ヴォイス(態)

ヴォイス(態)とは

出来事をどの立場から表現するか
受け身、使役、使役受け身、可能、自発、授受表現

立場

①(私は)犬に噛まれた。
②夫が犬に噛まれた

③(私は)人を噛んだ。
④うちの犬が人を噛んだ。

⑤犬が人を噛んだ。
⑥人が犬に噛まれた

視点のルール

  • 参与者に話し手が含まれる場合は話し手に視点が置かれやすい

  • 非動作主より動作主の方に視点が置かれやすい

受け身(受動態)

直接受け身(非情の受け身)
間接受け身(持ち主の受け身)

直接受け身

能動文 :太郎が 次郎を 殴る
受け身文:次郎が 太郎 殴られる

他動詞文の目的語が主語になる

※必ず「に」になるわけではない

グラハムベルが電話を発明した
電話はグラハムベルによって発明された
(創る、建設する、発明する、、、)

先生が山田さんを呼んだ
山田さんは先生から呼ばれた

恩恵と、非情の受け身

日本語の受け身は何らかの迷惑や被害の気持ちが伴うことが多いが、
①語自体に恩恵の意味を含む場合
②非情の受け身
は例外

①恩恵の意味
褒められる、尊敬されている、育てられる、育まれる、、、

②非情の受け身
無生物が主語で、迷惑や被害の気持ちを含意しない
大阪城は豊臣秀吉によって建てられた。
ブラジルでは、ポルトガル語が話されている。

間接受け身(迷惑受け身)

その事態により間接的に影響を受ける人や物が主語になる
他動詞・自動詞どちらも可能
主語は能動文には含まれない成分(勝手に迷惑だと思っている)

      雨が降った(自動詞)
(私たちは)雨に降られた

    隣人が塀を作った(他動詞)
(私は)隣人に塀を作られた

    父が死んだ(自動詞)
(私は)父に死なれた

    子供が泣いた(自動詞)
(私は)子供に泣かれた

持ち主の受け身

目的語が持ち主の所有物や体の一部の場合、主語は持ち主だけになる

能動文 : 妹が  私の ケーキを 食べた
受け身文:(私は) 妹に ケーキを 食べられた

私のケーキが妹にたべられた」ではない

女性が男性の足を踏んだ
男性が女性に足を踏まれた
*男性の足が女性に踏まれた

使役

     女の子が 泣いた(自動詞)
男の子が 女の子を 泣かせた
人が   人を

      子供が 人参を 食べた(他動詞)
お母さんが 子供に 人参を 食べさせた
人が    人に  Oを

使役の動詞の活用

【1グループ】
アの段+せる
泣く→泣かせる
読む→読ませる
話す→話させる

※さ入れ言葉は誤用
*泣かさせる
*読まさせる
*話ささせる

【2グループ】
+させる
見る→見させる
食べる→食べさせる

【3グループ】
くる→こさせる
する→させる

使役の用法

強制:親が子供に部屋の掃除をさせる
容認:親が子供を公園で遊ばせる
原因:彼の優勝はみんなを喜ばせた
責任:悪天候が生産を遅れさせた
謙譲:こちらからご連絡させていただきます

親が子供を/に歩かせる(自動詞)
親が子供部屋の掃除させる(他動詞)
親が子供横断歩道歩かせる(移動動詞)
※他動詞はヲ格をとるので、ヲの連続にならないよう「誰」となる

使役受け身

      女の子が      泣いた(自動詞)
使役   :男の子が 女の子を 泣かせた
使役受け身:女の子が 男の子に 泣かせられた
女の子の視点

使役受け身の動詞の活用

【1グループ】
アの段+せられる(+される※縮約系)
泣く→泣かせられる(泣かされる)
読む→読ませられる(読まされる)
話す→話させられる(*話さされる

【2グループ】
+させられる
見る→見させられる
食べる→食べさせられる

【3グループ】
くる→こさせられる
する→させられる

使役受け身の用法

強制
子どもが親に部屋の掃除をさせられる
部下が上司に残業させられる
学生が教師に歌わせられる(歌わされる)

