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6/28 ほんのセツナでも奪いたい


自分はいつかすごい絵が描けると思っている。
そんな予感がする。
というか、そう信じずに生きていけない。
それは絵の具じゃなくて文字で構成されているかもしれない。
それは音楽で出来ているかもしれない。
その作品は、自分の思ってきたこと全部が一滴も残らず表されている。見た人みんなにそれぞれに意味を読ませ、心の片隅から時折思い出されるような作品。

この妄想が、日々わたしを諦めさせないでいてくれる。
きっと自分のなかには鉱脈があり、きちんと掘ればエメラルドかアメジストかが出土するんだと。不本意な目に遭う度に、なかば強迫観念みたいに、この妄想がまた心臓を動かしてくれる。

子供みたいだとは分かっている。小学生の頃、campusノートに書いた夢物語や、じゆうちょうで育てていたキャラクターたちと同じくらい、あまりにもしょうもないものだってわかっている。

でも、忘れられない思い出みたいに、消えない炎みたいに、いつまでもわたしを焼いている。あたためてもくれている。火傷にもなっている。

目覚められない悪夢みたいに、この夢にうなされ浮かれさせられている。悪夢を見ているので、起きることも眠ることも出来ない。汚れちまった魂は飛ぶことも地に足をつけることも出来ない。

でもいつか、ほんのセツナでも、ひとと自分を魅了するものがつくれたらと思う。自分と世界中を恋に落とすようなことが、いつか自分に出来ると思う。現実の自分はゆるやかに落ちていっているが。飛んでいけるはずだと信じていきるしかない。セツナの恋人は、いつものところで待ってる。


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