暴徒化した、警察と対立しているみたいなものだけが放送されていると違和感がある。警察の顔をよくみてください。黒人もいます。そして彼らも彼ら自身の背景がありながら、その場所に立ってる。

「米各地で抗議激化、黒人男性殺害と「もはや関係なくなっている」と州知事」とBBCの記事が上がっていたが、そりゃそうだ。だってみんな自分ごと化しているから。


ツイッターで流れていた、このビデオが本当本質をついている。



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