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自分のLLMとしての性質をどうやって保持するか.口述筆記とタイピストの問題を考えてみよう.

落合陽一です.久しぶりに手書きの文章を書いている.手書きというのはペンで文字を書くという意味ではなく,LLMを使わないということだ.おそらくそう言うようにみんななる.口述筆記に対応するタイプライティングと言う意味でも手書きという言葉を使うようになるだろう.じゃぁペンで書くもじは? ペン書きとかいうんじゃないか? 知らんけど.

口述筆記による高速化はものすごい.これは語る文学としての性質である.LLMはその点では,少し見劣りがある.人が語った文章を書き起こすのとは筋が違うので,人間が優秀なLLMになったわけではない.しかし,発話と手書きで使う筋肉が違うように,脳の使い方もまた違う.当たり前だが,口述筆記とタイプライター,手書きでは出てくる文章もまた異なっている.

さて,我々はLLM書きをする時代になってきたのだ.この最大の問題点は,自分のLLM性能が手書きで下がることであると思う.口述筆記能力に違いは感じない.問題は手書きの能力が下がって感じることだ.

アイデアの出が悪くなったり,書き出しのきっかけが掴めなくなってきたりする.問題は,発話時には発生しないこの問題が,タイプフェースでは発生する.よく発生している.これは,LLMを使うときに,「指が話している」状態の指発話の衰えによるものなのではないかと私は仮定している.ユビ発話は,口述による発話とは異なるタイプライターLLMを駆動している気分になる.この駆動能力はLLMを使うとかなり衰えるような気がする.コンピュータに向かって話しかけられるなら問題ないのだが,指で話しかけるには,この不自由なインターフェースに発話リズムをあわせていかなければ,なかなかリズミカルに出てこない.この練習を怠ると取り戻すのに3日かかる.ただ,3日でとりもどせるなら別に退化してもいいか,ということもある.

誰か研究してないかな,研究しようかな.

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