感情
親が子どもにがっかりさせられる
親が子どもに喜ばせられる(喜ばされる)

【例文】

芸人が私を笑わせた
私は芸人に笑わせられた(笑わされた)

彼は私に自慢話を聞かせた
私は彼に自慢話を聞かせられた
私は自慢話に飽きさせられた

可能

動作主にその動作を実現する能力があるかどうかを表す

能力可能

運転できる人って素敵です
山田さんは英語が話せる

状況可能

今日はお酒を飲んだので運転できない
ここでは話せないので静かなところに行きましょう

可能の表現方法

山田さんは英語が/を話すことができる(辞書系+ことができる)
山田さんは英語が/を話せる(可能動詞/可能形)
※活用したものをさらに活用するので、「可能動詞」とする説が主流
※「できる」は可能動詞

可能動詞を作るのは意志動詞のみ
*雨が降られる
*星が輝ける

可能表現の助詞

①N1が N2を   可能表現
②N1に N2が   可能表現
③N1が N2が   可能表現
④N1は N2が/を 可能表現

①子供が 漢字を   書ける
②子供に 漢字が   書ける
③子供が 漢字が   書ける
④子供は 漢字が/を 書ける

可能動詞/可能形の活用

【1グループ】
(え)る eru
書く kaku→書ける kakeru
読む yomu→読める yomeru

【2グループ】
られる(れる)
見る→見られる(見れる)
食べる→食べられる(食べれる)
寝る→寝られる(寝れる)
※(れる)ら抜き言葉、今は誤用

【3グループ】
する→できる
くる→こられる(これる※ら抜き)

行為の完了を表す「できる」

可能ではない。

新しい家ができました
晩御飯ができました

自発動詞

自発の意味をもつ表現
自然にそのような状況になる
能力ではない

見える、聞こえる、悔やまれる、しのばれる、思い出される、思われる、感じられる、想像される

2階から花火が見える
隣の部屋から声が聞こえる

動詞自体に自発の意味が含まれるものもある
泣ける、笑える、授かる、教わる、売れる、崩れる、、、

見る/見える、聞く/聞こえる

見える⇔見る(見られる)
聞こえる⇔聞く(聞ける)
※別の動詞

【見られる・聞けるは可能形】
主体の意志的なかかわり
見る・聞くチャンスがある

屋上に行けば花火が見られる
今新宿で〇〇の映画が見られます
彼女の声が聞けなくて寂しい
今ラジオをつければ、日本の歌が聞けます

授受表現(やりもらい)

もらう(みん日7課)
くれる(みん日24課)
あげる(みん日7課)

第三者視点

女性が 男性に プレゼントをあげる
男性が 女性に プレゼントをもらう

男性視点

女性が 私に  プレゼントをくれる
私が  女性に プレゼントをもらう

女性視点

私が  男性に プレゼントをあげる
男性が 私に  プレゼントをもらう
男性が 私から プレゼントを受け取る

※「もらう」は矢印が自分に向いている時には使わない
*私にもらう
〇私にくれる

視点のルール

①参与者に話し手が含まれる場合は話し手に視点が置かれやすい
②非動作主より動作主の方に視点が置かれやすい

恩恵の授受

テ形+あげる:支えてあげる、払ってあげる
テ形+もらう:支えてもらう、払ってもらう
テ形+くれる:支えてくれる、払ってくれる

授受表現の尊敬語・謙譲語

    尊敬語  謙譲語
あげる ー    さしあげる
くれる くださる ー
もらう ー    いただく/頂戴する

「弟が先生にペンをいただいた」(身内視点)
※「もらった」→謙譲語「いただいた」

「先生は弟にペンをくれた(くださった)」
弟は「私」の身内(立場が近い)ので「くれた」を使う

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?