見出し画像

一次流通におけるNFTの適正価格は?

アートオークションにおける二次流通価格とギャラリーからの一次流通の価格には大きな差があることが多い.すでに評価が固まった作品と,作られてすぐの作品にはそれなりに違いがあるし,ニューヨークでは色々な法律が整備されていたりもするし,見えないルールも多くある.

ここ一週間くらいNFTにNFTらしい作品を出し続けている.質量にものごとを保存していくのは自分のライフワークだから,そこにさらにコンテクストを載せてNFTにしている.

このコレクションにおいて,落合陽一は彼のデジタルアートを実物のプラチナプリントに印刷する.プラチナプリントにプリントされた写真作品は一般的に500年以上もつといわれている.プリントされた作品にはデジタルアートのNFTのコントラクトアドレスを併記する.実物の作品にはエディションが付き,プラチナプリントは物質として複数存在するが,NFT化されたデジタル原板はただ一つである.コントラクトアドレスをスキャンすることで誰でもデジタル原板のNFTにアクセスできる.永い寿命を持つプラチナプリントされたフィジカルな作品は流通する過程で展覧会に展示されたり,所有者の家庭に設置されたりすることだろう.作品が人の目に留まるたび,展示された作品のデジタル原板の所有を誰もが確認できるようになる.ここに実存への問いかけがある.今後,物質的なプリントとデジタルデータのNFTどちらが永く残るだろうか.このデジタルデータと物質的な存在の間にある違いこそが,質量への憧憬ではないだろうか.形あるものは壊れる,形ないものは忘れる.これらの作品を通じてイメージと物質の間にある憧憬を,質量のないデータと質量ある物質の間に存在する新しい自然とともに探求していく.

毎日作品をプラチナプリントにし続けるのは実に民藝的所作に感じて心地よい.

https://opensea.io/assets/0x495f947276749ce646f68ac8c248420045cb7b5e/49129412008169772786986690209537281524902027925806806199562930628874630856705

僕はNFTが好況になる前からメディアアーティストをしているし作品も販売している.ギャラリーで展示することもあるし,芸術祭や美術展や個展で展示してCOAを発行して作品を販売することもある.その観点でNFTについて考えていた.

ここから先は

1,618字 / 2画像
落合陽一が「今」考えていることや「今」見ているものを生の言葉と写真で伝えていくことを第一に考えています.「書籍や他のメディアで伝えきれないものを届けたい」という思いを持って落合陽一が一人で頑張って撮って書いています.マガジン開始から2年以上経ち,購読すると読める過去記事も800本を越え(1記事あたり5円以下とお得です),マガジンの内容も充実してきました.

落合陽一が日々見る景色と気になったトピックを写真付きの散文調で書きます.落合陽一が見てる景色や考えてることがわかるエッセイ系写真集(平均で…

いつも応援してくださる皆様に落合陽一は支えられています.本当にありがとうございます.