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劇場版レヴュースタァライト見た?

今日は久しぶりに映画館に行ってきた。
昨日公開されたばかりの、劇場版『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』を見るためだ。

『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』は、アニメとミュージカル(とソーシャルゲーム)で2017年からメディアミックス展開されている作品だ。ミュージカルと同じキャストがアニメの声も担当する、という一貫したキャラクターづくりで知られている。私は、ミュージカルのほうは見たことがないので、アニメについてだけ語る。

TVシリーズについて

私は2018年夏に放送されたアニメ第1話を見て、衝撃を受けた。

「ぜんぜん、わからない!」

本当に、全然わからなかったのだ。

物語序盤は、音楽学校の俳優育成コースに通う女子高生たち「舞台少女」を描く、シリアス寄りの学園もの、といった雰囲気だった。
ところが、何の前触れもなく「レヴュー」なるものが開演し、彼女たちが1対1で剣を交えて戦いはじめたではないか!

しかも、彼女たちは舞台と思わしきものの上で戦っており、劇場内は無人にもかかわらずスポットライトがまばゆく照らされ、舞台装置が轟音を上げながら動いている。
舞台と思わしき、と書いたのは、それが現実ではありえないような動きや変形を見せ、目まぐるしく姿を変えていたからだ。(階段が出現し、客席が崩壊する、など)

あっけに取られた視聴者は、ここでやっと、これはファンタジー、あるいはバトルものなのかもしれない、ということを考えはじめる……

そんなことに気を取られているあいだに「レヴュー」の決着がついていた。どうやら、主人公が勝ったらしい。

あっという間の22分。なんだこれは。

そして「レヴュー」のあいだ終始思わせぶりなことを語り、ねっとりと「わかります。」を連発する「キリン」という謎のキャラクター。見るからにキリンな上、喋る。(CV. 津田健次郎)

わかりみキリンが、分かります、と言っている

「いや、ぜんぜん、わからないよ!」

巻き戻してもう1回見たが、感想は同じだった。
しかし、不思議なことに、第2話も見てみよう、と思った。

なぜなら、この作品の制作者は、なにか確信のようなものを抱いてこれを作っている、ということが感じられたからだ。
そうでなければここまで大胆な演出はできない。世界観についてまったく触れないのも、わざとなのだ、と思われた。

結局、全話見た。
最後までわからないところはわからないままだったが、それぞれのシーン、それぞれのストーリーは、とてもよく作られていて、おもしろかった。
そして、毎話こちらの想像をはるかに超えてくる映像、演出、演技にいつの間にか魅せられてしまい、キリンの「わかります。」も「お、そうだな。」と思えるようになってしまったのだ。

『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』のTVシリーズは、たとえ世界観が謎に包まれていても、その上に立派な構造物を建築することはできる、ということを教えてくれた作品だった。

劇場版について(評価あり、ネタバレなし)

そして今回の劇場版である。
以前にも、再生産総集編として、『少女☆歌劇 レヴュースタァライト ロンド・ロンド・ロンド』が公開されていたが、今回のは完全新作である。

一体どんなものになるだろう、あのTVシリーズを越えることなんてできるのだろうか、あの「ぜんぜん、わからない」感覚を味わわせてくれるのだろうか、と心配しながら見に行った。

そんな心配は無用であった。

見終わったあとしばらくは放心して、溜め息と、「はぇ〜、すっごい」という感想しか出てこなかった。
よくぞこれだけのものを作った。いくら払えばいい。1900円?安すぎないか?

時間も120分と、アニメ映画としては少し長めで、ボリュームも十分。やりたいこと、描きたいものを全部詰め込んだという感じ。

観客を置き去りにする演出も健在。それは公式チャンネルで特別公開されている冒頭映像5分を見ればすぐにわかるだろう。

「全然わからない? わかります。」

そして、なにより驚いたのは、この劇場版は主人公が愛城華恋一人ではないこと。九九組のメンバー全員に焦点が当てられている。

全員が“主演”となり、それぞれのレヴューを演じる。そこがTVシリーズとは違うと感じた。

普通の脚本ならそんなことをしていては尺がいくらあっても足りない。しかし、『レヴュースタァライト』なら、観客を置き去りにしてもよいから、これができる。

全然わからない! だけどおもしろい。本当に不思議な作品だ。

もう一度、見に行きたい。結末を見て、考えが整理されたいま、もう一度見て、何を思うか。

ちょうど6月6日に、特別映像付き上映というものがあるという。げ、6月6日って日付変わって今日じゃないか。

いや、行こう。きっともう一度見る価値はある。

願わくば、この作品がもっと多くの人に愛されんことを。

P.S. とはいえ、初めての人にはあまりオススメできない、かも。やはりTVシリーズで「ぜんぜん、わからない!」を経験してからのほうがよいと、思う。


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